三菱自動車は、ミドルサイズSUV「アウトランダーPHEV」のフルモデルチェンジを行い、2027年頃に発売を予定しています。
世界的なSUVブームが続く中、環境意識の高まりとともにプラグインハイブリッド車（PHEV）の存在感がますます強まっています。そのPHEV SUVカテゴリーにおいて、日本市場のみならずグローバル市場でも先駆者として確固たる地位を築いてきたのが、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」です。現行モデル（GN0W型）は2021年に登場し、その完成度の高さから高い評価を得ていますが、市場の関心はすでに次なる進化へと向かっています。
現行アウトランダーPHEV（GN0W型）の成功と次世代への布石
まず、現行アウトランダーPHEVの揺るぎない成功について確認しておきましょう。2021年にグローバルで発表され、日本市場にも導入された現行モデルは、「威風堂々」を体現するデザイン、大幅に向上したEV航続距離（80km以上 ※WLTCモード）、三菱独自のツインモーター4WDを核とする車両運動統合制御システム「S-AWC（Super-All Wheel Control）」、そして実用的な3列シート7人乗り仕様の設定など、あらゆる面で飛躍的な進化を遂げました。三菱自動車が誇る電動化技術と四輪制御技術を結集したフラッグシップとして、PHEV SUVの新たな基準を打ち立て、国内外で高い評価を獲得しています。
この輝かしい成功があるからこそ、次世代モデルへの期待は自然と高まります。自動車業界全体の技術革新、特にバッテリー技術やソフトウェア、運転支援システムの進化は驚異的なスピードで進んでおり、競争環境も日々厳しさを増しています。現行モデルの登場（2021年）から起算して2027年というタイミングは、近年の技術革新の速さや競争環境を考慮すると、次期フルモデルチェンジの有力な候補時期として注目されています。三菱自動車がPHEVカテゴリーでのリーダーシップを堅持し、さらにその地位を強固なものにするためには、最新技術を惜しみなく投入した次世代モデルをこの時期に計画している可能性は十分に考えられます。「2027年」という具体的な年は、現時点では公式発表ではないものの、次期モデル登場の有力な時期として市場で広く認識されつつあります。
期待される新型アウトランダーPHEVの進化：スペックと性能予測
では、2027年に登場すると期待される次世代アウトランダーPHEVは、現行モデルからどのような進化を遂げるのでしょうか。現在の技術トレンドやアライアンス（ルノー・日産・三菱自動車）の動向を踏まえ、その未来像を予測してみましょう。
最大の注目点は、PHEVシステムの根幹をなす電動化技術のさらなる深化です。現行モデルの2.4Lエンジン、高性能な前後モーター、そして20kWhの大容量駆動用バッテリーという組み合わせは既に高いレベルにありますが、次世代モデルではこれを凌駕する性能が期待されます。バッテリー技術の進歩は著しく、エネルギー密度が向上することで、同等かそれ以下のスペースでさらなる大容量化が実現する可能性があります。これにより、EV航続距離は現在の80km台から、次世代PHEVのスタンダードとなるであろう100km超えを達成することが濃厚視されます。日常的な移動の大部分をゼロエミッションのEV走行でカバーできれば、経済性と環境性能は飛躍的に向上します。
モーターに関しても、効率と出力がさらに高められた新型ユニットの採用が予想されます。これにより、EVとしての加速性能や静粛性が向上するだけでなく、エンジン（発電機）の稼働を最小限に抑え、システム全体のエネルギー効率を改善することにも繋がるでしょう。エンジン自体も、発電に特化した最適化が進むか、アライアンス内で開発される次世代の高効率エンジンへと刷新される可能性も考えられます。充電インフラの進化に合わせ、普通充電時間の短縮や急速充電（CHAdeMO規格の次世代対応含む）能力の向上が図られることも期待されます。さらに、V2H（Vehicle to Home）やV2G（Vehicle to Grid）といったエネルギーマネジメント機能も、よりインテリジェントで使いやすいものへと進化するでしょう。
三菱自動車が世界に誇る車両運動統合制御システム「S-AWC」は、次世代PHEVシステムとの融合により、新たな次元へと進化するはずです。より強力かつ応答性に優れたツインモーターと、ブレーキ制御（AYC：アクティブヨーコントロール）を統合的に制御することで、あらゆる路面状況においてドライバーの意のままに応える、より安全でダイナミックなハンドリング性能を実現します。オンロードでの安定性、雪道や悪路での圧倒的な走破性、そして緊急回避時の挙動安定性など、あらゆる面でドライバーに自信と安心感を与える制御が期待されます。
