メルセデス・ベンツが2025年9月8日、新型電気自動車SUV「GLC EQ」を正式発表しました。この新モデルは、販売終了となったEQCの実質的な後継車として位置づけられ、2026年前半から販売を開始する予定です。BMWが巨大キドニーグリルから脱却する中、メルセデスは逆に大胆な巨大グリルデザインを採用したことで話題となっています。
革新的なデザイン言語を採用した外装
942個のLEDドットが輝く次世代グリル
新型GLC EQの最大の特徴は、メルセデス伝統のグリルを再解釈した革新的なフロントデザインです。オプションで942個のバックライトドットによるイルミネーション機能を搭載し、夜間走行時に圧倒的な存在感を演出します。
この大胆なデザインについて、「安っぽく見える」という批判的な意見がある一方で、「近未来的で目を引く」という肯定的な評価も存在すると分析しています。
星型LEDライトがブランドアイデンティティに
ヘッドライトには星型LEDデイタイムランニングライトを新採用。この意匠は今後メルセデス・ベンツ全ラインナップに展開される新しいデザインアイデンティティとなる予定です。
リアテールランプも大幅刷新され、同様の星型LEDライトと2ピース構造のルーフスポイラーを採用。一部ではマツダのデザインを彷彿とさせるという指摘もありますが、メルセデスの新時代を象徴するデザインとして注目されています。
39.1インチハイパースクリーンを搭載した先進キャビン
ダッシュボード全体を覆う巨大ディスプレイ
内装の最大のハイライトは、ダッシュボード全体を覆う39.1インチ(99.3cm)のMBUXハイパースクリーンです。運転席と助手席それぞれでカスタマイズ可能な表示機能を提供し、従来のメルセデス基準でも非常にミニマリスティックなデザインを実現しています。
機能性とラグジュアリーを両立
キャビンには以下の先進装備を標準搭載:
- 複雑なアンビエントライティングシステム
- パノラマガラスルーフ対応の照明
- 円形エアベント
- ワイヤレス充電器×2基
- フローティングコンソール
強力なパワートレインと充電性能
94kWhバッテリーで713kmの航続距離
新型GLC EQは全バージョンで94kWhリチウムイオンバッテリーパックを搭載。WLTP基準で最大713kmの航続距離を実現し、長距離ドライブにも対応します。
フラッグシップモデルの「GLC 400 4MATIC」は483馬力のツインモーターシステムを搭載し、他に4つの派生バージョンが追加予定です。
業界トップクラスの急速充電
330kWの急速充電に対応し、わずか10分間で300km分の充電が可能。この充電性能は現在の電動SUV市場でもトップクラスの水準です。
Sクラス譲りの高級サスペンション
エアマティック・エアサスペンション
フラッグシップSクラスと同じエアマティック・エアサスペンションをオプション設定。後輪ステアリングとインテリジェント・サスペンション・コントロールを組み合わせ、快適性を大幅に向上させます。
このシステムはGoogleマップデータと連携し、道路状況に応じて最適な車高とダンピングを自動選択。前方の路面状況を予測して事前に対応する先進機能も搭載しています。
最大300kWの回生ブレーキ
4段階の回生レベルを設定可能で、最高レベルでは300kWの回生ブレーキを実現。効率的なエネルギー回収により、実用航続距離をさらに延長します。
拡大されたボディサイズと室内空間
内燃機関モデル比で79mm延長
ホイールベースは内燃機関搭載のGLCクラスより79mm延長され、前後席の居住性を大幅に改善。ラゲッジ容量は570リットル、フロントトランクは128リットルを確保し、実用性も向上しています。
市場投入時期と競合分析
2026年前半に販売開始予定
新型GLC EQは2026年前半からグローバル市場で販売開始予定。BMWの新型iX3や他の高級電動SUVとの激しい競争が予想されます。
価格については後日発表予定ですが、現行GLCクラスの価格帯(819万円〜)を考慮すると、GLC EQは1000万円前後からの設定になると予想されます。
まとめ:メルセデス電動化戦略の新たな柱
新型GLC EQは、メルセデス・ベンツの電動化戦略における重要な転換点となるモデルです。革新的なデザイン、先進技術、そして実用的な性能を組み合わせ、プレミアム電動SUV市場での競争力強化を図っています。
942個のLEDドットによる巨大グリルや39.1インチハイパースクリーンなど、従来のメルセデスの常識を覆す大胆な仕様は、新時代のラグジュアリー電動車の方向性を示すものとして注目されます。
2026年の市場投入まで約1年となった新型GLC EQ。その成功がメルセデス・ベンツの電動化戦略全体の行方を左右する重要なモデルとなりそうです。