2025年12月、ホンダのミドルサイズSUV「CR-V」に待望のハイブリッドモデル「e:HEV RS」が日本市場へ投入されます。ジャパンモビリティショー2025で初公開されたこのモデルは、燃料電池車として先行導入されていたCR-V e:FCEVとは異なる魅力を備えた、走りを重視したスポーティなグレードとして登場します。

待望のハイブリッドモデルがついに日本上陸

2024年7月に燃料電池車として日本市場に復活したCR-Vでしたが、ユーザーからは「ハイブリッドモデルを待っていた」という声が圧倒的に多く寄せられていました。本記事では、実際の展示車両を詳細に見て分かった、CR-V e:HEV RSの優れた点と残念な点を徹底解説します。
外装デザインの魅力 - 優れている点
洗練されたフロントマスク

CR-V e:HEV RSの外観で最も印象的なのが、燃料電池車とは明確に差別化されたフロントデザインです。
優れているポイント:
- グロスブラックの大型グリル - 押し出し感のある正統派SUVスタイルを表現
- 鋭いヘッドライトデザイン - シャープで知的な印象を与える造形
- 質感の高いブラックパーツ - グリル周辺、フォグランプベゼル、フロントリップなど、随所にグロスブラック仕上げを採用
- ハニカム形状の大型グリル - スポーティさと高級感を両立
特に注目すべきは、グリルやバンパー下部のブラックパーツが単なる樹脂ではなく、キラキラとした質感のある素材を使用している点。光の当たり方によって表情が変わり、上質な雰囲気を演出しています。

スポーティなサイドビュー

サイドから見たシルエットも魅力的です。
優れているポイント:
- フェンダーアーチの立体的なデザイン - えぐり込まれたようなキャラクターラインがフェンダーの存在感を強調
- 19インチ専用アルミホイール - グロスブラック×切削光輝の組み合わせが足元を引き締める
- ミシュラン ラティチュードスポーツ3 - 235/55R19の高性能タイヤを装着(RSグレード)
- ブラックアウトされたピラーとミラー - ルーフレール含めダークトーンで統一
- グロスブラックのサイドロアモール - 全体のデザインに統一感を与える
全長はe:FCEVよりも若干短めでより引き締まった印象。ZR-Vよりも一回り大きく、上級感のあるサイズ感を実現しています。
力強いリアデザイン

リアビューも見逃せません。
優れているポイント:
- 特徴的なテールランプデザイン - 水平基調で幅広い印象を与える造形
- グロスブラックのリアバンパー - ディフューザー形状で走りを予感させる
- 一体型マフラーフィニッシャー - ダミーではなく機能するデザイン
- RSバッジとBLACK EDITIONエンブレム - 専用性を主張

リアデザインはe:FCEVと共通ですが、フロントのブラックグリルとコーディネートされることで、統一感のある洗練されたスタイルに仕上がっています。
内装デザインと装備 - 優れている点
上質なインテリア空間

