トヨタ自動車の電動化戦略を牽引するBEV(バッテリー電気自動車)「bZシリーズ」。その中核モデルが、この度アメリカ法人であるトヨタUSAより2026年モデルとして大幅な進化を遂げたビッグマイナーチェンジ版「bZ」として発表されました。注目すべきは、従来の「bZ4X」から「bZ」へと名称を変更し、エクステリアデザインの刷新、航続距離の大幅な向上、そして充電性能の強化など、多岐にわたる改良が施されている点です。本記事では、トヨタUSAが発表した新型「bZ」の詳細について、エクステリア、インテリア、パワートレイン、安全性能、コネクテッド機能など、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。
トヨタUSA発表 新型「bZ」(2026年モデル)ビッグマイナーチェンジの主要ポイント
- 名称変更と発表主体:
- トヨタUSAが2026年モデルとして新型「bZ」を発表。従来の「bZ4X」から「bZ」へと名称を変更し、顧客にとっての分かりやすさを追求。
- エクステリアデザインの刷新:
- フロントマスクに最新デザイン言語「ハンマーヘッド」を採用し、コの字型LEDデイライトとセンター直結の一文字デイライトで先進的な表情へ。
- フロント・リアフェンダーモールを従来の無塗装ブラックからボディ同色に変更し、都会的で洗練された印象を強化(無塗装ブラックも選択可能)。
- リアゲートの車名エンブレムを「bZ」に変更し、シンプルなデザインに。
- 足元はXLEに18インチ、Limitedに20インチアルミホイールを標準装備。
- インテリアの質感と機能性向上:
- 全グレードに14インチの大型トヨタオーディオマルチメディアタッチスクリーンを標準装備。
- センターコンソールデザインを刷新し、Qiワイヤレス充電(スマートフォン2台同時充電可能)に対応。
- キャビン全体に64色から選択可能なカスタマイズアンビエント照明を採用。
- シート表皮は全グレードでSofTexフェイクレザーをベースとし、上質感を演出。
- ステアリングホイールに回生ブレーキの起動・調整が可能なパドルシフトを新たに追加。
- 航続距離の大幅向上とパワートレイン強化:
- 新しいバッテリーパックを採用(57.7kWhと74.7kWhの2種類)。
- 74.7kWhバッテリー搭載のXLE FWD Plusモデルで、メーカー推定航続距離が約505km(314マイル)と、従来比で最大約25%向上。
- システム総出力も向上し、FWDモデルは最大221hp、AWDモデルは最大338hpを発揮(AWDモデルは0-60MPH加速4.9秒)。
- eAxleにSiC半導体を採用し高出力化に貢献。
- 充電性能の進化と利便性向上:
- アメリカの充電規格NACS(North American Charging Standard)に対応した充電ポートを装備し、テスラスーパーチャージャー等が利用可能に。
- 「プラグ&チャージ」機能を採用し、充電時の認証プロセスを簡略化。
- 車載AC充電器の容量を7kWから11kWにアップグレード。
- 寒冷地での充電速度を向上させるバッテリープレコンディショニング機能を全モデルに搭載。
- 走行性能とプラットフォーム:
- EV専用e-TNGAプラットフォームを引き続き採用し、低重心と高剛性シャシーによる優れた操縦安定性を実現。
- AWDモデルには、悪路走破性を高めるX-MODE(グリップコントロール機能含む)を搭載。
- 先進安全・運転支援システムの充実:
- 最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス3.0(TSS 3.0)」を全グレードに標準装備。
- ブラインドスポットモニター(BSM)、リアクロストラフィックアラート(RCTA)、セーフエグジットアラートなどを標準搭載。
- Limitedグレードにはレーンチェンジアシスト、フロントクロストラフィックアラート、アドバンスパーキングなどの高度運転支援機能を追加。
- コネクテッド機能の強化:
- 14インチディスプレイで操作する「トヨタオーディオマルチメディアシステム」を搭載し、ワイヤレスApple CarPlay®とAndroid Auto™に対応。
