レクサスは2024年12月24日、バッテリーEV(BEV)専用モデル「RZ」に特別仕様車「RZ600e"F SPORT Performance"」を設定し、2026年3月2日に全国のレクサス店を通じて発売すると発表しました。
レクサス初のBEV専用パフォーマンスモデル「RZ600e"F SPORT Performance"」とは
RZ600e"F SPORT Performance"は、2024年12月に刷新されたBEVシステムを搭載する「RZ550e"F SPORT"」をベースに、エアレースパイロットの室屋義秀選手とレーシングドライバーの佐々木雅弘選手の協力のもと、空力性能と走行性能を極限まで磨き上げた最高峰モデルです。

価格とボディカラー
- ブラック&HAKUGINⅡ(白銀Ⅱ):12,440,000円(税込)
- ブラック&ニュートリノグレー:12,165,000円(税込)
両カラーともにマットクリア塗装が施され、ブルーアクセントがスポーティさと先進性を表現しています。
RZ600e"F SPORT Performance"の主要スペック
パワートレインとパフォーマンス

RZ600e"F SPORT Performance"は、フロント・リア各167kW(227PS)のデュアルモーターを搭載し、**システム最高出力313kW(426PS)**を発揮します。この出力はベースモデルのRZ550e"F SPORT"(300kW/408PS)からさらに向上しており、0-100km/h加速は4.4秒という圧倒的な加速性能を実現しています。

| 項目 | スペック |
|---|---|
| フロントモーター最高出力 | 167kW(227PS) |
| リアモーター最高出力 | 167kW(227PS) |
| システム最高出力 | 313kW(426PS) |
| 最大トルク(各モーター) | 268Nm(27.3kgf·m) |
| 0-100km/h加速 | 4.4秒 |
バッテリーと航続距離
- 総電力容量:76.96kWh
- 航続距離:525km(WLTCモード)
- 電費:159Wh/km
- 急速充電規格:CHAdeMO
RZ550e"F SPORT"の582kmと比較すると航続距離は短縮されていますが、これは高出力化と空力パーツの装着による重量増加、スポーツ走行を想定したセッティングによるものです。
ボディサイズと車両重量
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 全長 | 4,860mm |
| 全幅 | 1,965mm |
| 全高 | 1,615mm(RZ550e比-20mm) |
| ホイールベース | 2,850mm |
| 車両重量 | 2,140kg |
| タイヤサイズ | 前:255/40R21 後:295/35R21 |
特筆すべきは、ベースモデルから全高を20mm低く設定したことで、空気抵抗を軽減し、低重心化による操縦安定性を向上させている点です。
RZ600e"F SPORT Performance"の特別装備
エクステリア装備

RZ600e"F SPORT Performance"は、F SPORT Performanceの象徴であるカーボン製エアロパーツを全面的に採用しています。
カーボンパーツ一覧
- カーボンルーフ:軽量化と低重心化に貢献
- カーボンウイング(ルーフ・リヤ):強力なダウンフォース生成
- カーボンターニングベイン(フロント・リヤ):空力性能の最適化
- カーボンフードバルジ:エンジンフードの立体的な造形
- カーボンスポイラー(フロントロア・フロントサイド・リヤロア):空気の流れをコントロール
- カーボンヘッドランプベゼル:精悍な表情を演出
その他のエクステリア装備

- 21インチアルミホイール(ENKEI製マットブラック塗装):前後異径サイズ
- 大型アーチモール:ワイドなスタンスを強調
- ドア下モール:専用デザイン
- フロント対向6ポッドアルミモノブロックブルーキャリパー(LEXUSロゴ付):高い制動力とスポーティな印象
ブレーキシステムの強化

モーター出力の向上に対応するため、20インチ大型ブレーキローターを採用。フロントには対向6ポッドのブルーキャリパーを装備し、スポーツ走行に適したブレーキフィーリングと優れた制動力を実現しています。
インテリア装備

F SPORT Performanceスポーツシート

- ウルトラスエード®製(ブラック+ブルーステッチ)
- 一体成型シート:スポーツ走行時のホールド性と日常の快適性を両立
- 運転席ポジションメモリー機能
- 運転席・助手席ベンチレーション機能
専用インテリアアクセント

- ブラック+ブルーアクセント ダイヤル式シフト
- ブルーアクセント インストルメントパネル
- ブラックヘゼル フロントカップホルダー
- ドアトリム(ウルトラスエード®製)
インテリア全体に配されたブルーのアクセントカラーが、BEVらしい先進性とスポーティな走りをイメージさせます。
空力性能の徹底追求|室屋義秀選手との協業
RZ600e"F SPORT Performance"の開発において、レクサスはエアレースパイロットの室屋義秀選手と協業しています。

