2026年春の発売が予定されているレクサスの新型「ES」。フルモデルチェンジを迎える8代目となる本モデルは、初代の登場から37年を経て、エレガンスとエレクトリフィケーションの融合を目指した「Experience Elegance and Electrified Sedan」をコンセプトに開発されました。
東京オートサロン2026やジャパンモビリティショー名古屋での展示で実際に見ることができた新型ESの内外装について、その魅力と気になる点を徹底解説します。

新型ESの概要とモデル構成

新型ESは、ハイブリッド(HEV)とバッテリーEV(BEV)の両方をラインナップする、レクサスの電動化戦略を象徴するモデルとなります。
パワートレイン構成
ハイブリッドモデル(HEV)
- ES300h: 2.0L 4気筒エンジン+モーター、FF駆動、197ps
- ES350h: 2.5L 4気筒エンジン+モーター、FF/AWD、247ps、0-100km/h加速7.8-8.0秒
バッテリーEVモデル(BEV)
- ES350e: FF駆動、224ps、航続距離685km(CLTC)、0-100km/h加速8.9秒
- ES500e: AWD(DIRECT4)、342ps、航続距離610km(CLTC)、0-100km/h加速5.9秒
BEVモデルは150kW急速充電に対応し、10-80%充電まで約25-30分という優れた充電性能を実現しています。
ボディサイズの大幅拡大

先代モデルから大幅にサイズアップしたボディは、存在感と室内空間の両立を実現しています。
- 全長: 5,140mm(+165mm)
- 全幅: 1,920mm(+55mm)
- 全高: 1,555-1,560mm(+110-115mm)
- ホイールベース: 2,950mm(+80mm)
特に全幅1,920mmという数値は、Eクラスや5シリーズを凌ぐ堂々としたサイズ感となっています。

エクステリアの魅力と進化点
洗練されたデザイン言語
新型ESのエクステリアは、レクサスの新しいデザインフィロソフィー「Provocative Simplicity(挑発的なシンプルさ)」を体現したものとなっています。
フロントマスク

フロントグリルは、従来のスピンドルグリルから進化した新デザインを採用。シャープで未来的な印象を与えながらも、レクサスらしい品格を失っていません。ヘッドランプは薄型のLEDユニットを採用し、精悍な表情を演出しています。
実際に見ると、グリルの造形が非常に立体的で、光の当たり方によって表情が変化する点が印象的です。
サイドビュー

全長5,140mm、ホイールベース2,950mmという伸びやかなプロポーションは、サイドビューで特に際立ちます。キャラクターラインは控えめながら、ボディ全体の流れるような造形が優雅さを強調しています。
ドアハンドルはポップアップ式を採用し、フラッシュサーフェスによる空力性能の向上とデザイン性の両立を図っています。
ホイールは標準で18インチ、上級グレードでは19インチ、そしてモデリスタ仕様では21インチの鍛造アルミホイールを設定。特に21インチホイールの螺旋状に重なり合うスポークデザインは、静止していても動きを感じさせる繊細かつダイナミックな造形となっています。
リアデザイン

リアビューは、幅広のテールランプユニットが特徴的です。左右を貫く一文字のライトバーが、ワイド感と先進性を演出。バンパー下部の造形も立体的で、重厚感のあるたたずまいを実現しています。
カラーバリエーション
展示車両で確認できたボディカラーは、深みのあるダークトーンが中心。特にパールホワイトやシルバーメタリックでは、ボディの複雑な面構成が美しく浮かび上がります。
インテリアの質感と先進装備
新型ESのインテリアは、「上質・洗練」をキーワードに、視覚と触覚の両面から満足度を高める設計となっています。
コックピットデザイン
ダッシュボード

水平基調のダッシュボードデザインは、広がり感と開放感を演出。センター部分にはレクサス最新の「Arene OS」を搭載した12.3インチのディスプレイが配置されています。
物理ボタンは最小限に抑えられ、タッチ操作を基本としたインターフェースに進化。ただし、エアコン操作などの頻繁に使う機能については、物理ボタンも残されており、使い勝手とのバランスが考慮されています。
ステアリングホイール

本革巻きのステアリングホイールは、握りやすい太さと形状を実現。スポークには各種操作スイッチが整然と配置され、視線移動を最小限に抑えた操作が可能です。
メーターはフルデジタルの12.3インチディスプレイを採用。表示モードは複数用意され、ドライバーの好みに応じてカスタマイズできます。
素材と質感
シート