- Drive Connect(クラウドナビ、インテリジェントアシスタント等)、Safety Connect、Service Connect、リモートコネクト(デジタルキー、リモート充電、リモートクライメート等)といった多彩なコネクテッドサービスを提供。
- グレード構成:
- 主要グレードとして「XLE」と「Limited」を設定し、それぞれにFWDとAWDを選択可能。
- XLE FWDには57.7kWhバッテリー搭載モデルと、74.7kWhバッテリーを搭載する「XLE FWD Plus」モデルを用意。
- 発売時期とその他:
- 2025年後半にアメリカのトヨタディーラーに到着予定。メーカー希望小売価格は発売日近くに発表。
- 充実した車両保証(新車基本保証、パワートレイン保証、EV駆動部品保証)とトヨタケア(定期メンテナンス、ロードサイドアシスタンス)が付帯。
より洗練されたエクステリアへ:ハンマーヘッド採用と都会的な装い
まずエクステリアデザインを見ていくと、フロントマスクにトヨタの最新デザイン言語である「ハンマーヘッド」モチーフが大胆に採用されたことが最大のトピックです。スリムなコの字型LEDデイタイムランニングライトに加え、センターで直結する一文字デイライトが追加され、先進的かつシャープな印象を強調しています。ヘッドライトの意匠も、トヨタ・クラウンスポーツやクラウンエステートを彷彿とさせる独立式のLEDヘッドライトへと変更され、より精悍な顔つきへと生まれ変わりました。
これまでbZ4Xで特徴的だったフロントおよびリアフェンダーの無塗装ブラック樹脂モールは、新型「bZ」ではボディ同色に変更され、全体としてより都会的で洗練されたSUVのテイストへとシフトしています。もちろん、ユーザーの好みに応じて従来の無塗装ブラックの樹脂モールも選択可能としており、トヨタならではの多様なニーズに応える商品展開の幅広さが伺えます。足元には、ベースグレードのXLEに18インチタイヤアルミホイールが標準装備され、上位グレードのLimitedでは20インチへとサイズアップ。力強さとスタイリッシュさを両立させています。ボディカラーは全8色がラインナップされ、そのうち6色は有償カラーとなる予定です。ウィンドチルパール、ヘビーメタル、ブラックの3色を塗装したモデルには、カラーマッチングしたオーバーフェンダーをオプションで選択することも可能です。
リアデザインに関しては、フロントマスクほど大きな変更は見られませんが、テールランプのデザインは維持しつつ、リアゲートの車名エンブレムが「bZ」へとシンプルかつおしゃれなレイアウトに変更されています。エンブレムは、近年のトヨタ車で多く見られる"TOYOTA"の文字列タイプではなく、従来のCIマークエンブレムが継続採用されている点も特徴的です。全体の寸法は、全長184.6インチ(約468.9cm)、全幅73.2インチ(約185.9cm)、全高65インチ(約165.1cm、アンテナ含む)、ホイールベースは112.2インチ(約285.0cm)と、コンパクトSUVセグメントに適したサイズ感を維持しつつ、最低地上高は8.2インチ(約20.8cm)を確保しており、日常使いから多少の悪路まで対応できる実用性も兼ね備えています。
モデル名 | トヨタ bZ (Toyota bZ) |
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年式 | 2026年モデル |
発表地域 | アメリカ合衆国 (トヨタUSA発表) |
全長 | 184.6インチ (約468.9cm) |
全幅 | 73.2インチ (約185.9cm) |
全高 | 65.0インチ (約165.1cm) ※アンテナ含む |
ホイールベース | 112.2インチ (約285.0cm) |
最低地上高 | 8.2インチ (約20.8cm) |
乗車定員 | 5名 (一般的なSUVとして記載、記事に明記なし) |
ラゲッジ容量 | 27.7立方フィート (約770L) ※2列目シート後方 |
上質さと先進性を追求したインテリア:14インチ巨大ディスプレイと快適空間
