トヨタ自動車は、日本の高級車の象徴として長年君臨してきた「クラウン」ブランドにおいて、そのセダンモデルに新たな魅力を付加する2つの特別仕様車、「クラウンセダン The 70th」並びに「クラウンセダン “THE LIMITED-MATTE METAL”」を2025年5月22日に発表しました。これらの新型モデルは、2025年6月2日より発売を開始し、メーカー希望小売価格は7,550,000円から9,100,000円の範囲で設定されます。新世代クラウンシリーズの一翼を担うクラウンセダンが、これらの特別仕様車の登場により、その存在感を一層高めることとなりそうです。本稿では、これら注目すべき新モデルのスペックや装備内容について、詳細にご紹介します。
トヨタ・クラウンは、トヨタブランドの最上級モデル群に位置づけられ、初代モデルが1955年に誕生して以来、日本の自動車史と共に歩んできた由緒あるモデルです。近年、クラウンは大きな変革期を迎え、従来のセダン中心のラインナップから、クロスオーバーセダン「クラウンクロスオーバー」、SUVの「クラウンスポーツ」、そして本稿で取り上げるサルーン「クラウンセダン」、さらには今後登場が予定されているクロスオーバーワゴン「クラウンエステート」と、顧客の多様な価値観やライフスタイルに応えるべく、シリーズ全体のラインナップを積極的に拡大しています。
トヨタ クラウンセダン 新型特別仕様車 まとめ
■発表・発売
- 発表日:2025年5月22日
- 発売日:2025年6月2日
■特別仕様車の種類
- クラウンセダン The 70th
- クラウン誕生70周年記念モデル(クロスオーバーに続く第2弾)
- クラウンセダン “THE LIMITED-MATTE METAL”
- クラウン旗艦店「THE CROWN」限定販売モデル
■価格帯(税込)
- 全体:7,550,000円~9,100,000円
■【特別仕様車】クラウンセダン The 70th
- エクステリア:
- 専用2トーンボディカラー(2種):
- プレシャスメタル×プレシャスホワイトパール
- プレシャスメタル×プレシャスブラックパール
- マットブラック20インチアルミホイール(THE LIMITED-MATTE METALと共通)
- 専用サイドデカール(オプション)
- 専用2トーンボディカラー(2種):
- インテリア:
- 専用インテリアカラー「ブラックラスター」
- ブラック杢目調パネル(インストルメントパネル、センターコンソール、ドアトリム)
- 「THE 70th」ロゴ入り専用アイテム:
- プレミアムシフトノブ
- インストルメントパネル(レーザー加飾)
- プロジェクションカーテシイルミ
- マニュアルケース
- 車両キー
■【特別仕様車】クラウンセダン “THE LIMITED-MATTE METAL”
- エクステリア:
- 特別外装色「マットメタル」
- 匠の技術による薄膜かつ均一な仕上げ
- 特殊表面処理「TMコート」採用(防汚性・汚れ除去性向上)
- マットブラック塗装20インチアルミホイール(The 70thと共通、タイヤサイズ:245/45ZR20)
- 特別外装色「マットメタル」
- インテリア:
- 特別設定内装色「ブラックラスター」
- 黒い木目調パネル
- ディンプル加工本革ステアリングホイール(ヒーター・タッチセンサー付、シルバースイッチ周り、ダークグレーメタルスポーク、グレーかがり縫いステッチ)
- ディンプル加工本革シフトノブ(ピアノブラック加飾)
- 「THE LIMITED-MATTE METAL」専用レーザー加飾インストルメントパネル
- 専用クラウン専用キー(2個)
- フルブラックのマニュアルケース
- その他:
- デジタルキー標準採用
■ベースとなる新型クラウンセダン(2023年11月フルモデルチェンジ)の特徴
- 新世代クラウンシリーズ第3弾
- シリーズ唯一のFR(フロントエンジン・リアドライブ)駆動
- パワートレイン:
- 2.5Lハイブリッドシステム
- FCEV(水素燃料電池車)
- 後輪操舵システム「ダイナミックリアステアリング」採用
- ホイール締結にハブボルトを使用(剛性向上)
- 12.3インチフルデジタルメーター装備
- 最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」標準装備
■価格詳細(税込)
- ベースモデル「Z」グレード:
- 2.5Lハイブリッド:7,300,000円
- FCEV:8,300,000円
- 特別仕様車「Z The 70th」:
