2026年1月9日、東京オートサロン2026の開幕とともに、ダイハツ工業は軽自動車市場に新たな衝撃をもたらす一台を発表しました。それが「ミライース tuned by D-SPORT Racing」です。
軽自動車スポーツ市場に新たな選択肢が登場

ダイハツのエントリーモデルとして知られるミライースに、ターボエンジンと5速マニュアルトランスミッション(MT)を組み合わせたこのモデルは、「走る楽しさをみんなのものに」というコンセプトのもと、モータースポーツのすそ野を広げるエントリースポーツモデルとして開発されました。
前年の東京オートサロン2025で話題を呼んだ「ミライースGR SPORTコンセプト」の市販化計画が当初は否定されていたにもかかわらず、ユーザーからの反響を受けて実現したこのモデル。本記事では、その詳細なスペック、装備、価格、そして市場での位置づけまで徹底解説します。

ミライース tuned by D-SPORT Racingとは?開発背景と誕生秘話
D-SPORT Racing Teamとの共同開発
ミライース tuned by D-SPORT Racingは、ダイハツと共同で「D-SPORT Racing Team」を運営するSPKによって開発されたコンプリートカーです。このモデルは、単なるメーカー純正オプション車ではなく、実際のモータースポーツ活動で培われた技術とノウハウが注ぎ込まれた本格的なスポーツモデルとなっています。
東京オートサロン2025からの進化

2025年の東京オートサロンで展示された「ミライースGR SPORTコンセプト」は、鮮やかなオリジナルレッドのボディカラーとGRエンブレムが特徴的でした。D-SPORT Racing Teamのドライバーである相原泰祐氏が「いまの技術でマニュアルターボの軽い4人乗りを作ったらどうなるのだろう?」というチャレンジ精神から生まれたこの車両は、当初「市販計画はない」と断言されていました。
しかし、来場者やメディアからの圧倒的な反響を受け、1年後の2026年にはD-SPORTブランドとして市販化が決定。今回展示されたモデルには「GR」のエンブレムは装着されておらず、代わりにD-SPORTのデカールが貼られた仕様となっています。
モータースポーツ文化の裾野拡大を目指して
このモデルの最大の目的は、手頃な価格で本格的なマニュアルスポーツカーを提供することで、若年層や初心者でもモータースポーツに参加できる環境を整えることです。軽自動車という手軽なプラットフォームに、ターボエンジンとマニュアルトランスミッションという組み合わせは、ドライビングの楽しさを純粋に味わえる理想的な構成と言えるでしょう。
パワートレイン詳細:ターボエンジン+5速MTの実力
ターボエンジンによる出力向上

ミライース tuned by D-SPORT Racingの心臓部は、直列3気筒660ccターボエンジンです。ベースモデルの自然吸気エンジンが最高出力49ps、最大トルク5.8kgmであるのに対し、ターボモデルでは最高出力64ps、最大トルク9.4kgmまで向上しています。
この出力向上は約30%に相当し、軽自動車の自主規制枠である64psを最大限に活用した設定となっています。ターボチャージャーの採用により、低回転域から力強いトルクが発生し、日常の街乗りから峠道でのスポーツドライビングまで、幅広いシーンで余裕のある走りを実現します。
5速マニュアルトランスミッションの魅力

現代の軽自動車市場において、マニュアルトランスミッション搭載車は絶滅危惧種とも言える存在です。多くのメーカーがCVTやオートマチックトランスミッションへとシフトする中、このモデルは敢えて5速MTを採用しました。
マニュアルトランスミッションの利点は以下の通りです:
- ドライバーの意思を直接駆動系に伝達:クラッチ操作とシフトチェンジにより、車との一体感が得られる
- 燃費効率の向上:適切なギア選択により、CVTよりも効率的な走行が可能
- 軽量化:CVTに比べて機構が簡素で軽量、車両全体の軽快さに貢献
- メンテナンスコストの低減:構造がシンプルで故障が少なく、修理費用も抑えられる
特に軽自動車のような軽量な車体では、マニュアルトランスミッションの機械的なダイレクト感が際立ち、運転する楽しさを最大限に引き出してくれます。
駆動方式とシャシー設定

駆動方式はFF(前輪駆動)を採用。軽量な車体と相まって、機敏なハンドリングと優れた燃費性能を実現しています。サスペンションやブレーキ系統もスポーツ走行に対応したチューニングが施されていると予想され、日常使いからサーキット走行まで幅広く対応できる設定となっているでしょう。
外装・内装デザイン:スポーティさと実用性の融合
エクステリアデザイン