プラットフォームについては、現行でも使用されているアライアンス共通のCMF-C/Dプラットフォームを大幅に改良したもの、あるいは電動化への最適化をさらに進めた次世代プラットフォームが採用される可能性があります。これにより、重量物であるバッテリーの理想的な配置による低重心化、ボディ剛性のさらなる向上、そして衝突安全性能の最高レベルでの確保などが実現されるでしょう。
デザインと先進技術：フラッグシップとしてのさらなる磨き上げ
デザインにおいては、三菱自動車のデザイン哲学である「ダイナミックシールド」や、水平基調の力強いスタンスといったコア要素は継承しつつ、より洗練され、未来感と高品質感を増したスタイリングへと昇華されることが予想されます。空力性能の追求は電動化時代においてさらに重要度を増すため、よりクリーンで効率的なフォルムが追求されるかもしれません。PHEVモデルとしての先進性を象徴する独自のディテールも、より効果的に用いられるでしょう。インテリアでは、ドライバー中心のインターフェース設計がさらに推し進められ、大型ディスプレイやデジタルメーターによる情報の視認性・操作性が向上します。素材の質感向上や、3列シートレイアウトのさらなる最適化による居住空間・荷室空間の使い勝手向上も期待されるポイントです。
先進運転支援システム（ADAS）は、アライアンスの最新技術が積極的に導入され、格段の進化を遂げるでしょう。高速道路同一車線運転支援技術「MI-PILOT（マイパイロット）」は、ハンズオフ機能の実現や適用範囲の拡大、より人間に近い自然な制御へと進化する可能性があります。センサーやAI技術の進化により、予測精度の向上、交差点での右左折時や出会い頭の事故防止支援、より高度な自動駐車機能（MI-PILOT Parking）などが搭載され、安全・安心な運転を強力にサポートします。コネクティビティ機能も大幅に強化され、リアルタイム情報の活用、エンターテイメント機能の充実、スマートフォン連携の深化、OTA（Over-The-Air）によるソフトウェアアップデートなどが実現し、移動時間をより豊かで便利なものに変えてくれるはずです。
価格帯の予測
2027年登場が期待される次期新型アウトランダーPHEVの価格設定は、現段階では推測の域を出ません。しかし、現行モデルの価格帯（約499万円から約610万円 ※2025年4月時点）が一つの基準となります。EV航続距離の大幅な延長、PHEVシステムの高性能化、先進運転支援システムの高度化などを考慮すると、価格上昇は避けられない要素です。一方で、電動化部品のコストダウンや生産効率の向上も進むため、大幅な値上げにはならない可能性もあります。競合モデルとの価格戦略も重要になるため、現行モデルの価格帯をベースとしつつ、性能向上分を反映した形で、中心価格帯が600万円台から700万円台前半あたりになると予想するのが現実的かもしれません。購入検討時には、最新の補助金制度の動向も注視する必要があるでしょう。
アウトランダーPHEVの歴史と現行モデルの功績
新型モデルの予測に入る前に、アウトランダーPHEVがこれまでどのような道を歩んできたのかを振り返りましょう。初代モデルが登場したのは2013年。当時、SUVとプラグインハイブリッドという組み合わせは非常に斬新であり、その先進性から多くの注目を集めました。家庭用電源での充電が可能であることや、静かで滑らかなEV走行、そしていざという時のガソリンエンジンによる航続距離の確保は、ユーザーに新たな価値を提供しました。
2021年には、現行モデルとなる2代目アウトランダーPHEVが発表されました。プラットフォームを一新し、内外装のデザインを大幅に刷新。EV走行距離の延長や、ツインモーターによる力強い走行性能、そして三菱自動車との協業による4WD制御技術「S-AWC」の採用など、あらゆる面で進化を遂げました。特に、その上質な内外装や、7人乗り仕様の設定などは、ファミリー層を中心に幅広いユーザーから支持を得ています。
現行モデルの成功は、プラグインハイブリッドSUVという新たな市場を確立したと言っても過言ではありません。環境意識の高まりとともに、電動車の需要はますます増加しており、アウトランダーPHEVはその潮流を牽引する役割を担ってきました。
電動化戦略の要：アウトランダーPHEVの進化