展示されていたバージョンLグレードでは、セミアニリン本革シートを採用。座面と背もたれのクッション性は適度で、長距離ドライブでも疲れにくい設計となっています。
前席は電動調整機能に加え、メモリー機能、シートヒーター、ベンチレーション機能を装備。F SPORTグレードでは専用のスポーツシートが設定されています。
内装トリム

ダッシュボードやドアトリムには、「Bamboo Layering(竹の積層)」と呼ばれる新しい加飾技術を採用した部分があります。これは日本の伝統的な素材である竹をモチーフにしたもので、和のテイストとモダンデザインの融合を図っています。
センターコンソールやドアトリムの一部には、リアルウッドやアルミニウムパネルも採用され、グレードによって選択肢が用意されています。
実際に触れてみると、プラスチック素材でも表面処理が丁寧で、安っぽさを感じさせません。ただし、一部にピアノブラック素材が使用されており、指紋や傷が目立ちやすい点は気になるところです。
先進テクノロジー
Arene OS

トヨタグループが開発した次世代OS「Arene(アリーン)」を搭載。従来のシステムと比較して、起動速度や操作レスポンスが大幅に向上しています。
12.3インチのセンターディスプレイは、スマートフォンのような直感的な操作が可能。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンとのシームレスな連携を実現しています。

音声認識機能も進化し、自然な話し言葉での操作が可能になりました。「暑い」と言えばエアコンの温度を下げる、といった状況に応じた制御も行います。
デジタルインナーミラー
後方視界を確保するデジタルインナーミラーを標準装備(グレードによる)。リアウィンドウに設置されたカメラ映像をミラーに表示することで、後席乗員や荷物で視界が遮られることなく、常にクリアな後方視界を確保できます。
ヘッドアップディスプレイ
フロントウィンドウに情報を投影するヘッドアップディスプレイを装備。速度やナビゲーション情報、安全運転支援システムの警告などを表示します。投影サイズも大型化され、視認性が向上しています。
後席の快適性
スペース
ホイールベース2,950mmという長大なサイズを活かし、後席は非常に広々としています。身長175cmの成人男性が座っても、膝前には拳3個分以上のスペースを確保。頭上空間も十分で、圧迫感はありません。
快適装備
バージョンLグレードでは、後席にもシートヒーターを標準装備。さらに後席専用のエアコン操作パネルも用意され、前席とは独立した温度調整が可能です。
センターアームレストには格納式のカップホルダーを装備。後席用のUSB Type-Cポートも複数設置され、スマートフォンやタブレットの充電に困りません。
静粛性
実際に後席に座ってみると、遮音性の高さが印象的です。展示会場という騒がしい環境でも、ドアを閉めると外部の音がかなり遮断されます。走行時にはさらに高い静粛性が期待できるでしょう。
ラゲッジスペース
容量
BEVモデルでもラゲッジスペースは十分に確保されています。開口部も広く、大きな荷物の出し入れもスムーズです。
後席は6:4分割可倒式となっており、長尺物を積載する際にも対応可能。ただし、完全なフラットにはならず、若干の段差が残る点は注意が必要です。
装備
ラゲッジルーム内には、LEDライトやフック、小物入れなどを装備。BEVモデルではフロントボンネット内にフランクスペース(前方トランク)は設けられていません。
優れている点
実際に新型ESを見て、触れて感じた優れている点をまとめます。
1. 圧倒的な存在感とデザインの完成度

全長5,140mm、全幅1,920mmというボディサイズは、Eセグメントセダンとして堂々たる存在感を放っています。しかし、単に大きいだけではなく、伸びやかなプロポーションと洗練されたデザインにより、威圧感ではなく優雅さを感じさせる点が秀逸です。
特にサイドビューの美しさは特筆もの。流れるようなルーフラインとキャラクターラインの調和が絶妙で、日本車離れした上質なデザインとなっています。