ミライース tuned by D-SPORT Racingの外装は、ベースモデルのシンプルなデザインを活かしつつ、スポーティな要素が随所に散りばめられています。
フロントデザインは、ワイドさを強調した造形により、スタンスの良さとスポーツ性を表現。LEDヘッドライトの採用により、先進的な印象とエネルギー効率の向上を両立しています。
展示車両は控えめな白色のボディカラーでしたが、前年のコンセプトモデルのような鮮やかなカラーも選択可能になる可能性があります。D-SPORTのデカールが貼られることで、一目でスポーツモデルであることがわかる仕様となっています。

リアデザインも軽快な走りをイメージさせる造形で、全体的にバランスの取れたプロポーションを実現しています。
インテリアデザイン

内装は使い勝手を重視した実用的な設計がベースですが、スポーツモデルとしての特別感も演出されています。
最大の特徴は5速MTシフトレバーの存在です。現代の軽自動車では希少なこの装備は、ドライバーに「自分で車を操っている」という実感を与えてくれます。シフトノブは操作性を考慮した形状とサイズが選ばれており、スムーズなシフトチェンジを可能にします。
また、手引き式のサイドブレーキも装備されており、サイドターンなどのテクニックを練習したいドライバーにも対応。電動パーキングブレーキが主流となる中、このようなアナログな装備は貴重な存在です。
デジタルメーターの採用により、必要な情報を視認性良く表示。タコメーターはマニュアルトランスミッション車にとって必須の装備であり、最適なシフトタイミングを把握するのに役立ちます。
展示車両の一部にはロールケージが装着されているものもあり、本格的なサーキット走行やラリー参戦も視野に入れた仕様となっています。
安全装備:スポーツ性能と安全性の両立
スマートアシストIIIの標準装備
スポーツモデルであっても安全性は妥協できません。ミライース tuned by D-SPORT Racingには、ダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシストIII」が標準装備されます。
主な機能は以下の通りです:
- 衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者):前方の車両や歩行者を検知し、衝突の危険があるとシステムが判断した場合に警報を発し、さらに緊急ブレーキを作動
- 誤発進抑制制御機能(前方・後方):ペダル踏み間違い時の急発進を抑制
- 車線逸脱警報機能:走行車線から逸脱しそうになると警報
- 先行車発進お知らせ機能:信号待ちなどで前車が発進したことを知らせる
- オートハイビーム:対向車を検知して自動的にハイビーム・ロービームを切り替え
コーナーセンサーの装備
2024年の改良で追加された車両後方コーナーセンサーも装備。駐車時や狭い道でのすれ違いなど、低速走行時の接触事故を防止します。スポーツカーとして楽しむ一方で、日常の足としても安心して使える配慮がなされています。
燃費性能:スポーツ性と経済性の絶妙なバランス
優れた燃費効率
ターボエンジンと5速MTを搭載したスポーツモデルでありながら、ミライース tuned by D-SPORT Racingは優れた燃費性能を実現しています。
WLTCモード燃費:23.0km/L(予想値)
これはベースモデルのFF車(25.0km/L)や4WD車(23.2km/L)と比較しても大きく劣らない数値です。ターボエンジンを搭載しながらこの燃費を実現できる理由は:
- 軽量な車体:650kgという軽量ボディがエネルギー効率を高める
- 効率的なエンジン設計:クールドi-EGRやイオン電流センサーによる燃焼制御
- マニュアルトランスミッションの効率:適切なギア選択により無駄な回転数上昇を抑制
スポーツカーでありながら、日常使いでもランニングコストを気にせず乗れるのは大きな魅力です。
ボディサイズと車重:軽量コンパクトの優位性
基本ボディサイズ
- 全長×全幅×全高:3,395mm×1,475mm×1,500mm
- ホイールベース:2,455mm
- 車重:650kg~740kg(グレードにより異なる)
軽量化技術「Dモノコック」
ミライース tuned by D-SPORT Racingの車体には、ダイハツ独自のボディ骨格構造「Dモノコック」が採用されています。これは高強度と軽量化を両立する技術で、以下の特徴があります:
- 最適な骨格配置:応力集中部を補強し、不要な部分は軽量化
- 高張力鋼板の使用:強度を保ちながら薄肉化を実現
- ボディ剛性の向上:ねじり剛性を高め、正確なハンドリングに寄与
軽量でありながら衝突安全性も確保された車体は、スポーツ走行時の機敏な動きと燃費性能の両立を可能にしています。
軽量化がもたらす走りのメリット
650kgという軽量な車体は、以下のようなメリットをもたらします:
- 加速性能の向上:パワーウェイトレシオが優れ、同出力でも速い加速
- ブレーキング性能:軽い車体は制動距離が短く、コントロールしやすい
- ハンドリング:慣性モーメントが小さく、方向転換が機敏