インテリアに目を向けると、まず目に飛び込んでくるのは、全グレードに標準装備される14インチの大型トヨタオーディオマルチメディアタッチスクリーンです。アルファードやヴェルファイアなどにも採用されているタイプで、ディスプレイの両サイド下部にはダイヤル式の温度調整機能が搭載され、直感的な操作を可能にしています。この大型ディスプレイの採用に伴い、センターコンソールデザインも刷新。Qi(チー)ワイヤレス充電に新たに対応し、スマートフォン2台を同時に充電できるデュアルチャージャーが搭載されるなど、利便性が大幅に向上しています。
ダッシュボードのデザインもスリム化され、ソフトタッチ素材が随所に使用されることで、より高級感のある空間を演出。さらに、キャビン全体には64色から選択可能なカスタマイズアンビエント照明が採用され、乗員の気分や好みに合わせて車内を彩ることができます。シート表皮は、全グレードで革タイプがベースとなり、トヨタ独自のSofTexフェイクレザーが採用されます。カラーはグレーとブラックの2色から選択可能です。ステアリングホイールにもSofTex仕上げが施され、上質な握り心地を提供します。また、ステアリングホイールには回生ブレーキの起動と調整を可能にするパドルシフトが新たに追加されました。これにより、ドライバーは好みに応じて回生ブレーキの制動力を調整し、効率的にエネルギーを回収できます。
運転席のメーターデザインについては、従来モデルから大きな変更はなく、ヨークステアリングの採用を前提としたようなデザインが継続されています。このトップマウントのマルチインフォメーションディスプレイ(MID)は7インチの液晶ディスプレイを備え、速度、充電情報、警告インジケーターなどの主要なドライバー情報を表示しますが、ステアリングホイールの位置によっては視認性についてユーザーから様々な意見が出る可能性も残されています。
居住性に関しては、フロントレッグルームが約1,020mm(42.1インチ)、後席レッグルームが約890mm(35.3インチ)と、広々とした空間を確保。2列目シート後方のラゲッジスペースは約770L(27.7立方フィート)を誇り、ヒョンデ・アイオニック5の745Lをわずかに上回る容量を実現しています。後席は60/40分割リクライニング折りたたみ式リアシートを採用し、荷物の大きさや乗車人数に合わせて柔軟にシートアレンジが可能です。
オーディオシステムは、6スピーカーシステムが標準装備されますが、オプションで8チャンネル800Wアンプと9インチサブウーファーを含む9スピーカーのJBLプレミアムオーディオシステムを選択することもでき、より臨場感あふれるサウンド体験を求めるユーザーのニーズにも応えます。
航続距離最大25%向上と充電性能の進化:NACS対応と新バッテリー
新型「bZ」の最も大きな進化の一つが、航続可能距離の大幅な向上です。これは、新たに採用された2種類のバッテリーパックと、エネルギー効率の改善によるものです。ベースグレードとなる「bZ XLE FWD」には57.7kWhのバッテリーが搭載され、メーカー推定航続距離は約380km(236マイル)を実現。これは従来の約355kmから着実な伸びを示しています。
そして、注目すべきは「XLE FWD Plus」モデルに搭載される74.7kWhの大容量リチウムイオンバッテリーです。このモデルでは、メーカー推定航続距離が約505km(314マイル)と、従来モデル(XLE FWD、約404km/252マイル)から実に約25%もの大幅な向上を達成しています。その他のグレードにおける74.7kWhバッテリー搭載モデルの航続距離は、「Limited FWD」が約481km(299マイル)、「XLE AWD」が約463km(288マイル)、「Limited AWD」が約447km(278マイル)となっています。なお、ビッグマイナーチェンジ前は63.4kWhと65.5kWhの2種類のバッテリー容量だったため、大幅な容量アップが図られたことがわかります。
このバッテリー容量の拡大に伴い、システム総出力も向上しています。前輪駆動(FWD)モデルは、従来の201hpから最大221hp(XLE FWD Plus、Limited FWD)へとパワーアップ。そして、四輪駆動(AWD)モデルでは、システム総出力が従来の214hpから最大338hpへと約50%も大幅に向上し、0-60MPH(約0-96km/h)加速は4.9秒という俊敏な動力性能を実現しています。この出力向上には、トヨタのコンパクトで軽量、そしてエネルギー効率に優れたeAxleのアップグレードが貢献しており、新たにシリコンカーバイド(SiC)半導体を採用することで、より高い出力を可能にしました。
