2025年10月30日、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は、ジャパンモビリティショー2025の会場において、「日本カー・オブ・ザ・イヤー 2025-2026」の一次選考となる10ベストカーを発表しました。全35台のノミネート車両の中から、60名の選考委員による厳正な審査を経て選出された10台は、電気自動車、ハイブリッド車、SUV、軽自動車など、多様性に富んだラインナップとなっています。
日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026の10ベストカーが決定
この10ベストカーは、今後行われる試乗会での二次選考を経て、2025年12月4日に開催される最終選考会において、栄えある日本カー・オブ・ザ・イヤーが決定されます。
日本カー・オブ・ザ・イヤーとは?40年以上続く権威ある自動車賞
日本カー・オブ・ザ・イヤー(JCOTY)は、40年以上の長い歴史を持つ日本で最も権威ある自動車賞の一つです。自動車評論家、ジャーナリスト、有識者からなる選考委員が、その年に日本市場に投入された新型車の中から、デザイン、性能、安全性、環境性能、価格など、総合的な評価に基づいて最優秀車を選出します。
この賞は、日本の自動車市場における重要な指標となっており、受賞車両は消費者の購入意欲に大きな影響を与えることから、自動車メーカーにとっても非常に重要な賞典となっています。
日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026 10ベストカー一覧
今年度の10ベストカーは、国内メーカーから輸入車まで、幅広いカテゴリーから選出されています。以下、ノミネート順に詳しくご紹介します。
1. スズキ「e ビターラ」- コンパクトSUVの電動化を牽引

スズキが満を持して投入する電気自動車「e ビターラ」は、人気のコンパクトSUVカテゴリーに電動化の波をもたらす注目モデルです。従来のビターラの使い勝手の良さを維持しながら、EVならではの静粛性と加速性能を実現。スズキらしい親しみやすいデザインと、日常使いに十分な航続距離が魅力です。
注目ポイント:
- スズキ初の本格的電気自動車
- コンパクトSUVの使い勝手とEVの先進性を融合
- 手頃な価格設定でEV普及に貢献

2. スバル「フォレスター」- 伝統のSUVが新世代へ進化

スバルの看板SUV「フォレスター」が新型にフルモデルチェンジ。スバルが誇る水平対向エンジンとシンメトリカルAWDの組み合わせはそのままに、最新の安全技術「アイサイトX」を搭載。悪路走破性と日常の快適性を高次元で両立させた、真の意味でのオールラウンダーです。
注目ポイント:
- 伝統のSUBARUらしさを継承しつつ大幅進化
- 最新のアイサイトXで安全性能が飛躍的向上
- 上質な内装と静粛性の改善


3. ダイハツ「ムーヴ」- 軽自動車の新スタンダード

長年愛されてきた軽自動車の定番モデル「ムーヴ」が、新世代へと生まれ変わりました。広々とした室内空間と優れた燃費性能、最新の安全装備を搭載しながら、手の届きやすい価格設定を実現。日本の軽自動車文化を体現する、まさに国民車と呼ぶにふさわしいモデルです。
注目ポイント:
- 軽自動車の使い勝手を極めた実用性
- 最新安全技術の標準装備
- 幅広いユーザー層に対応するグレード展開

4. トヨタ「クラウンエステート」- 高級ステーションワゴンの復活

トヨタの伝統的な高級ブランド「クラウン」に、ステーションワゴンタイプの「エステート」が加わりました。セダンの品格とSUVの実用性を融合させた新しいコンセプトは、多様化するユーザーニーズに応える一台。ハイブリッドシステムによる優れた燃費性能と、ゆとりの荷室空間が魅力です。
注目ポイント:
- クラウンブランドの新たな可能性を示すモデル
- 高級車の品格と実用性を高次元で両立
- 最新のハイブリッド技術による優れた環境性能

5. 日産「リーフ」- EVのパイオニアがさらなる進化

日本における電気自動車普及の先駆者「リーフ」が、最新モデルで再び注目を集めています。バッテリー技術の進化により、航続距離が大幅に向上。充電インフラの整備が進んだ現在、より実用的な選択肢となりました。e-Pedalによる独特の運転感覚も、リーフならではの魅力です。
注目ポイント:
- EVのパイオニアとしての実績と信頼性
- バッテリー技術の進化による航続距離の向上
- プロパイロット機能による先進的な運転支援