- タイヤの負担軽減:タイヤの消耗が少なく、グリップ力も維持しやすい
価格設定:コストパフォーマンスに優れたエントリースポーツ
ベースグレードの価格帯
ミライースのベースモデルの価格帯は以下の通りです:
- B “SA Ⅲ”:FF 992,200円、4WD 1,118,700円
- L “SA Ⅲ”:FF 1,025,200円、4WD 1,151,700円
- X “SA Ⅲ”:FF 1,179,200円、4WD 1,305,700円
- G “SA Ⅲ”:FF 1,320,000円、4WD 1,446,500円
ミライース tuned by D-SPORT Racingの予想価格
スポーツモデルの価格はまだ正式発表されていませんが、ターボエンジン、マニュアルトランスミッション、各種スポーツパーツの追加を考慮すると、150万円~170万円程度になると予想されます。
この価格帯は、以下のようなライバル車と比較しても非常に魅力的です:
- ホンダ・S660(生産終了):約200万円~
- スズキ・アルトワークス(生産終了):約150万円
- ダイハツ・コペン:約185万円~
特にマニュアルトランスミッションを搭載し、4人乗りという実用性を兼ね備えたスポーツモデルとしては、非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢となるでしょう。
競合車種との比較:市場でのポジショニング
軽スポーツ市場の現状
近年、軽自動車のスポーツモデル市場は縮小傾向にあります。かつては多くのメーカーが軽スポーツカーをラインナップしていましたが、環境規制の厳格化や市場ニーズの変化により、多くのモデルが姿を消しました。
現在入手可能なライバル車
ダイハツ・コペン
- 2シーターオープンスポーツカー
- 価格帯:185万円~
- 特徴:着脱式ルーフ、専用設計のスポーツシャシー
- 比較:より本格的なスポーツカーだが、実用性は低い
スズキ・ジムニー
- 軽オフロードSUV
- 価格帯:155万円~
- 特徴:本格4WD、マニュアルトランスミッション設定あり
- 比較:オフロード性能は高いが、オンロードのスポーツ性は劣る
ホンダ・N-ONE RS
- スポーティな軽トールワゴン
- 価格帯:約200万円
- 特徴:ターボエンジン、CVT
- 比較:マニュアルトランスミッションなし、価格が高い
ミライース tuned by D-SPORT Racingの独自性
このモデルの最大の特徴は、実用性とスポーツ性を両立したバランスの良さです:
- 4人乗り:家族や友人と一緒に出かけられる
- 5速MT:純粋な運転の楽しさを味わえる
- 手頃な価格:若年層でも手が届く価格設定
- 優れた燃費:日常使いでも経済的
- モータースポーツ参戦可能:ワンメイクレースなどのベース車両として最適
これらの要素は、他の軽スポーツカーにはない独自の魅力となっています。
発売時期と販売戦略
発売スケジュール
2026年1月9日の東京オートサロン2026で正式発表され、2026年春頃の発売が予想されます。事前予約は展示会後すぐに開始される可能性が高く、初回生産分は早期に完売する可能性もあります。
ターゲットユーザー層
このモデルのターゲットは以下のようなユーザーです:
- 若年層ドライバー:初めてのスポーツカーとして最適
- マニュアル車愛好家:絶滅危惧種のMT車を求める層
- モータースポーツ参加希望者:草レースやジムカーナのエントリーモデル
- セカンドカー需要:週末の趣味車として
- 走りを楽しみたいシニア層:コンパクトで扱いやすいスポーツカー
カスタマイズ・アフターパーツの展開
D-SPORT Racingブランドということで、豊富なアフターパーツの展開も期待できます:
- エンジンチューニングパーツ:さらなる出力向上を目指すユーザー向け
- 足回りパーツ:サスペンション、スタビライザー、ブレーキ強化
- エアロパーツ:空力改善とドレスアップの両立
- 軽量化パーツ:カーボンパーツなどでさらなる軽量化
- レース用パーツ:ロールケージ、バケットシート、ハーネスなど
これにより、ユーザーは自分の用途や好みに合わせて、車をカスタマイズする楽しみも味わえます。
モータースポーツでの活用可能性
ワンメイクレースの展開
ミライース tuned by D-SPORT Racingの登場により、新しいワンメイクレースシリーズの開催が期待されます。統一された車両規定のもとで競い合うワンメイクレースは:
- 低コストでモータースポーツに参加可能
- ドライバーの技量が直接結果に反映
- 車両性能の公平性が保たれる
という特徴があり、モータースポーツの裾野を広げるのに最適な形式です。
ジムカーナやダートトライアルへの適性
軽量でコンパクトな車体、マニュアルトランスミッション、そして十分なパワーを持つこのモデルは、ジムカーナやダートトライアルといった短距離競技にも最適です。
- 機敏なハンドリング:パイロンスラロームでの優位性
- 扱いやすいサイズ:狭いコースでも取り回しが容易
- メンテナンス性の良さ:修理費用が抑えられる