- 2.5Lハイブリッド:7,550,000円(ベース比 +25万円)
- FCEV:8,550,000円(ベース比 +25万円)
- 特別仕様車「Z “THE LIMITED-MATTE METAL”」:
- 2.5Lハイブリッド:8,100,000円(ベース比 +80万円)
- FCEV:9,100,000円(ベース比 +80万円)
クラウン70年の伝統をまとう:特別仕様車「クラウンセダン The 70th」の魅力
そのクラウンセダンに今回設定されました特別仕様車「The 70th」は、初代クラウンの誕生から70周年という記念すべき節目を祝うモデルとして企画されました。この70周年記念特別仕様車は、既に「クラウンクロスオーバー」で第一弾が発表されており、今回のセダンへの設定はそれに続く第二弾という位置づけになります。
専用2トーンカラーが織りなす気品あるエクステリア
この「新型クラウンセダン The 70th」の特筆すべき点は、まずそのエクステリアカラーです。通常モデルのクラウンセダンではモノトーンカラーのみの提供とされていますが、この特別仕様車では、ルーフからボンネットにかけて大胆に塗り分けた専用の2トーンボディカラーが用意されました。選択可能なカラーバリエーションは2種類で、「プレシャスメタル×プレシャスホワイトパール」という組み合わせと、「プレシャスメタル×プレシャスブラックパール」という組み合わせが設定されています。これらの配色は、日本の風景との調和を表現したものであり、クラウンセダンの優雅なフォルムを一層際立たせるものと言えるでしょう。足元には、もう一方の特別仕様車「THE LIMITED-MATTE METAL」と共通となるマットブラック仕上げの20インチアルミホイールが奢られ、引き締まった印象を与えます。エクステリアではさらに、この特別仕様車専用のサイドデカールがオプションとして設定されており、特別感を高めるアクセントとして機能します。
70周年を記念する特別なインテリア装備と上質な空間
インテリアに目を移しますと、「新型クラウンセダン The 70th」では、専用のインテリアカラーとして「ブラックラスター」が採用されました。深みのあるブラックを基調とすることで、上質かつ落ち着きのある空間を演出しております。さらに、インストルメントパネルやセンターコンソール、ドアトリム部分にはブラックの杢目調パネルがあしらわれ、シックな雰囲気を醸し出します。そして、70周年記念モデルならではの特別な装備として、「THE 70th」のロゴが刻まれたプレミアムシフトノブ、同じくロゴ入りのインストルメントパネル、フロントドアを開けた際に足元を照らすプロジェクションカーテシイルミにも専用ロゴが投影されるなど、所有する喜びを満たす演出が随所に施されております。その他、専用ロゴ入りのマニュアルケースや車両キーも用意され、細部に至るまで記念モデルとしてのこだわりが貫かれております。
プロジェクションカーテシイルミにも専用ロゴ
究極の個性を求めるオーナーへ:クラウン専門店限定「クラウンセダン THE LIMITED-MATTE METAL」
そして、もう一方の特別仕様車として発表されたのが、「クラウンセダン THE LIMITED-MATTE METAL(ザ リミテッドマットメタル)」であります。このモデルは、ユーザーの多様なライフスタイルに寄り添うブランド拠点であり、全モデルの展示拠点として設定されたクラウン旗艦店「THE CROWN」でのみ取り扱われる、まさに特別な一台として製作されました。この「THE LIMITED-MATTE METAL」という名称の特別仕様車は、既に2023年12月に発売された「クラウンクロスオーバー THE LIMITED-MATTE METAL」や、2024年10月の「クラウンスポーツ RS THE LIMITED-MATTE METAL」にも設定されており、クラウンシリーズにおける特別な個性を放つラインナップとして展開されております。
匠の技が光る特別色「マットメタル」と革新的表面処理「TMコート」
「クラウンセダン THE LIMITED-MATTE METAL」の最大の特徴は、その名の通り、ボディカラーに採用された特別色「マットメタル」でありましょう。この「マットメタル」は、単なるマット塗装ではなく、トヨタの匠の技術によって薄膜でありながら均一に仕上げられております。さらに特筆すべきは、マット塗装の美観を長期間維持するために、特殊表面処理「TMコート」が採用されている点です。このTMコートは、マットの外観に影響を与えることなく、優れた持久力を持つ防汚性と、汚れが付着した際の除去性を実現しており、マット塗装車の手入れに関する懸念を軽減する画期的な技術と言えます。エクステリアでは、この特別なボディカラーに加え、「The 70th」モデルと共通のマットブラック塗装が施された20インチアルミホイール(タイヤサイズは245/45ZR20)が装備され、精悍なスタイリングを完成させています。