6. ホンダ「プレリュード」- スポーツカーの伝説が復活

1990年代に一世を風靡したスポーツクーペ「プレリュード」が、現代に蘇りました。ホンダらしいスポーティな走りと、洗練されたスタイリングが魅力。ハイブリッドシステムを採用することで、環境性能とスポーツ性能を両立させた、新時代のスペシャルティカーです。
注目ポイント:
- 伝説のネームプレートの復活
- スポーツ性能と環境性能の両立
- モダンなデザインに継承された伝統のスピリット

7. BMW「2シリーズ グランクーペ」- プレミアムコンパクトの新提案

BMWの中でも手の届きやすい価格帯ながら、プレミアムブランドの品質を存分に味わえる「2シリーズ グランクーペ」。4ドアクーペのスタイリッシュなデザインと、BMWらしいスポーティな走りが魅力です。コンパクトなボディながら、実用性も犠牲にしない設計が光ります。
注目ポイント:
- BMWの駆け抜ける歓びを手頃な価格で
- スタイリッシュな4ドアクーペデザイン
- 優れたドライビングダイナミクス
8. ヒョンデ「インスター」- 韓国発のコンパクトEV

韓国ヒョンデ(現代自動車)が日本市場に投入するコンパクト電気自動車「インスター」。親しみやすいデザインと充実した装備、そして競争力のある価格設定で、EV市場に新風を吹き込んでいます。日本車にはない独特の魅力が、新しい選択肢を求めるユーザーに支持されています。
注目ポイント:
- 親しみやすいデザインと使いやすいサイズ
- 充実した標準装備とコストパフォーマンス
- 急速充電対応で実用性も十分

9. プジョー「3008」- フレンチSUVの洗練された魅力

プジョーのミドルサイズSUV「3008」は、フランス車らしい独創的なデザインと、洗練された走りが魅力です。i-Cockpitと呼ばれる独特のインテリアデザインは、運転する喜びを高めます。ハイブリッドシステムの採用により、環境性能も向上しました。
注目ポイント:
- 独創的なフレンチデザイン
- i-Cockpitによる先進的な運転環境
- ハイブリッドによる優れた環境性能

10. フォルクスワーゲン「ID. Buzz」- 伝説のマイクロバスが電動で復活

1950年代から親しまれたVWタイプ2マイクロバスのデザインDNAを受け継ぎつつ、最新の電動技術で現代に蘇った「ID. Buzz」。レトロとモダンが融合したデザインは唯一無二の存在感を放ちます。広々とした室内空間と、実用的な航続距離を実現した、新時代のファミリーカーです。
注目ポイント:
- アイコニックなデザインの現代的解釈
- 広々とした室内空間と多彩なシートアレンジ
- VW最新のMEB電動プラットフォーム採用