ラリーへの参戦可能性
展示車両にロールケージが装着されていたことから、ラリー競技への参戦も視野に入れた開発がなされている可能性があります。軽自動車クラスのラリーは:
- 参加費用が比較的安価
- 技術的ハードルが低い
- 全国各地で大会が開催
といった特徴があり、モータースポーツ入門に最適なカテゴリーです。
ミライース tuned by D-SPORT Racingが示す未来
軽自動車スポーツの復権
このモデルの登場は、衰退しつつあった軽自動車スポーツ市場に新たな活力を与える可能性があります。手頃な価格で本格的なマニュアルスポーツカーが手に入ることで:
- 若年層の車離れ対策:運転の楽しさを再認識
- モータースポーツ人口の増加:参加しやすい環境の整備
- 自動車文化の継承:マニュアル運転技術の伝承
といった効果が期待できます。
電動化時代における内燃機関スポーツカーの価値
自動車業界が電動化へと舵を切る中、内燃機関を搭載したスポーツカーの価値は今後ますます高まるでしょう。特にマニュアルトランスミッションを組み合わせたモデルは、将来的に希少価値が高まる可能性があります。
ミライース tuned by D-SPORT Racingは、そのような時代において「純粋な運転の楽しさ」を手頃な価格で提供する貴重な存在となるでしょう。
ダイハツのブランド戦略
ダイハツにとって、このモデルは単なる一台のスポーツカーではなく、ブランドイメージを向上させる重要な役割を担っています:
- 技術力のアピール:コンパクトな車体に先進技術を凝縮
- 若年層へのアプローチ:新しい顧客層の開拓
- モータースポーツ活動の強化:レース活動を通じたブランド認知度向上
まとめ:走る楽しさを民主化する一台
ダイハツ・ミライース tuned by D-SPORT Racingは、現代の自動車市場において稀有な存在です。ターボエンジンと5速マニュアルトランスミッションの組み合わせ、軽量な車体、優れた燃費性能、そして手頃な価格設定。これらすべてが高いレベルでバランスされています。
「走る楽しさをみんなのものに」というコンセプトは、決して誇張ではありません。このモデルは、自動車の本質的な楽しさである「運転する喜び」を、幅広い層に届けることができる可能性を秘めています。
若年層の車離れ、モータースポーツ人口の減少、マニュアルトランスミッション車の絶滅危機。こうした課題に対する一つの答えとして、ミライース tuned by D-SPORT Racingは登場しました。
2026年春の発売が待ち遠しい、まさに「新時代のエントリースポーツカー」と呼ぶにふさわしい一台です。
よくある質問(FAQ)
- ミライース tuned by D-SPORT Racingの正式な発売日はいつですか?
-
2026年1月9日の東京オートサロン2026で発表され、2026年春頃の発売が予想されています。正式な発売日は今後の公式発表をお待ちください。
- 価格はどのくらいになりますか?
-
正式な価格はまだ発表されていませんが、150万円~170万円程度と予想されます。
- 4WD仕様は設定されますか?
-
現時点ではFF(前輪駆動)のみの設定が発表されています。4WD仕様については今後の展開次第です。
- オートマチック仕様はありますか?
-
このモデルは5速マニュアルトランスミッションのみの設定です。オートマチック仕様を希望される場合は、ベースモデルのミライースをご検討ください。
- サーキット走行はできますか?
-
はい、サーキット走行を想定した開発がなされており、適切な準備とメンテナンスを行えばサーキット走行も可能です。ただし、本格的なレース参戦にはロールケージなどの安全装備の追加が必要になる場合があります。
- 燃料は何を使用しますか?
-
レギュラーガソリンの使用が想定されています。ハイオクガソリンの使用も可能ですが、エンジン設定はレギュラー仕様となっています。
- 維持費はどのくらいかかりますか?
-
軽自動車なので、自動車税は年間10,800円、車検費用も普通車に比べて安価です。燃費も23.0km/L程度と良好なため、ランニングコストは抑えられます。
- カスタムパーツは豊富に用意されますか?
-
D-SPORT Racingブランドということで、エンジン、足回り、エアロパーツなど豊富なアフターパーツの展開が期待できます。
- 初めてのマニュアル車でも運転できますか?
-
軽量でコンパクトな車体は、マニュアル車初心者にも扱いやすい設定です。ただし、クラッチ操作やシフトチェンジの練習は必要です。教習所や空き地などで十分に練習してから公道に出ることをお勧めします。
- ミライースGR SPORTコンセプトとの違いは何ですか?
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基本的な機械構成は同様ですが、「GR」ブランドではなく「D-SPORT」ブランドとして市販化される点、ボディカラーやデカールが異なる点などが主な違いです。
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