ディテールにこだわった上質なインテリアと先進のデジタルキー
インテリアにおいても、「クラウンセダン THE LIMITED-MATTE METAL」は特別な仕立てとなっております。特別設定の内装色として「ブラックラスター」が採用され、インストルメントパネル、センターコンソール、ドアトリム部分には黒い杢目調パネルが配される点は「The 70th」と共通の世界観を持ちつつも、ステアリングホイールやシフトノブにはディンプル加工が施された本革が用いられ、よりスポーティかつ上質な触感を提供します。特に本革巻き3本スポークステアリングホイールは、ステアリングスイッチ周辺がシルバー、スポーク部分がダークグレーメタルで彩られ、ステッチはグレーのかがり縫い、さらにステアリングヒーターやタッチセンサーも備わる高機能なものです。シフトノブもピアノブラック加飾とのコンビネーションが美しい仕上がりです。加えて、インストルメントパネルには「THE LIMITED-MATTE METAL」専用のレーザー加飾が刻印され、このモデルならではの特別感を演出。さらに、専用デザインのクラウン専用キーが2個付属し、マニュアルケースもフルブラック仕様となるなど、所有者の満足度を高めるアイテムが揃えられています。先進装備として、スマートフォンを車両のキーとして使用できるデジタルキーも標準で採用されており、利便性も追求されています。
伝統と革新が融合する新型クラウンセダンの実力
これらの特別仕様車が登場する以前、トヨタ新型クラウンセダンは2023年11月にフルモデルチェンジを果たしており、その際にも多くの注目すべき変更が施されました。
新世代クラウンシリーズとしての位置づけとFR駆動の採用
「新世代クラウンシリーズ」の第3弾として市場に投入されたこのセダンは、シリーズの中で唯一となるFR(フロントエンジン・リアドライブ)駆動を採用している点が大きな特徴です。これにより、伝統的なセダンらしい伸びやかなプロポーションと、FRならではの素直なハンドリング性能や優れた重量バランスを実現しています。
多様なニーズに応えるパワートレイン:2.5LハイブリッドとFCEV
また、パワートレインには2.5Lハイブリッドシステムに加え、環境性能に優れた水素燃料電池車(FCEV)もラインナップされており、多様なニーズに応える選択肢を提供しています。
走行性能を高めるシャシー技術と先進の安全・快適装備
走行性能を高める技術としては、後輪操舵システム「ダイナミックリアステアリング」が採用され、低速域での取り回しの良さと高速域での走行安定性を両立。さらに、ホイールの締結に従来のナット方式ではなくハブボルトを使用することで、締結剛性を向上させ、よりダイレクトな操舵感や走行安定性に貢献しています。運転席に目を向けると、12.3インチの大型フルデジタルメーターが装備され、多彩な情報をグラフィカルに表示し、先進的なコクピット空間を創出しています。安全装備においては、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が標準装備され、ドライバーを多角的にサポートします。
新型クラウンセダン スペック
スペック | クラウンセダン 2.5 ハイブリッド |
---|---|
全長 | 5,030mm |
全幅 | 1,890mm |
全高 | 1,475mm |
ホイールベース | 3,000mm |
エンジン | 直列4気筒 2.5L 直噴エンジンD-4S +モーター(THSⅡ) |
最高出力 | 136kW(185ps)/ 6,000rpm |
最大トルク | 225Nm(22.9kgm)/ 3,600rpm |
モーター 最大出力 | 132kW(180ps) |
モーター 最大トルク | 300Nm(30.6kgm) |
トランスミッション | Multi Stage Hybrid System (10速AT) |
バッテリー | ニッケル水素電池 5Ah |
駆動方式 | 4WD (E-Four) |
最小回転半径 | 5.7m |
乗車定員 | 5名 |
車両重量 | 2,000kg |
WLTCモード燃費 | 18.0㎞/L |