まずは、プラグインハイブリッドSUVの先駆者であるアウトランダーPHEVのフルモデルチェンジについて、改めて深く掘り下げていきましょう。初代モデルの登場以来、SUVとプラグインハイブリッドの融合という革新的なコンセプトで市場を切り拓き、現行モデルではその高い質感と電動性能で多くのユーザーを魅了してきました。
2027年8月に予測されるフルモデルチェンジでは、日産の最新電動化技術が惜しみなく投入されることが期待されます。バッテリー技術の進化によるEV走行距離の大幅な延長は、日常使いにおけるゼロエミッション走行の範囲を広げ、より多くのユーザーにとって環境負荷低減への貢献を身近なものにするでしょう。モーター出力の向上は、加速性能や悪路走破性のさらなる向上に繋がり、SUVとしての魅力を高めます。
また、デザインにおいても、次世代の日産デザインフィロソフィーが採用され、より洗練された、そして力強いスタイリングへと進化することが予想されます。内装においても、質感の向上はもちろん、先進的なテクノロジーが惜しみなく投入され、快適性と利便性を高めた空間が提供されるはずです。大型ディスプレイによるインフォテインメントシステムの進化や、最新の運転支援システム「プロパイロット」の機能強化も期待されます。
アウトランダーPHEVのフルモデルチェンジは、単にモデルチェンジという枠を超え、日産の電動化戦略を象徴する一台として、その技術力と未来へのビジョンを示す重要な役割を担うことになるでしょう。
本格SUVの進化：エクストレイルのフルモデルチェンジ
一方、本格SUVとしての確固たる地位を築いているエクストレイルも、2027年8月にフルモデルチェンジを迎える可能性が高まっています。タフなスタイリングと優れた走行性能、そして使い勝手の良さで、幅広い層から支持を得てきたエクストレイルが、次期型でどのような進化を遂げるのかも、大きな注目が集まっています。
エクストレイルのフルモデルチェンジでは、その伝統的なSUVとしての魅力は継承しつつ、電動化技術を取り入れた新たなパワートレインが搭載される可能性が考えられます。日産の電動化技術「e-POWER」の進化版や、あるいはプラグインハイブリッドシステムが搭載されることで、燃費性能と走行性能の両立が図られるかもしれません。これにより、環境性能に対する意識の高まりに対応しつつ、エクストレイルならではの力強い走破性も維持されることが期待されます。
デザイン面では、よりモダンで洗練されたSUVスタイルへと進化する可能性があります。現行モデルの持つ力強さをベースに、最新のデザイントレンドを取り入れた、より都会的で洗練されたエクステリアとなるかもしれません。内装においても、質感の向上や、最新のインフォテインメントシステムの搭載、そして使い勝手の良さを追求したデザインが採用されるでしょう。
エクストレイルのフルモデルチェンジは、本格SUVとしての魅力を維持しつつ、電動化技術を取り入れることで、新たな顧客層の獲得を目指す戦略的な一手となる可能性があります。
同時フルモデルチェンジの意義：日産SUVラインナップの強化
アウトランダーPHEVとエクストレイルという、日産のSUVラインナップにおける重要な二車種が、2027年8月に同時にフルモデルチェンジを迎えることは、日産にとって非常に大きな意味を持ちます。これは、日産がSUV市場におけるプレゼンスをさらに高め、電動化時代においても主導的な役割を果たすという強い意志の表れと言えるでしょう。
それぞれの車種が、最新の電動化技術とデザイン哲学を共有しながらも、明確な個性を持ち、異なるニーズを持つ顧客層に対応することで、日産のSUVラインナップ全体の競争力が大幅に向上することが期待されます。
アウトランダーPHEVは、その進化した電動性能と上質な内外装で、環境意識が高く、質の高いSUVを求めるユーザーにアピールします。一方、エクストレイルは、電動化技術を取り入れつつも、その伝統的なSUVの魅力である力強い走行性能と使い勝手の良さで、アクティブなライフスタイルを送るユーザーや、本格的なSUVを求めるユーザーのニーズに応えるでしょう。
この二つのフルモデルチェンジは、日産の電動化戦略における重要な柱となり、2030年代早期の主要市場における新型車100%電動化という目標達成に向けた大きなステップとなるはずです。
ユーザーへの新たな選択肢：電動SUVの多様化
アウトランダーPHEVとエクストレイルの同時フルモデルチェンジは、ユーザーにとって、電動SUVの選択肢が大きく広がるというメリットをもたらします。プラグインハイブリッドという選択肢に加え、エクストレイルに新たな電動パワートレインが導入されることで、ユーザーは自身のライフスタイルやニーズに合わせて、最適な電動SUVを選ぶことができるようになります。
