三菱自動車が2025年10月に日本発売予定の「トライトン ブラックエディション（Black Edition）」は、既存のトライトンラインナップに新たに加わる特別仕様車です。海外で好評を博していたブラックエディションをついに日本市場に導入することで、より多様なユーザーのニーズに応える戦略的なモデルとなっています。
三菱トライトン ブラックエディションとは？
このブラックエディションは、従来の「GLS」「GSR」の2グレード体制に加わる3番目のグレードとして位置づけられ、ブラックを基調とした専用エクステリア・インテリア装備により、より精悍で高級感のあるスタイリングを実現しています。
三菱トライトンとは？日本復活の背景
トライトンの歴史と位置づけ
三菱トライトンは2006年に初代が日本で発売されたピックアップトラックですが、2012年に一度販売を終了。その後、フルモデルチェンジによって3代目となった現行モデルが2024年2月に12年ぶりに日本市場へ復活を果たしました。
現在、トライトンは約150カ国で販売される三菱の主力ピックアップトラックとして世界戦略車の役割を担っています。日本でのピックアップトラック市場の拡大とアウトドア需要の高まりを受け、再導入が決定されました。
日本市場でのポジション
日本のピックアップトラック市場では、トヨタ・ハイラックスが長らく独占的な地位を占めていましたが、トライトンの復活により競合環境が活発化。特に、トライトンはハイラックスと比較してボディサイズや装備面で優位性を持つ部分があり、差別化を図っています。
ブラックエディションの特徴とデザイン
エクステリア（外装）の特別装備
ブラック統一デザイン
- フロントグリル：ブラック仕上げ
- ドアハンドル：ブラック塗装
- アルミホイール：ブラック専用ホイール
- ドアミラー：ブラック仕上げ
- テールゲートハンドル：ブラック塗装
アンダーボディ強化
- サイドステップ：ブラック仕様
- リアバンパー：ブラック塗装
- フロント・サイド・リヤアンダーガード：統一感のあるブラック仕上げ
これらの専用装備により、標準モデルと比較してより精悍で高級感のある外観を実現。アウトドアシーンでの存在感を高めると同時に、都市部でもスタイリッシュな印象を与えます。
インテリア（内装）の質感向上
ブラックエディションでは、エクステリアのブラック統一コンセプトを内装にも展開。メタリック加飾部分をブラック基調とすることで、室内全体に統一感と高級感を演出しています。
基本スペックと性能
エンジン性能
搭載エンジン
- 型式：直列4気筒2.4Lディーゼルターボ「4N16」
- 最高出力：204ps（150kW）/3,500rpm
- 最大トルク：47.9kgm（470Nm）/1,500-2,750rpm
- 燃費：11.3km/L（WLTC）
2ステージターボシステム
新開発の4N16エンジンは、2つのタービンを協調制御する2ステージターボシステムを採用。低速から高速まで全回転域で最適な過給を実現し、前世代の4N15エンジンから大幅な出力向上を果たしています。
ボディサイズ詳細
寸法（ブラックエディション予想値）
- 全長：5,360mm（GSRグレード同等と推定）
- 全幅：1,930mm
- 全高：1,815mm
- ホイールベース：3,130mm
4WDシステム
スーパーセレクト4WD-II
- 2H：後輪駆動モード
- 4H：フルタイム4WD
- 4HLc：センターデフロック
- 4LLc：ローギヤ+センターデフロック
AYC（アクティブヨーコントロール）
コーナリング時に前輪内側に軽いブレーキをかけることでコーナリング性能を向上させる先進システムを標準装備。
安全装備・先進技術
予防安全システム
三菱e-Assist
- 衝突被害軽減ブレーキシステム（夜間検知対応）
- 後側方車両検知警報システム（レーンチェンジアシスト機能付）
- 後退時車両検知警報システム
- 踏み間違い防止アシスト
- レーダークルーズコントロール（ACC）※0km/h～対応
インフォテインメント
Mitsubishi Connect
- スマートフォン連携機能
- リモートエアコン操作
- 車両位置確認
- 緊急時自動通報システム
価格設定と市場ポジション
予想価格
ブラックエディションの価格は約560万円と予想されており、現行ラインナップでは最上位に位置づけられます。
現行価格体系（参考）
- GLS：4,988,500円
- GSR：5,408,700円
- ブラックエディション：約5,600,000円（予想）
競合車種との比較
vs トヨタ ハイラックス
- 価格帯：ハイラックスZ（4WD）約393万円
- ボディサイズ：トライトンがより大型
- 装備：トライトンがより充実した4WDシステム
発売時期・販売戦略
発売スケジュール
2025年10月発売予定
三菱自動車は、ブラックエディションの発売により既存の2グレード体制を3グレードに拡大し、より幅広い顧客層にアプローチする戦略です。
ターゲット層
メインターゲット
- アウトドア愛好家：キャンプ、釣り、登山などで本格的な4WD性能を求めるユーザー
- 商用利用者：建設業、農業、運送業などで実用性と存在感を重視するユーザー
- ライフスタイル重視層：都市部でも映えるスタイリッシュなピックアップを求めるユーザー
ピックアップトラック市場の展望
日本市場の成長
近年、日本でもピックアップトラック市場が拡大傾向にあります。アウトドアブームやライフスタイルの多様化により、従来の商用車的なイメージから脱却し、乗用車としての需要が高まっています。
今後の展開予想
三菱自動車は、トライトンのラインナップ拡充により市場シェア拡大を狙っています。ブラックエディションの成功次第では、さらなる特別仕様車の投入や、電動化モデルの展開も予想されます。
購入検討時のポイント
メリット
- 差別化されたデザイン：ブラック統一による精悍な外観
- 高い実用性：JIS規格パレット対応の荷台
- 先進の4WDシステム：本格的なオフロード性能
- 充実した安全装備：最新の予防安全技術
注意点
- 車格の大きさ：都市部での駐車場確保
- 燃費性能：11.3km/Lは同クラスでは標準的
- 価格設定：560万円は高額な価格帯
まとめ
三菱新型トライトン ブラックエディションは、日本のピックアップトラック市場に新たな選択肢を提供する魅力的なモデルです。ブラックを基調とした専用装備による精悍なスタイリング、先進の4WDシステム、充実した安全装備により、アウトドア愛好家から商用利用者まで幅広いニーズに応える仕様となっています。
2025年10月の発売に向けて、三菱自動車のピックアップトラック戦略の中核を担う重要なモデルとして注目が集まっています。ハイラックス一強だった日本市場に真の競争をもたらす存在として、今後の市場動向が期待されます。