日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026の選考スケジュール
10ベストカーに選出された車両は、以下のスケジュールで最終選考が進められます。
10月30日: 10ベストカー発表(ジャパンモビリティショー2025会場)
11月中旬〜下旬: 10ベストカー試乗会での二次選考
12月4日: 最終選考会にて日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026決定
選考委員60名が実際に各車両を試乗し、総合的な評価を行った上で、最終的な受賞車両を決定します。
2025-2026年度の特徴:電動化とダイバーシティ
今年度のノミネート車両35台、そして10ベストカーを見ると、いくつかの明確なトレンドが浮かび上がります。
電動化の加速
10ベストカーのうち、完全な電気自動車(EV)が4台、ハイブリッド車が複数台選出されており、自動車の電動化が確実に進んでいることを示しています。スズキ「e ビターラ」、日産「リーフ」、ヒョンデ「インスター」、フォルクスワーゲン「ID. Buzz」といった多様なEVが揃いました。
カテゴリーの多様性
軽自動車(ダイハツ「ムーヴ」)からプレミアムSUV、スポーツクーペ(ホンダ「プレリュード」)、ステーションワゴン(トヨタ「クラウン エステート」)まで、幅広いカテゴリーから選出されています。これは、多様化するユーザーニーズに対応した自動車市場の現状を反映しています。
輸入車の存在感
10ベストカーのうち4台が輸入車(BMW、ヒョンデ、プジョー、フォルクスワーゲン)であることも注目に値します。グローバル化が進む日本の自動車市場において、輸入車の選択肢が豊富になり、競争が激化していることを示しています。
全ノミネート車両35台リスト
今年度の日本カー・オブ・ザ・イヤーには、以下の35台がノミネートされました。
国産車:
- スズキ「e ビターラ」
- スバル「フォレスター」
- ダイハツ「ムーヴ」
- トヨタ「アルファード PHEV」
- トヨタ「ヴェルファイア PHEV」
- トヨタ「クラウン(エステート)」
- 日産「リーフ」
- 日産「ルークス」
- ホンダ「N-ONE e:」
- ホンダ「プレリュード」
- レクサス「GX」
輸入車:
- アルファ ロメオ「ジュニア」
- アウディ「A5」シリーズ
- アウディ「A6 e-tron」シリーズ
- アウディ「Q5」シリーズ
- アウディ「Q6 e-tron」シリーズ
- BMW「2シリーズ グランクーペ」
- BYD「シーライオン 7」
- キャデラック「リリック」
- シトロエン「C3 ハイブリッド」
- シトロエン「C4」
- フィアット「600 ハイブリッド」
- ヒョンデ「インスター」
- ジープ「レネゲード eハイブリッド」
- メルセデスAMG「CLE 53 4MATIC+ カブリオレ」
- メルセデスAMG「E 53 ハイブリッド 4MATIC+(PHEV)」
- メルセデスAMG「GT 43 クーペ」
- メルセデスAMG「GT 63 S E パフォーマンス クーペ」
- メルセデスAMG「SL 63 S E パフォーマンス」
- メルセデス・ベンツ「EQS 450+」
- プジョー「3008」
- ポルシェ「911 カレラ GTS」
- ポルシェ「マカン」
- テスラ「モデルY」
- フォルクスワーゲン「ID. Buzz」
- フォルクスワーゲン「ティグアン」
- フォルクスワーゲン「パサート」
過去の日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車から見るトレンド
日本カー・オブ・ザ・イヤーの歴史を振り返ると、その時代の自動車トレンドが鮮明に浮かび上がります。近年は環境性能と安全性能が重視される傾向にあり、ハイブリッド車やEVの受賞が増加しています。
また、単なる性能だけでなく、革新性や市場への影響力も重要な評価ポイントとなっています。今年度の10ベストカーも、これらの要素をどれだけ満たしているかが、最終選考での鍵となるでしょう。
注目の最終選考:どの車が栄冠を手にするか
10ベストカーの顔ぶれを見ると、最終選考は非常に接戦が予想されます。
本命候補:
- スズキ「e ビターラ」: 国内メーカーの本格EV参入という話題性と実用性
- スバル「フォレスター」: 完成度の高さと人気モデルのブランド力
- ホンダ「プレリュード」: 伝統ネームの復活とスペシャルティカーとしての魅力
ダークホース:
- フォルクスワーゲン「ID. Buzz」: 唯一無二のキャラクターと完成度
- ヒョンデ「インスター」: コストパフォーマンスと新鮮さ
12月4日の最終選考会では、選考委員による総合評価に基づいて、これら10台の中から最優秀車が選出されます。どの車が栄冠を手にするか、注目が集まります。
まとめ:日本の自動車市場の未来を占う10ベストカー
日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026の10ベストカーは、電動化の加速、カテゴリーの多様化、グローバル競争の激化という、現在の自動車市場のトレンドを如実に反映したラインナップとなりました。
国産メーカーの伝統的な強みを活かしたモデルから、新規参入メーカーの挑戦的なモデルまで、多様な選択肢が揃っています。最終選考の結果は、今後の日本の自動車市場の方向性を占う重要な指標となるでしょう。
12月4日の最終選考会での発表を、ぜひご期待ください。
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