充電性能に関しても大きな進化が見られます。新型「bZ」は、アメリカの充電規格であるNACS(North American Charging Standard)に対応した充電ポートを新たに装備。これにより、テスラが展開するスーパーチャージャーステーションを含む、全国数千箇所のDC急速充電ステーションへのアクセスが可能となり、利便性が格段に向上します。理想的な条件下では、DC急速充電を利用することで約30分でバッテリー容量の10%から80%まで充電可能としています。さらに、業界標準プロトコルである「プラグ&チャージ」機能も採用。これにより、特定の充電ネットワークにおいて車両を接続するだけで自動的に識別、認証、承認が行われ、複数のモバイル充電アプリケーションを用意する必要性が軽減されます。
また、車載AC充電器の容量も従来の7kWから11kWへとアップグレードされ、レベル1およびレベル2のAC充電にも対応。充電ポートは車両右側前方に配置され、デュアルボルテージ充電ケーブルが付属します。寒冷地での充電性能を向上させるため、全モデルに新たなバッテリープレコンディショニング機能が搭載されました。このシステムは、バッテリーをDC急速充電に最適な温度に調整することで、低温環境下でもより速い充電を可能にします。この機能は手動で起動することも、ナビゲーションシステムで目的地を急速充電ステーションに設定することで自動的に起動することもできます。
バッテリーの熱管理システムも強化されており、バッテリー温度を上昇させる水冷式熱交換器と加熱調整弁を備え、寒冷地におけるDC充電速度の最適化に貢献します。エネルギー消費量を削減するための工夫として、暖房と冷房の両方に使えるヒートポンプシステム、標準装備の前席およびステアリングホイールヒーター、オプションで装備可能なフロントシートのフット&レッグヒーター、後部座席のヒーター、前部座席のベンチレーションなどが用意されています。バッテリーの安全性に関しても、トヨタは車両のバッテリーシステムを保護するための設計と多重監視システムを活用し、セルの完全性を確保するための様々な対策を講じています。具体的には、バッテリーの電圧、電流、温度を冗長的に監視し、異常な加熱の兆候を検出して最適なバッテリー温度を維持し、セルの損傷を防ぐように設計されています。また、高抵抗冷却液循環システムの採用により、高速走行と急速充電の繰り返しによるバッテリー高負荷状態でも、短絡による発熱を防止することができるとしています。
グレード別 主要スペック
グレード | 駆動方式 | バッテリー容量 | システム最高出力 | 0-60MPH加速 | メーカー推定航続距離 (マイル / 約km) | ホイールサイズ | シートヒーター/ベンチレーション(フロント) |
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bZ XLE FWD | FWD | 57.7kWh | 168hp | - | 236 / 約380 | 18インチ | ヒーターのみ |
bZ XLE FWD Plus | FWD | 74.7kWh | 221hp | - | 314 / 約505 | 18インチ | ヒーターのみ |
bZ XLE AWD | AWD | 74.7kWh | 338hp | 4.9秒 | 288 / 約463 | 18インチ | ヒーターのみ |
bZ Limited FWD | FWD | 74.7kWh | 221hp | - | 299 / 約481 | 20インチ | ヒーター&ベンチレーション |
bZ Limited AWD | AWD | 74.7kWh | 338hp | 4.9秒 | 278 / 約447 | 20インチ | ヒーター&ベンチレーション |
卓越した走行性能と安心感:e-TNGAプラットフォームとX-MODE