室内に乗り込むと、ホンダ車の中でも特に質感の高いインテリアが広がります。
優れているポイント:
- グロスブラックとヘアライン加工の組み合わせ - ダッシュボード、センターコンソール、ドアパネルなど随所に高品質な素材を使用
- アンビエントライト - ドアパネルやセンターコンソールを柔らかく照らす間接照明
- ソフトパッド多用 - ダッシュボード上部、ドアアームレスト、センターコンソールなど触れる部分はほぼ全てソフト素材
- キルティングパターンのシート - センター部分にハニカム柄を配した立体的なデザイン
- 金属製アクセルペダル - RSグレードらしいスポーティな装備
特筆すべきは、夜間の質感演出。アンビエントライトやバックライト付きUSBポート、ドアポケットの照明など、細部まで配慮された照明設計が高級感を高めています。
充実の快適装備
優れている装備:
- 前席シートヒーター&シートベンチレーション - 夏も冬も快適(※展示車両には装備)
- ステアリングヒーター - ホンダ車では珍しい装備
- パノラマルーフ - 開閉可能なサンルーフで開放感抜群
- 10インチデジタルメーター - 視認性に優れた最新デジタルメーター
- 9インチディスプレイオーディオ - Googleビルトイン対応
- ヘッドアップディスプレイ - 運転に集中できる表示システム(設定の可能性)
- 電動シート(運転席・助手席) - ランバーサポートは上下調整可能
- パワーテールゲート - リモート操作に対応
残念ながらシートベンチレーションが日本仕様で採用されるかは未確定ですが、展示車両には装備されていたため期待が持てます。また、1500Wの外部給電機能がない点はハイブリッドSUVとしては惜しいポイントです。
操作系の使いやすさ
優れているポイント:
- ボタン式電子シフト - スッキリとしたセンターコンソールを実現
- グロスブラックの操作パネル - 質感の高い仕上げ
- 左右独立温度調整エアコン - 前席の快適性を個別に調整
- ドライブモードセレクター - ECON/NORMAL/SPORTモードを切り替え(INDIVIDUALモードの有無は不明)
- Honda パーキングパイロット - 自動駐車支援機能を搭載
- ヒルディセントコントロール - 急坂での安全な降坂をサポート
室内空間と実用性 - 優れている点
ゆとりある後席スペース
ドライバーがドライビングポジションを取った状態で後席に座ると:
- 膝前空間: 拳3個分以上
- 頭上空間: 十分な余裕
- 足元の横幅: 足を広げて座れるフラットなフロア
- シート: 座面が長く、背もたれも大きめでサポート性良好
この広さは、ZR-Vを上回る日本の道路環境にベストサイズのSUVと言えます。
後席の快適装備
優れているポイント:
- リクライニング機能 - 角度調整が可能
- 後席シートヒーター - 4WDモデルに標準装備の可能性
- USB Type-C 2ポート - バックライト付きで夜間も使いやすい
- 左右独立エアコン吹き出し口 - 後席の快適性を配慮
- シートバックポケット - 運転席・助手席の両方に装備
実用的なラゲッジスペース
優れているポイント:
- 広いラゲッジルーム - 2列シート仕様で深さも十分
- 低い荷室床面 - 荷物の積み降ろしがしやすい
- 後席可倒式 - ほぼフラットな荷室空間を実現(若干の段差あり)
- 180Wアクセサリーソケット - ラゲッジ内で電源確保
- ラゲッジアンダースペース - ある程度の収納が可能
- LEDラゲッジランプ - 夜間も荷物が見やすい
パワートレインと走行性能 - 優れている点
アコード譲りの2.0L e:HEV
CR-V e:HEV RSには、アコードと同じ2.0L直列4気筒エンジン+デュアルモーターのe:HEVシステムが搭載されます。
スペック:
- エンジン出力: 145ps/17.8kgm
- モーター出力: 184ps/32.1kgm
- 駆動方式: FF(2WD) / リアルタイムAWD(4WD)
優れているポイント:
- 電気モーター主体の走り - 発進から力強い加速
- シームレスな走行モード切替 - 状況に応じてEV走行/ハイブリッド走行/エンジン直結走行を自動選択
- 優れた燃費性能 - 約17.1km/L(米国EPA値)
- リアルタイムAWD - 雪道や悪路でも安心の4WD性能(4WDモデル)
- 静粛性の高い走り - e:HEV特有の滑らかな加速
ただし、新型プレリュードに搭載される新世代e:HEVではなく、従来型のシステムであり、Honda S+ Shiftの設定もない点は少し残念です。
走りを重視したRS専用チューニング
優れているポイント:
- 専用足回りセッティング - 海外標準仕様から変更
- パワートレイン制御の最適化 - RS専用のチューニング
- シャシー制御システムの改良 - 日本仕様専用設定
- パドルシフト装備 - 回生ブレーキの調整が可能
これらの専用チューニングにより、単なるハイブリッドSUVではなく、走る楽しさを感じられるRSに仕上げられています。
安全装備 - 優れている点
最新のHonda SENSING搭載
標準装備される先進安全機能:
- フロントワイドビューカメラ - 広角に前方を検知
- 8つのソナーセンサー - 車両前後に配置
- 近距離衝突軽減ブレーキ - 従来機能から拡充
- 渋滞追従機能付ACC - 高速道路での疲労軽減
- 車線維持支援システム - 安全な走行をサポート
これらの装備により、ドライバーの負担を軽減し、安全性を高めるシステムが全車標準となります。
ボディサイズと取り回し
絶妙なサイズ感
CR-V e:HEV RSのボディサイズ:
- 全長×全幅×全高: 4805×1865×1690mm
- ホイールベース: 2700mm
比較:
- ZR-V: 4570×1840×1620mm / WB:2655mm
- 前世代CR-V: 4605×1855×1680mm / WB:2660mm
優れているポイント:
- 前世代から拡大 - 全長+200mm、ホイールベース+40mmで室内空間を確保
- ZR-Vより一回り大きい - 上級感のあるサイズ
- 日本の道路環境に適したサイズ - 取り回しと広さのバランスが絶妙
- 駐車場にも入るサイズ - 全幅1865mmは立体駐車場の多くに対応
CR-V e:HEV RSのグレード構成と価格帯
シンプルなグレード展開
今回日本市場向けに設定されるCR-V e:HEVは、ヴェゼルのような複数グレード展開ではなく、「e:HEV RS」一本に絞った設定となります。
グレードラインナップ:
- CR-V e:HEV RS [2WD/4WD]
- CR-V e:HEV RS BLACK EDITION [4WDのみ]