室屋選手は、「LEXUS PATHFINDER AIR RACING」代表として、2017年に「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」でアジア人パイロット初の総合優勝を果たした実績の持ち主。航空機の空力技術をクルマづくりに活かし、自動車と航空機、互いの領域における新たな可能性を追求しています。
空力パーツによるダウンフォース効果
RZ600e"F SPORT Performance"に装着された各種カーボンエアロパーツは、単なる装飾ではなく、実走行での空力性能向上を目的としています。
- ルーフウイング:高速走行時のリヤダウンフォースを生成
- ターニングベイン:タイヤハウス周辺の空気の流れを整流
- フロント・リヤスポイラー:車体下部の空気の流れを最適化
これらのパーツにより、高速域での安定性が大幅に向上し、ワインディングロードでも安心して速度を乗せることができます。
レーシングドライバー佐々木雅弘選手による走りの磨き込み
開発には、レーシングドライバーの佐々木雅弘選手も参画しています。
佐々木選手は、2007年からスーパー耐久に参戦し、2019年にはTOYOTA GAZOO Racingからニュルブルクリンク24時間レースに挑戦。レクサス初のBEV専用モデルRZの開発段階から走りの味磨きに携わり、「RZ SPORT CONCEPT」のプロデュースや、前モデル「RZ450e"F SPORT Performance"」、「LBX"MORIZO RR"」の運動性能開発にも参画しています。
運動性能の向上
佐々木選手の知見により、RZ600e"F SPORT Performance"は以下の点で進化を遂げています。
- 低重心化:全高を20mm下げることで重心を下げ、ロール剛性を向上
- サスペンションチューニング:スポーツ走行に最適化
- タイヤサイズ:前後異径(フロント255/40R21、リヤ295/35R21)により、旋回性とトラクションを両立
- 重量配分最適化:AWDシステムとバッテリー配置により理想的な前後重量配分を実現
ステアバイワイヤとインタラクティブマニュアルドライブ
次世代ステアリング「ステアバイワイヤ」

RZ600e"F SPORT Performance"は、RZ550e"F SPORT"と同様にステアバイワイヤシステムを採用しています。
ステアバイワイヤは、ステアリングホイールと前輪を機械的に接続せず、電気信号で制御するシステムです。これにより、以下のメリットがあります。
- 路面からのキックバックを低減:不快な振動をカット
- 滑らかな操舵感:ダイレクト感とスムーズさを両立
- 可変ステアリングレシオ:速度や走行モードに応じて最適な操舵比に自動調整
- 狭い場所での取り回し向上:最小回転半径の縮小
インタラクティブマニュアルドライブ(IMD)
RZシリーズに搭載される「インタラクティブマニュアルドライブ」は、BEVでありながらマニュアルトランスミッション車のような運転感覚を味わえる機能です。
- 8速擬似変速:パドルシフトで疑似的なシフトチェンジが可能
- 回生ブレーキの調整:減速感をコントロール
- エンジンサウンド風の演出:モーター音に変化を加えて運転の楽しさを演出
街中からワインディングロードまで、あらゆるシーンで「操る喜び」を体感できます。
RZシリーズのラインアップ拡充
2024年12月の発表により、レクサスRZシリーズは大幅にラインアップを拡充しました。
現行RZラインアップ
| モデル | 駆動方式 | 最高出力 | 航続距離 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| RZ350e"version L" | FWD | 165kW(224PS) | 733km | 790万円 |
| RZ500e"version L" | AWD | 250kW(340PS) | 579km | 850万円 |
| RZ550e"F SPORT" | AWD | 300kW(408PS) | 582km | 950万円 |
| RZ600e"F SPORT Performance" | AWD | 313kW(426PS) | 525km | 1,216.5万円〜 |
FWDモデル「RZ350e」の航続距離が大幅向上
注目すべきは、新設定されたFWDモデル「RZ350e"version L"」の航続距離が733km(WLTCモード)に達していることです。これは先代RZ300e(494km)から約22%の大幅な向上となり、BEVの課題である航続距離の不安を大きく軽減しています。
軽量化により電費性能が向上し、日常使いからロングドライブまで幅広いシーンで活躍できるモデルとなっています。
BEVシステムの全面刷新
RZ550e"F SPORT"およびRZ600e"F SPORT Performance"に搭載されるBEVシステムは、従来のRZ450eから大幅に刷新されています。
バッテリー容量の向上
- 従来(RZ450e):71.4kWh
- 新型(RZ550e/RZ600e):76.96kWh
約5.5kWhの容量増加により、高出力化と航続距離の両立を図っています。
モーター出力の最適化
電池の出力限界を見直し、システム全体で効率を向上。特にRZ600e"F SPORT Performance"では、モーター制御の最適化により、伸びやかで気持ちの良い加速を実現しています。
DIRECT4(ダイレクト4)システム
レクサス独自のAWDシステム「DIRECT4」により、前後のモーター出力を走行状況に応じて最適配分。
- 加速時:リヤ駆動力を高めてトラクションを確保
- コーナリング時:前後配分を調整して旋回性能を向上
- 減速時:回生ブレーキを効率的に作動
「The Natural」をテーマに、意のままの走りを実現しています。
Lexus Driving Signatureによる上質な乗り心地
レクサスRZシリーズは、BEVならではの静粛性と滑らかな加速に加え、「Lexus Driving Signature」による上質な乗り心地を実現しています。
サスペンションセッティング
- フロント:マクファーソンストラット式
- リヤ:ダブルウィッシュボーン式
路面の凹凸を適切に吸収しながら、スポーティな走りを支える剛性を確保。特にRZ600e"F SPORT Performance"では、スポーツ走行に最適化されたセッティングが施されています。
静粛性の追求
BEVの利点である静粛性をさらに高めるため、遮音材の最適配置や空力ノイズの低減を実施。高速道路での快適性も大幅に向上しています。
先進の安全装備「Lexus Safety System +」
RZ600e"F SPORT Performance"には、レクサスの最新安全技術「Lexus Safety System +」が標準装備されています。
主な安全機能
- プリクラッシュセーフティ:衝突回避支援
- レーダークルーズコントロール:全車速追従機能
- レーントレーシングアシスト:車線維持支援
- レーンチェンジアシスト:車線変更支援
- プロアクティブドライビングアシスト:先読み運転支援
ボディ構造の強化
BEV専用プラットフォームを採用し、バッテリーをフロア下に配置することで、高い衝突安全性能を確保。高張力鋼板(1.8GPa級)を要所に使用し、軽量化と剛性向上を両立しています。
充電性能と利便性
急速充電対応
RZ600e"F SPORT Performance"は、CHAdeMO規格の急速充電に対応しています。
- 充電時間:30分で約80%まで充電可能(150kW急速充電器使用時)
- 普通充電:200V/6kWの普通充電にも対応
AC100V電源(1500W)
非常時やアウトドアでの利用を想定し、AC100V/1500Wのコンセントを装備。災害時の電源供給や、キャンプなどでの家電使用が可能です。
競合車種との比較
トヨタ bZ4Xとの違い