新型「bZ」の卓越した走行性能は、EV専用に開発されたe-TNGAプラットフォームの恩恵を大きく受けています。このプラットフォームは、大容量リチウムイオンバッテリーパックを床下にフラットに搭載することで、低重心化と高剛性シャシーを実現。これにより、優れた操縦安定性と快適な乗り心地を高次元で両立しています。また、バッテリークロスフレーム構造による車体剛性の向上も、優れたハンドリング性能に貢献しています。バッテリーパック周囲に高張力鋼板で補強されたフレーム部品を用いた軽量ボディ構造と、ダイナミックサスペンションの組み合わせが、bZの軽快かつ安定したドライビングフィールを生み出します。インテリジェントスロットル機能は、加減速時のスムーズなフィーリングを提供し、車両安定性制御(VSC)は、様々な走行条件下でもドライバーの車両コントロールをサポートします。
AWDモデルには、トヨタが誇る高度な駆動力制御システム「X-MODE」が搭載されます。X-MODEは、ドライバーがスイッチ操作一つで路面状況に応じたモードを選択することで、ブレーキ制御と各ホイールへのパワー伝達を最適化し、操縦安定性とトラクション性能を向上させる機能です。特に注目すべきは、X-MODEに含まれる「グリップコントロール」です。この機能は、低速域で作動させるとモーターの駆動力を巧みに調整し、優れたオフロード性能を発揮します。路面状況に応じて一定の速度を維持し、荒れた路面でのスリップを防止するための追加機能として開発されており、ドライバーにさらなる安心感を提供します。
項目 | スペック |
---|---|
充電ポート規格 | NACS (North American Charging Standard) |
DC急速充電 目安 | 約30分でバッテリー容量10%~80% ※理想条件下 |
車載AC充電器 容量 | 11kW |
プラグ&チャージ機能 | 対応 |
バッテリープレコンディショニング機能 | 全モデル搭載 |
先進の安全・運転支援システム「トヨタセーフティセンス3.0」と充実のコネクテッド機能
安全性能においては、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス3.0(TSS 3.0)」が全グレードに標準装備されます。このシステムは、ミリ波レーダーと単眼カメラの検知能力を向上させ、より幅広い状況でドライバーをサポートします。主な機能として、車両、歩行者、自転車、自動二輪車を検知し、衝突回避または被害軽減を支援する「プリコリジョンシステム(PCS)歩行者検知機能付」、前方車両との車間距離を保ちながら追従走行を支援する「全速度域ダイナミックレーダークルーズコントロール(DRCC)」、車線逸脱を警告し、ステアリング操作も支援する「レーンデパーチャーアラート(LDA)ステアリングアシスト付」、車線の中央を走行するようにステアリング操作を支援する「レーントレーシングアシスト(LTA)」、道路標識を認識してディスプレイに表示する「ロードサインアシスト(RSA)」、夜間の視認性を高める「オートマチックハイビーム(AHB)」、そして先行車やカーブに対して緩やかなブレーキングやステアリング操作を行い、運転操作をサポートする「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」などが含まれます。
これらに加え、車線変更時の後方確認をアシストする「ブラインドスポットモニター(BSM)」や、駐車場などで後退する際に後方左右から接近する車両を検知して注意喚起する「リアクロストラフィックアラート(RCTA)」も標準装備。さらに、後方から接近する車両や自転車を検知し、ドアを開けようとした際や降車中の乗員との衝突の可能性を警告する「セーフエグジットアラート」も搭載され、あらゆるシーンでの安全性を高めています。Limitedグレードには、これらの機能に加えて、「レーンチェンジアシスト」や「フロントクロストラフィックアラート」、「アドバンスパーキング」といった、さらに高度な運転支援機能が標準装備されます。また、Limitedグレードには、低速走行時および後退時に車両周囲を360度表示するパノラミックスビューモニター(ペリメータースキャン機能付き)も標準装備され、駐車時や狭い場所での運転をサポートします。もちろん、車両安定性制御(VSC)、トラクションコントロール(TRAC)、アンチロックブレーキシステム(ABS)、電子制御制動力配分システム(EBD)、ブレーキアシスト(BA)、スマートストップテクノロジー(SST)といった基本的な安全装備「トヨタスターセーフティシステム」も全車に標準搭載されています。