最上級グレードとなる「BLACK EDITION」は四輪駆動のみの設定で、専用のブラックアクセントが施されたスポーティな外観が特徴です。
予想価格帯
車両本体価格は以下のように予想されています:
- RS 2WD: 約500万円
- RS 4WD: 約530万円
- RS BLACK EDITION: 約600万円
BLACK EDITIONには、BOSE製プレミアムサウンドシステム、前後席シートヒーター、シートベンチレーション、9インチディスプレイオーディオ(Googleビルトイン Honda CONNECT)、ヘッドアップディスプレイなどが標準装備される見込みです。
- CR-V e:FCEV :809万4900円

残念な点・気になるポイント
ここまで優れた点を紹介してきましたが、実車を見て気になった点もいくつかあります。
1. デジタルインナーミラーの設定がない
残念なポイント:
- ホンダのラインナップでデジタルインナーミラー(アドバンスドルームミラー)を採用しているのはステップワゴンのディーラーオプションのみ
- CR-Vのような上級SUVこそ標準装備してほしい機能
- 後方視界の確保や夜間の視認性向上に有効
2. ナビ画面サイズ
気になるポイント:
- 9インチディスプレイ - Googleビルトイン対応は魅力的
- しかし、最近のSUVでは10インチ以上が主流
- もう一回り大きい画面があれば、より使いやすかった可能性
3. 1500W外部給電の不在
残念なポイント:
- ラゲッジには180Wアクセサリーソケットのみ
- ハイブリッドSUVなら1500W外部給電があると、キャンプや災害時に非常に便利
- トヨタやマツダのハイブリッドSUVには標準装備されている機能
4. 新世代e:HEVではない
気になるポイント:
- 新型プレリュードには新世代e:HEVが搭載される
- CR-Vは従来型のe:HEVシステム
- Honda S+ Shiftの設定もなし
- パワートレインとしては十分だが、最新技術を期待していた層には物足りない可能性
5. ボディカラーの選択肢
気になるポイント:
- 展示車のスレートグレーパールは非常に魅力的
- しかし、この色がBLACK EDITION専用なのか、RSグレードでも選択可能なのかは不明
- カラーバリエーションの詳細が待たれる
6. 価格の高さ
気になるポイント:
- 予想価格で530万円~600万円超
- 前世代CR-Vのスタート価格は330万円台だった
- 装備は充実しているが、価格上昇は避けられない
- ZR-Vとの価格差も考慮する必要がある
7. 全国先行展示会の予定なし
残念なポイント:
- 発売前の全国巡回展示会などは予定されていない模様
- 実車を見たい場合は、ディーラーで発売を待つ必要がある
- ジャパンモビリティショーで見られたのは限られた人のみ
まとめ - CR-V e:HEV RSは「買い」なのか?
優れている点の総括
ホンダ CR-V e:HEV RSは、以下の点で非常に魅力的なSUVです:
✅ 洗練された内外装デザイン - グロスブラックを効果的に使った上質な仕上げ
✅ ゆとりある室内空間 - 日本の道路環境にベストなサイズ感
✅ 充実した快適装備 - シートヒーター、パノラマルーフ、最新インフォテインメント
✅ 走りを重視したRS専用チューニング - 単なる実用SUVではない走る楽しさ
✅ アコード譲りの2.0L e:HEV - 力強く滑らかな走り
✅ 高い質感 - ホンダ車の中でもトップクラスのインテリア品質
残念な点の総括
一方で、以下の点は改善の余地があります:
❌ デジタルインナーミラーの不在 - 上級SUVとしては惜しい
❌ 1500W外部給電がない - ハイブリッドの強みを活かしきれていない
❌ 新世代e:HEVではない - 最新技術への期待とのギャップ
❌ 価格の高さ - 前世代から大幅に上昇
こんな人におすすめ
CR-V e:HEV RSが向いている人:
- ✔ ZR-Vでは少し物足りないと感じる人
- ✔ ミドルサイズSUVでスポーティな走りを楽しみたい人
- ✔ 質感の高い内装を求める人
- ✔ ハイブリッドの燃費性能と走行性能を両立したい人
- ✔ 後席の広さを重視するファミリー層
他車も検討した方がいい人:
- ✔ 予算を抑えたい人(ZR-Vやヴェゼルも検討)
- ✔ 最新のハイブリッド技術を求める人
- ✔ 外部給電など防災装備を重視する人
発売時期と今後の展開
発売スケジュール
- 発表・発売予定: 2025年12月
- 先行情報: 公式サイトにて一部情報公開中
- 試乗開始: 発売直前からディーラーで可能になる見込み
今後注目すべきポイント
- 正式な車両価格 - 500万円台前半で抑えられるか
- シートベンチレーションの有無 - 日本仕様での採用状況
- ボディカラーラインナップ - スレートグレーパールの選択可否
- 実燃費 - 17km/L台を達成できるか
- 納期 - 発売直後の注文でいつ納車されるか
競合車種との比較
ZR-V e:HEV との違い