スペック | クラウンセダン FCEV |
---|---|
全長 | 5,030mm |
全幅 | 1,890mm |
全高 | 1,470mm |
ホイールベース | 3,000mm |
FCスタック | FCB130 固体高分子形 圧縮水素:3本 |
最高出力 | 128kW(174ps) |
モーター最高出力 | 134kW(182ps)/ 6,940rpm |
モーター最大トルク | 300Nm/(30.6kgm)/ 0〜3,267rpm |
駆動用バッテリー | リチウムイオン4.0Ah |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最小回転半径 | 5.7m |
乗客定員 | 5名 |
航続距離 | 約30%延長 約750km〜850km (従来型比) |
特別なクラウンセダンを手に入れるために:グレードと価格構成
これら新型クラウンセダンの価格について詳しく見てまいりますと、ベースとなる「Z」グレードでは、2.5Lハイブリッドモデルが7,300,000円、FCEV(水素燃料電池車)モデルが8,300,000円と設定されております。 今回新たに設定された特別仕様車「Z The 70th」は、2.5Lハイブリッドモデルが7,550,000円、FCEVモデルが8,550,000円となっており、これはそれぞれのベースモデルから25万円高という価格設定です。 一方、「Z “THE LIMITED-MATTE METAL”」は、2.5Lハイブリッドモデルが8,100,000円、FCEVモデルが9,100,000円となり、こちらはベースモデルから80万円高という価格設定になります。どちらの特別仕様車も、ハイブリッドと燃料電池の双方のパワートレインを選択できる点が魅力であり、その価格差には、それぞれの専用装備や特別な塗装技術などが反映されていると言えるでしょう。
新型クラウンセダン 価格表
グレード | パワートレイン | 価格 (10%) | ベースモデルからの 価格差(10%) |
---|---|---|---|
Z (ベースモデル) | 2.5L ハイブリッド | 7,300,000円 | - |
FCEV | 8,300,000円 | - | |
Z "The 70th" (特別仕様車) | 2.5L ハイブリッド | 7,550,000円 | +250,000円 |
FCEV | 8,550,000円 | +250,000円 | |
Z "THE LIMITED-MATTE METAL" (特別仕様車) | 2.5L ハイブリッド | 8,100,000円 | +800,000円 |
FCEV | 9,100,000円 | +800,000円 |
クラウンブランドの未来を照らす特別仕様車とその意義
新型クラウンセダンは、伝統的なセダンの価値を継承しつつも、FR駆動の採用やFCEVの設定など、革新的な取り組みが随所に見られるモデルです。今回の2つの特別仕様車、「The 70th」と「THE LIMITED-MATTE METAL」は、それぞれ異なる個性と魅力を持ち、クラウンセダンの持つ可能性をさらに広げるものと期待されます。「The 70th」は、クラウンの長い歴史と伝統を祝う記念碑的なモデルとして、特別なカラーリングと数々の専用装備によって所有する喜びを際立たせます。一方、「THE LIMITED-MATTE METAL」は、最先端の塗装技術と上質な内外装によって、究極の個性を求めるユーザーに応える一台と言えるでしょう。
なお、これらの特別仕様車は、クラウンセダンだけでなく、他のクラウンシリーズ(クロスオーバー、スポーツ、エステート)にも順次設定されていく予定とのことであり、今後のクラウンブランド全体の展開からも目が離せません。
伝統と革新が織りなす、新たなクラウンセダンの魅力:あなたにとっての特別な一台
トヨタは、クラウンというブランドを通じて、常に時代の先を見据え、新しい価値を提案し続けています。今回の特別仕様車の投入は、その姿勢を改めて示すものであり、日本の高級車市場において、クラウンが今後も重要な役割を果たしていくことを予感させます。伝統と革新を見事に融合させた新型クラウンセダン、そしてその魅力をさらに高める2つの特別仕様車の登場は、目の肥えた自動車ファンにとって、大いに注目すべき出来事と言えるのではないでしょうか。その走りの質感や快適性、そして何よりも所有する誇りにおいて、クラウンブランドならではの体験を提供してくれるに違いありません。
トヨタ クラウン