2. 内装の質感向上
先代ESから大幅に質感が向上しています。ダッシュボードやドアトリムの素材選択、加工精度、組み付け品質のすべてが高レベルで、トヨタ車との明確な差別化が図られています。
特に「Bamboo Layering」などの新しい加飾技術は、日本ブランドならではの個性を打ち出しており、ドイツ車にはない魅力となっています。
3. BEVモデルの実用性
ES350eの685km、ES500eの610km(いずれもCLTC値)という航続距離は、BEVセダンとして十分に実用的な数値です。また、150kW急速充電対応により、25-30分で10-80%充電が可能な点も、長距離ドライブでの利便性を高めています。
特にES500eの0-100km/h加速5.9秒という動力性能は、342psという出力と相まって、スポーティな走りを期待させます。
4. 後席の快適性
ホイールベース2,950mmを活かした広々とした後席空間は、ESの大きな魅力です。シートクッションの厚みや形状も適切で、長時間座っていても疲れにくい設計となっています。
後席専用エアコンやシートヒーター、USBポートなど、快適装備も充実しており、ショーファードリブンとしても十分に使えるレベルです。
5. 先進安全装備の充実
最新の「Lexus Safety System +」を標準装備し、プリクラッシュセーフティ(PCS)、レーンチェンジアシスト(LCA)、アダプティブハイビームシステム(AHS)など、充実した安全装備を提供します。
特にAHS(アダプティブハイビームシステム)は、対向車や先行車を検知して自動的にハイビームの照射範囲を調整する機能で、夜間の視認性向上に大きく貢献します。
6. Dynamic Rear Steering(DRS)
4輪操舵システム「Dynamic Rear Steering」の採用により、低速域での取り回し性と高速域での安定性を両立。全長5,140mmという大柄なボディながら、狭い道でもストレスなく運転できることが期待できます。
7. モデリスタ仕様の完成度
後述しますが、モデリスタが手がけるカスタマイズパーツの完成度が非常に高い点も注目です。後付けパーツとは思えない一体感があり、純正オプションとして選択する価値は十分にあります。
残念な点・気になる点
一方で、実際に見て気になった点、残念に感じた点もいくつかあります。
1. ピアノブラック素材の多用

センターコンソールやドアトリムの一部に、ピアノブラック素材が使用されています。高級感を演出する素材ではありますが、指紋や傷が非常に目立ちやすく、日常使用では気を遣う必要があります。
特に日本の高温多湿な環境では、指紋がさらに目立ちやすくなります。マットな質感の素材を選択できるオプションがあれば良かったと感じました。
2. 一部スイッチ類の質感

全体的には質感の高い内装ですが、一部のスイッチ類(特にドアミラー調整スイッチやパワーウィンドウスイッチ)は、トヨタ車と共通のパーツを使用しているように見受けられました。
もちろん機能的には問題ありませんが、価格帯を考えると、もう一段階上質な専用パーツを使用してほしかったというのが正直な感想です。
3. センターディスプレイの角度

12.3インチの大型ディスプレイは視認性も良好ですが、ダッシュボードから垂直に近い角度で立ち上がっているため、座席位置によっては日光の反射が気になる可能性があります。
実際の使用環境でどの程度影響するかは、試乗で確認する必要があるでしょう。
4. ラゲッジスペースのフラット性
後席を倒した際の床面がフラットにならず、若干の段差が残ります。スキー板などの長尺物を積載する際には問題ありませんが、完全にフラットな空間が必要な用途では不便を感じるかもしれません。
5. 全幅1,920mmという数値
存在感を高める全幅1,920mmというサイズは、日本の道路環境では取り回しに苦労する場面もあるでしょう。特に立体駐車場や狭い住宅街では注意が必要です。
もっとも、DRS(4輪操舵)システムの採用により、サイズの割には取り回ししやすくなっていることが期待されますが、実際の運転感覚は試乗で確認したいところです。
6. 価格設定の高さ
先代ES300hが542万円からだったのに対し、新型ES300hは600万円前後、ES350hは720-880万円、BEVのES350eは850-1,020万円、ES500eは1,050-1,320万円と予想されています。
80-420万円という大幅な値上げは、装備や性能の向上を考慮しても、購入のハードルを高くする要因となるでしょう。
7. BEVモデルの充電インフラ依存
BEVモデルは航続距離こそ600km以上を確保していますが、急速充電設備が整っていない地域での使用は依然としてハードルが高いと言わざるを得ません。
特に寒冷地では航続距離が20-30%低下する可能性もあり、充電計画を綿密に立てる必要があります。
8. 納期の長さ
フルモデルチェンジモデルということもあり、発売当初は納期が長期化することが予想されます。特にBEVモデルやF SPORTなどの人気グレードは、1年以上の待ち時間が発生する可能性もあります。
モデリスタ仕様の魅力
東京オートサロン2026で展示された「レクサスES モデリスタ プロトタイプ」は、2026年春の新型ES発売と同時展開が予定されているカスタマイズモデルです。
デザインフィロソフィー「GEOMETRICAL organic」

