2024年2月、メルセデス・ベンツは2030年代まで内燃機関車の販売と開発を継続することを発表した。これは、当初掲げていた2030年までに全ての車種を電気自動車(EV)にするという目標から大きく方向転換した。メルセデス・ベンツがこの決断を下した背景と、今後のエンジン開発の方向性について解説します。
2030年代以降のエンジン開発
メルセデス・ベンツは、EVシフトを積極的に推進しており、2022年には、2025年までに主要市場で販売する新車すべてを電動車とする計画を発表した。しかし、EVシフトが加速する一方、メルセデス・ベンツは、2030年代以降も内燃機関車の開発を継続していくと同時に、次世代の燃料である合成燃料やバイオ燃料の研究開発にも積極的に取り組んでいくという。次世代燃料の開発が進むことで、内燃機関車の環境性能をさらに向上させることが期待される。
EV市場の現状と課題
近年、自動車業界は電気自動車(EV)へのシフトが加速している。欧州連合(EU)では、2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売禁止を決定するなど、世界各国で環境規制が強化。EV市場は急速に成長しており、多くの自動車メーカーがEVへのシフトを加速させている。しかし、EV市場にはまだいくつかの課題がある。
充電インフラの整備が追いついていない
EVの普及には、充電インフラの整備が不可欠です。しかし、現状では充電インフラが十分とは言えず、EVの普及を阻む要因となっている。
EV車両価格が高い
EVは、内燃機関車よりも開発コストが高くなります。そのため、EVの価格が高騰し、消費者の購入意欲を低下させる可能性があります。
バッテリーの航続距離が短い
EVの航続距離は、ガソリン車と比べてまだ短いのが現状です。長距離移動には不向きであり、EVの普及を制限する要因となっています。
充電時間
EVの充電時間は、ガソリン車の給油時間に比べて長いです。急速充電器を使えば短時間で充電できますが、急速充電器の設置台数はまだ少ないのが現状です。
電池の廃棄問題
EVに使われている電池は、寿命を迎えると廃棄する必要があります。しかし、電池の廃棄方法はまだ確立されておらず、環境問題となっています。
これらの課題が解決されない限り、EVが全ての車種を代替するのは難しいと考えられます。
メルセデス・ベンツの戦略
メルセデス・ベンツは、EV市場の課題を認識しており、顧客のニーズに合わせた多様なパワートレインを提供することで、市場の変化に対応していく。
具体的には、以下の3つのパワートレインを開発・提供していきます。
- 電気自動車: 2025年までにEQモデルのラインナップを10車種に拡大
- ハイブリッド車: 48Vマイルドハイブリッドシステムとプラグインハイブリッドシステムを拡充
- 内燃機関車: 最新の環境基準を満たす高効率なエンジンを開発
まとめ
メルセデス・ベンツは、EV市場の課題を認識しつつ、顧客のニーズに合わせた多様なパワートレインを提供することで、市場の変化に対応していく考えである。2030年代以降も内燃機関車の開発を継続していくと同時に、次世代燃料の研究開発にも積極的に取り組んでいくことで、環境性能と走行性能を両立させた自動車を提供していく。