例えば、日常の通勤や買い物などの短距離移動が中心で、週末にはアウトドアレジャーを楽しむユーザーであれば、EV走行距離が延長されたアウトランダーPHEVが最適な選択肢となるかもしれません。一方、長距離移動が多く、雪道や悪路を走行する機会が多いユーザーであれば、電動化されたエクストレイルの力強い走行性能と、航続距離の心配がないという点が魅力となるでしょう。
このように、日産のSUVラインナップが多様化することで、より多くのユーザーが電動車のメリットを享受できるようになり、電動化社会の実現に向けた動きが加速することが期待されます。
競合との差別化：日産SUVの独自性
激化するSUV市場において、新型アウトランダーPHEVと新型エクストレイルが、競合車種に対してどのような独自性を打ち出すことができるかは、非常に重要なポイントです。
アウトランダーPHEVにおいては、その長い歴史と実績、そしてプラグインハイブリッド技術の高さが、他社の追随を許さないアドバンテージとなります。さらに、今回のフルモデルチェンジで電動性能が大幅に向上すれば、その優位性はさらに高まるでしょう。7人乗り仕様の設定も、競合車種には少ない独自の魅力です。
エクストレイルにおいては、本格SUVとしての伝統と、新たに搭載されるであろう電動パワートレインとの融合が、独自の価値を生み出す可能性があります。悪路走破性の高さや、使い勝手の良さといったエクストレイルならではの魅力に、電動化による静粛性やスムーズな加速といった新たな価値が加わることで、他にはない魅力的なSUVとなることが期待されます。
日産が、それぞれの車種の強みをさらに磨き上げ、最新の技術とデザインを取り入れることで、新型アウトランダーPHEVと新型エクストレイルは、競合ひしめくSUV市場において、確固たる地位を築くことができるでしょう。
2027年への期待と課題：成功への道のり
2027年8月という時期に、アウトランダーPHEVとエクストレイルのフルモデルチェンジが同時に実現すれば、日産にとって大きな飛躍の年となることは間違いありません。しかし、その成功に向けては、いくつかの課題を克服する必要があります。
まず、世界的な半導体不足や、バッテリーをはじめとする原材料の価格高騰など、自動車業界全体が直面しているサプライチェーンの問題への対応です。安定した部品供給体制を構築し、生産計画を滞りなく実行することが、発売時期を守り、顧客への納車をスムーズに行うためには不可欠です。
また、急速に進む電動化に対応するための、充電インフラの整備も重要な課題です。政府や自治体、そして自動車メーカーが協力し、充電設備の拡充を進めることで、ユーザーが安心して電動車を利用できる環境を整備する必要があります。
さらに、新型車の魅力を最大限に伝えるための、効果的なマーケティング戦略も重要です。それぞれの車種のターゲット顧客層に合わせた情報発信を行い、その革新的な進化と、日産の電動化に対するビジョンを明確に伝えることが求められます。
これらの課題を克服し、新型アウトランダーPHEVと新型エクストレイルが、その期待に応えるだけの魅力的な商品として市場に投入されれば、日産は電動SUV市場において、確固たるリーダーシップを確立することができるでしょう。
編集部から一言
2027年という具体的な登場時期はまだ公式に確定されたものではありませんが、三菱自動車がPHEVカテゴリーのフロントランナーとして、次期アウトランダーPHEVの開発に全力を注いでいることは疑いようがありません。現行モデルで築き上げた高い評価と信頼を礎に、バッテリー、モーター、車両制御、そして先進安全技術といったあらゆる領域で、着実かつ大きな進化を遂げて登場することが期待されます。
次世代アウトランダーPHEVは、圧倒的なEV航続距離、意のままのドライビングプレジャー、最高水準の安全性と利便性を兼ね備え、三菱自動車の技術力と未来へのビジョンを体現するフラッグシップモデルとして、再び世界のPHEV SUV市場を牽引する存在となるでしょう。環境性能と走りの楽しさ、そしてSUVならではの実用性を見事に融合させた、まさに次世代のスタンダードを提示してくれるはずです。
三菱自動車からの正式な発表が待たれますが、同社がPHEV技術に注ぎ込んできた情熱と、「アウトランダー」というブランドが持つ確かな実力を考えれば、私たちの期待を上回るモデルが登場する可能性は十分にあります。2027年に向けて、PHEVリーダーがどのような革新を見せてくれるのか、その動向から目が離せません。
アウトランダーPHEV
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/outlander_phev/index.html