CR-Vが優れている点:
- ボディサイズが一回り大きく、室内も広い
- 質感がより高級
- RSグレードは走りも重視
ZR-Vが優れている点:
- 価格が安い(約330万円~430万円)
- 取り回しがしやすい
- 燃費が若干良い
トヨタ RAV4 ハイブリッドとの比較

CR-Vが優れている点:
- 内装の質感と先進性
- 2.0L e:HEVの滑らかな走り
- デザインの洗練度
RAV4が優れている点:
- 1500W外部給電装備
- E-Fourの4WD性能
- リセールバリューの高さ
マツダ CX-60 との比較

CR-Vが優れている点:
- ハイブリッドの燃費性能
- 後席の広さ
- 先進安全装備の充実度
CX-60が優れている点:
- 内装の高級感(上位グレード)
- 直6エンジンの魅力(ガソリン/ディーゼル)
- FRベースの走り
よくある質問(FAQ)
Q1: CR-V e:HEVとe:FCEVの違いは?
A: e:HEVは2.0Lエンジン+電気モーターのハイブリッド。e:FCEVは水素燃料電池車です。価格はe:HEVの方が大幅に安く、実用性も高いです。
Q2: 2WDと4WDどちらがおすすめ?
A: 都市部中心なら2WDで十分。雪道走行やアウトドアが多い方は4WDがおすすめです。価格差は約20~30万円程度と予想されます。
Q3: ZR-Vとどちらを選ぶべき?
A: 予算重視ならZR-V、広さと質感重視ならCR-Vです。実際に両車を見比べることをおすすめします。
Q4: 納期はどのくらい?
A: 発売直後は人気が予想されるため、3~6ヶ月程度かかる可能性があります。早めの注文が確実です。
Q5: 7人乗りの設定はない?
A: 日本仕様では5人乗りのみです。3列シート希望ならステップワゴンやフリードを検討してください。
おわりに
ホンダ CR-V e:HEV RSは、長年待ち望まれていたハイブリッドモデルとして、2025年12月にいよいよ日本市場へ投入されます。実際にジャパンモビリティショーで見た実車は、予想以上に質感が高く、スポーティで洗練されたデザインが印象的でした。
デジタルインナーミラーや1500W外部給電の不在など、いくつか残念な点はありますが、全体的な完成度の高さ、ゆとりある室内空間、走りを重視したRS専用チューニングなど、魅力的なポイントが数多くあります。
価格は500万円台半ば~600万円超と決して安くはありませんが、この質感と装備内容を考えれば妥当な価格設定と言えるでしょう。
ZR-Vでは物足りない、でも輸入車は避けたいという方には、最適な選択肢となるのではないでしょうか。発売が待ち遠しい一台です。
今後、正式な価格発表や試乗レポートが出てきたら、改めて詳細をお伝えしたいと思います。