モデリスタの新しいデザインフィロソフィー「GEOMETRICAL organic(ジオメトリカル オーガニック)」を体現した初の市販モデルとなります。
このデザインコンセプトは、幾何学的(GEOMETRICAL)な直線と有機的(organic)な曲線を融合させ、シャープでありながら自然な美しさを表現するというものです。
エアロパーツ
フロントスポイラー

純正バンパーの造形を活かしながら、下部にブラックのスポイラーを追加。シャープな印象を与えると同時に、空力性能の向上にも寄与します。
サイドスカート

最大の特徴は、サイドスカートに埋め込まれたイルミネーションです。グリーン(レインフォレスト)からブルー(ヒートブルー)へとグラデーションで変化する間接照明は、車外装備としてモデリスタ初の試みとなります。
この光の演出は、単なる装飾ではなく、ESの先進性とエモーショナルな世界観を表現する重要な要素となっています。夜間に点灯すると、非常に幻想的で美しい雰囲気を醸し出します。
フロントスポイラー、サイドスカート、リアスカートの各パーツにブラックのラインを連続させることで、伸びやかなフォルムを表現。その下部をボディ同色とすることで、低重心で重厚感あるたたずまいを演出しています。
リアスカート

リアバンパー下部に装着されるスカートも、フロント・サイドと連続するブラックのラインで統一感を持たせています。
その他のカスタマイズパーツ
サイドモールとミラーカバー
ピアノブラックとマットガンメタリックを組み合わせたツートーンサイドモール、マットガンメタリック塗装のドアミラーカバーを採用。これまでのメッキ加飾とは一線を画すシックでモダンな高級感を演出します。
21インチ鍛造アルミホイール

螺旋状に重なり合うスポークデザインが特徴的な21インチの鍛造アルミホイールを設定。繊細かつダイナミックな造形で、静止していても動きを感じさせるデザインが、足元から車両全体の格を引き上げます。
鍛造製法により軽量化も実現しており、バネ下重量の軽減による乗り心地と運動性能の向上も期待できます。
モデリスタ仕様の完成度

実車を目にすると、後付けパーツとは思えない一体感があり、純正デザインの一部として最初から存在していたように感じられます。
特に印象的なのは、ベースとなる新型ESの本来の美しさを決して邪魔していない点です。GA-Kプラットフォームが持つ空力性能や基本骨格を尊重しつつ、モデリスタのパーツを加えることで、さらなる魅力を引き出しています。
発売前の新型車をベースに開発できるのは、トヨタグループ直系のモデリスタならではの強み。車両のキャラクターを誰よりも深く理解した上で作られたパーツ群は、デザインのマッチングだけでなく、品質や機能面でも安心感を約束するでしょう。
まとめ
レクサス新型ESは、8代目となるフルモデルチェンジで、大幅なサイズアップと質感の向上、そしてBEVモデルの追加により、Eセグメントセダンとして大きく進化を遂げました。
優れている点としては:
- 全長5,140mm、全幅1,920mmという堂々たるサイズと洗練されたデザイン
- 大幅に向上した内装の質感とBamboo Layeringなどの独自加飾
- BEVモデルで600km以上の航続距離と150kW急速充電対応
- ホイールベース2,950mmを活かした広々とした後席空間
- 最新のLexus Safety System +による充実した安全装備
- Dynamic Rear Steering(DRS)による優れた取り回し性
- モデリスタ仕様の高い完成度
気になる点・残念な点としては:
- ピアノブラック素材の多用による指紋や傷の目立ちやすさ
- 一部スイッチ類の質感がトヨタ車と共通
- センターディスプレイの角度による日光反射の懸念
- ラゲッジスペースが完全フラットにならない
- 全幅1,920mmという日本の道路環境では扱いにくいサイズ
- 80-420万円という大幅な価格上昇
- BEVモデルの充電インフラへの依存
- 予想される長い納期
総合的に見て、新型ESは「上質さ」「先進性」「電動化」という3つのキーワードを高いレベルで実現したセダンと言えるでしょう。特にBEVモデルの投入は、レクサスブランドの電動化戦略において重要な一歩となります。
価格上昇は気になるところですが、ドイツ御三家のEセグメントセダン(メルセデス・ベンツEクラス、BMW 5シリーズ、アウディA6)と比較すると、まだ競争力のある価格設定と言えます。
発売時期: 2026年春予定
予想価格帯: 600万円〜1,320万円
2026年春の発売が待ち遠しい、魅力的なプレミアムセダンの登場です。購入を検討している方は、実際にディーラーで実車を確認し、試乗することをお勧めします。特にBEVモデルについては、充電環境を含めた総合的な検討が必要でしょう。