コネクテッド機能も大幅に強化されています。14インチの大型タッチスクリーンをインターフェースとする「トヨタオーディオマルチメディアシステム」は、テキサス州に拠点を置くトヨタのコネクテッドテクノロジーチームが設計・開発したもので、直感的でスムーズな操作性を提供します。標準でワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoに対応し、Bluetoothによるデュアルフォン接続も可能です。
様々なコネクテッドサービスも利用可能で、「Drive Connect」の3年間トライアルでは、「Hey Toyota」と呼びかけることで起動するインテリジェントアシスタントによる音声操作(ルート検索、POI検索、オーディオコントロール、車内温度調整など)、クラウドを利用して最新の地図や交通情報を提供するクラウドナビゲーション、24時間365日対応のライブエージェントによる目的地アシストなどが利用できます。また、「Wi-Fi Connect」トライアル(30日間または最大3GB)を利用すれば、最大5台のデバイスで4G接続が可能となり、車両をAT&Tホットスポットとして使用できます。さらに、Wi-Fi Connectは統合ストリーミング機能も有効にし、Apple MusicやAmazon Musicのサブスクリプションを車両にリンクして車載コントロールで楽しむことができます。
「Safety Connect」と「Service Connect」は最低5年間のトライアルサブスクリプションが付属。Safety Connectには、緊急アシスタンスボタン(SOS)、24時間365日対応の拡張ロードサイドアシスタンス、自動衝突通知、盗難車両ロケーターが含まれます。Service Connectでは、車両状態レポート、メンテナンスアラート、リマインダーを受け取ることができます。
トヨタアプリを通じて利用できる「リモートコネクト」サービス(3年間トライアル)も充実しており、スマートフォンのアプリからヘッドライト、ホーン、ブザーの作動、リアハッチのロック解除などが可能です。リモートクライメート機能では、シートヒーター/ベンチレーター、ステアリングヒーター、デフロスターのリモート操作を含む車内温度調節や、タイマー設定による自動起動も行えます。さらに、リモートコネクトサービスには「トヨタデジタルキー」機能も含まれ、スマートフォンを物理キーの代わりに使用することができます。オーナーは車両へのアクセスを簡単に共有でき、トヨタアプリから車両の施錠、解錠、エンジン始動まで操作可能です。EVならではの機能として、リモート充電機能も搭載。充電状況の確認、接続済み車両からの充電開始/停止、充電スケジュールの編集などが可能で、充電ステーションの検索機能もアプリで提供されます。
項目 | スペック・内容 |
---|---|
ディスプレイ | 14インチ トヨタオーディオマルチメディアタッチスクリーン |
安全装備 | トヨタセーフティセンス3.0 (TSS 3.0) |
ブラインドスポットモニター (BSM)、リアクロストラフィックアラート (RCTA) | |
セーフエグジットアラート | |
コネクテッド機能 | Toyota Connected Services (Drive Connect, Safety Connect, Service Connect, Remote Connect 等) |
ワイヤレススマートフォン連携 | Apple CarPlay®, Android Auto™ |
Qiワイヤレス充電 | デュアルスマートフォンチャージャー |
アンビエントライト | 64色カスタマイズ可能 |
回生ブレーキパドルシフト | ステアリングホイールに搭載 |
グレード構成と主な装備