同じトヨタグループのBEVであるbZ4Xと比較すると、RZシリーズは以下の点で差別化されています。
- ブランドイメージ:レクサスならではの高級感と上質さ
- 走行性能:DIRECT4による優れた操縦安定性
- 内外装の質感:素材やデザインのこだわり
- 航続距離:RZ350eは733kmとbZ4Xを大きく上回る
テスラ Model Yとの比較

欧米市場で人気のテスラ Model Yと比較すると:
| 項目 | RZ600e | Model Y Performance |
|---|---|---|
| 最高出力 | 313kW(426PS) | 377kW(513PS) |
| 0-100km/h | 4.4秒 | 3.5秒 |
| 航続距離 | 525km | 514km |
| 価格 | 約1,216万円 | 約850万円 |
Model Yは加速性能で優位ですが、RZはレクサスならではの上質な乗り心地、静粛性、内装の質感で差別化されています。
OTA(Over The Air)アップデート対応
RZ600e"F SPORT Performance"は、OTA(Over The Air)アップデートに対応しています。
- ソフトウェア更新:ディーラーに行かずに最新機能を追加
- 性能向上:走行性能や燃費性能の最適化
- 新機能追加:将来的な機能拡張に対応
購入後も進化し続けるクルマとして、長期間にわたって最新の性能を享受できます。
RZ600e"F SPORT Performance"の魅力まとめ
こんな方におすすめ
- パフォーマンス重視:0-100km/h加速4.4秒の圧倒的な加速を楽しみたい
- スポーツ走行:ワインディングロードでの走りを堪能したい
- 所有欲を満たす:限定的な特別仕様車を所有したい
- 環境配慮:高性能でありながらゼロエミッションを実現
- 最新技術:ステアバイワイヤやOTAなど先進技術を体験したい
購入時の注意点
- 価格:1,200万円超の高価格帯
- 航続距離:525kmと他グレードより短め(スポーツ走行重視のセッティング)
- 納期:2026年3月発売予定
- 充電環境:自宅充電設備の準備が推奨
Lexus Electrified Program(LEP)
レクサスは、BEVの購入をサポートする「Lexus Electrified Program(LEP)」を展開しています。
プログラム内容
- 充電サポート:充電インフラの情報提供
- メンテナンスパッケージ:定期点検やバッテリーチェック
- 優待サービス:専用ラウンジの利用など
BEV初心者でも安心して所有できるサポート体制が整っています。
まとめ|RZ600e"F SPORT Performance"が切り拓くBEVの新時代
レクサス RZ600e"F SPORT Performance"は、BEVでありながら「走る楽しさ」を徹底的に追求した意欲作です。
エアレースパイロットとレーシングドライバーという、異なる分野のプロフェッショナルとの協業により、空力性能と走行性能を極限まで磨き上げ、システム最高出力313kW(426PS)、0-100km/h加速4.4秒という圧倒的なパフォーマンスを実現しています。
カーボン製エアロパーツによる強力なダウンフォース、20インチ大型ブレーキによる優れた制動力、ステアバイワイヤによる次世代の操舵感覚、そしてインタラクティブマニュアルドライブによるマニュアル車のような運転の楽しさ——。これらすべてが、「操る喜び」を存分に味わえる特別なBEVを創り上げています。
2026年3月2日の発売に向けて、レクサスが提案する新たな電動パフォーマンスの世界に、大きな期待が寄せられます。
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