新型「bZ」は、「XLE」と「Limited」の2つの主要グレードが設定され、それぞれに前輪駆動(FWD)または全輪駆動(AWD)を選択できます。XLE FWDには、57.7kWhバッテリー搭載モデルと、より大容量の74.7kWhバッテリーを搭載する「XLE FWD Plus」モデルが用意されています。
XLEグレードの主な標準装備としては、AWDモデルのX-MODE、18インチマルチスポークブラック/シルバーアロイホイール(プラスチックカバー付き)、7インチLCDディスプレイを備えたトップマウントマルチインフォメーションディスプレイ(MID)、64色から選べるフロントとリアのアンビエント照明、ヒーター付きSofTexトリム手動チルト/テレスコピック3スポークステアリングホイール(回生ブレーキパドルスイッチ付き)、ファブリック/SofTexトリムシート(8ウェイパワー調整式運転席、6ウェイ調整式助手席)、ヒーター付きフロントシート、60/40分割リクライニング折りたたみ式リアシート、充電インジケーターライト付きのデュアルQi対応ワイヤレススマートフォン充電、4つのUSB-C充電ポート、14インチトヨタオーディオマルチメディア(6スピーカー付き)、LEDアクセントライト付きバイLEDプロジェクターロービームおよびハイビームヘッドライト、LEDデイタイムランニングライト(DRL)とLEDテールライトおよびストップライト、除氷機能付き雨滴感知可変間欠ワイパー、高さ調節可能な足踏み式パワーリフトゲート(挟み込み防止機能付き)、トヨタセーフティセンス3.0、デジタルキー機能などが挙げられます。
上位グレードのLimitedは、XLEの装備に加えて、または置き換える形で、20インチブラックマルチスポークアルミホイール、マルチLEDヘッドライト、SofTexトリムシート(ランバーサポート付き8ウェイパワー調整式運転席、8ウェイパワー調整式助手席)、ヒーターとベンチレーション付きのフロントシート、レーンチェンジアシスト、トラフィックジャムアシスト、フロントクロストラフィックアラート、アドバンスパーキングなどが標準装備となります。
オプションとしては、XLEグレードに電動サンシェード付きパノラマ固定ガラスムーンルーフ、Limitedグレードにサブウーファーとアンプを含む9スピーカーJBLプレミアムオーディオシステムが用意されています。
名称変更の意図と今後の展望
今回、従来の「bZ4X」から「bZ」へと車名が変更された背景には、トヨタが顧客にとってより分かりやすいネーミングを目指したという意図があるようです。これが、ナンバリングを用いたEVラインナップ戦略の見直しを意味するのか、今後の展開が注目されます。
2026年モデルとして生まれ変わった新型「トヨタ bZ」は、エクステリアデザインの大幅な刷新、インテリアの質感と機能性の向上、そして何よりも航続可能距離の劇的な伸長と充電性能の強化により、その商品力を飛躍的に高めています。特にNACSへの対応は、北米市場における利便性を大きく向上させるものであり、テスラユーザー以外のEV検討層にも強くアピールする要素となるでしょう。
新型「トヨタ bZ」は、2025年後半にアメリカのトヨタディーラーに到着する予定です。メーカー希望小売価格については、発売日が近づいた時点で発表されるとのこと。日本市場への導入時期や仕様については現時点では未定ですが、今回のビッグマイナーチェンジで得られた知見や技術が、今後のトヨタのグローバルなEV戦略に活かされていくことは間違いありません。トヨタが示す電動化の未来に、ますます期待が高まります。限定保証として、新車基本保証に加え、パワートレインは60ヶ月/60,000マイル、トラクションバッテリーを含む電気自動車の駆動部品は8年間/100,000マイルのいずれか早い方まで保証されます。また、トヨタケアとして2年間または25,000マイルまでの工場定期メンテナンスと、3年間のロードサイドアシスタンスが付帯します。
この新型「bZ」の登場は、競争が激化するEV市場において、トヨタが確固たる存在感を示すための一手と言えるでしょう。デザイン、性能、利便性、安全性の全てにおいて大幅な進化を遂げた新型「bZ」が、世界の電動化シフトをどのように加速させていくのか、その動向から目が離せません。
トヨタニュースリリース