ホンダのフラッグシップセダンとして長年にわたり高い人気を誇る新型アコード(ACCORD e:HEV)。2025年3月20日には一部改良が実施され、最上位グレード「Honda SENSING 360+」が新たに追加されるなど、さらなる進化を遂げた本モデルですが、2025年4月21日にJNCAP(自動車安全性能評価)の結果が国土交通省およびナスバ(独立行政法人 自動車事故対策機構)より公表されました。果たしてその評価内容はどのようなものだったのでしょうか。本記事では、評価結果の詳細や各性能項目の解説、さらに他の安全性能上位車種との比較まで、購入を検討している方に役立つ情報をわかりやすくまとめています。

JNCAPとは?自動車安全性能評価の仕組みを理解しよう:
JNCAP(Japan New Car Assessment Program)とは、国土交通省とナスバが共同で実施する自動車の安全性能評価プログラムです。一般消費者が車を選ぶ際の判断基準として活用されることを目的とし、「予防安全性能」「衝突安全性能」「事故自動緊急通報装置」の3つの柱から車両を評価します。総合評価は5段階の星マークで表示され、最高評価が「★★★★★(5つ星)」、その中で最高得点を獲得した車種が「ファイブスター大賞」として表彰される仕組みです。なお、2025年度(令和7年度)より、ファイブスター大賞の価値と注目度を高めるための試行的取り組みとして、車種別の評価結果は随時公表しつつも、詳細な点数については2025年5月頃に開催される表彰式後に開示される形式へと変更されました。
新型アコードのJNCAP総合評価:★★★★☆(4つ星):
2025年度のJNCAPにおいて、ホンダ新型アコード(ACCORD e:HEV)は総合評価で5段階中上から2番目となる「★★★★☆(4つ星)」を獲得しました。内訳としては、予防安全性能評価で「Aランク」を取得した一方、衝突安全性能評価では「Bランク」という結果となり、最高評価の「★★★★★(5つ星)」には届かず、ファイブスター賞の獲得は叶いませんでした。ホンダのフラッグシップセダンとして高い期待が寄せられていただけに、衝突安全性能での評価がBランクに留まったことは注目を集めています。
予防安全性能評価:Aランク(最高評価)の実力:
予防安全性能の評価では、全7項目において非常に高い評価を獲得し、総合Aランクという最高評価を達成しています。各項目の詳細は以下の通りです。
- 被害軽減ブレーキ(対歩行者:昼間):レベル5 / 5
- 被害軽減ブレーキ(対歩行者:夜間):レベル5 / 5
- 被害軽減ブレーキ(対自転車):レベル5 / 5
- 被害軽減ブレーキ(交差点):レベル5 / 5
- 車線逸脱抑制:レベル5 / 5
- 高機能前照灯(アダプティブドライビングビーム):レベル5 / 5
- ペダル踏み間違い時加速抑制:レベル4 / 5
ペダル踏み間違い時加速抑制のみレベル4となっていますが、それ以外の6項目すべてが満点のレベル5を獲得している点は高く評価できます。この背景には、全グレードに標準搭載されたホンダの先進安全システム「Honda SENSING 360」および最上位グレードの「Honda SENSING 360+」の存在があります。従来の対歩行者・対自転車に加え、交差点での衝突軽減ブレーキが新たに追加され、路外逸脱抑制機能も白線だけでなく道路境界まで対象を拡大するなど、ワイドに進化した安全支援機能が高評価につながっています。また、対向車を検知して前方照射範囲をコントロールするアダプティブドライビングビームの新採用も、夜間走行の安全性向上に大きく貢献しています。
衝突安全性能評価:Bランクの詳細と課題:
一方、衝突安全性能評価ではBランクという結果となりました。各項目の評価は以下の通りです。
- フルラップ前面衝突(運転席):レベル5 / 5
- フルラップ前面衝突(後席):レベル5 / 5
- 新オフセット前面衝突:レベル5 / 5
- 側面衝突(運転席):レベル5 / 5
- 後面衝突頸部保護(運転席):レベル3 / 5
- 後面衝突頸部保護(助手席):レベル3 / 5
- 歩行者保護(頭部):レベル4 / 5
- 歩行者保護(脚部):レベル5 / 5
- シートベルト着用警報(後席・助手席あり):レベル5 / 5
フルラップ前面衝突・新オフセット前面衝突・側面衝突・シートベルト着用警報・歩行者脚部保護の5項目では最高のレベル5を記録しており、衝突時の基本性能は非常に高いことがわかります。しかしながら、「後面衝突頸部保護」が運転席・助手席ともにレベル3にとどまったことが、総合評価をBランクに引き下げる主要因となっています。追突事故時のむち打ち傷害リスクを評価するこの項目での低評価は、特に高速道路走行が多いセダンユーザーにとっては気になるポイントといえるでしょう。ホンダ独自の安全技術「G-CON」による衝撃分散・吸収機構や、コンパティビリティに配慮したボディ構造、8つのエアバッグシステム、歩行者頭部保護のポップアップフードといった多数の安全装備が搭載されているものの、後面衝突時の頸部保護性能については改善の余地があることが今回の評価で明らかになりました。

事故自動緊急通報装置:先進型を搭載:
事故自動緊急通報装置については「先進型」に区分される装置が搭載されており、万が一の事故発生時でも迅速な救急・救助対応を可能にする体制が整えられています。この先進型通報装置は、衝突の衝撃を自動検知して緊急通報センターへ接続し、乗員の状況確認と適切な救助の手配を支援するものです。
新型アコードの主な安全装備まとめ:
今回の評価の中心となったアコードの安全装備を整理すると、Honda SENSING 360(全グレード標準装備)として衝突軽減ブレーキ(歩行者・自転車・交差点対応)、車線維持支援システム(LKAS)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、路外逸脱抑制機能(白線+道路境界対応)などが挙げられます。上位グレードのHonda SENSING 360+では360度対応の認識エリアをカバーする全方位型安全支援システムが搭載され、GNSS(衛星測位)との連携による精度向上も図られています。さらに、ポップアップフード(歩行者頭部保護)、8エアバッグシステム、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、シートベルトリマインダー(全席)なども標準的に装備されており、安全装備の充実度は高水準といえます。

NASVAファイブスター取得車と新型アコードの比較:
NASVAが実施してきた過去の評価において★★★★★(5つ星)を取得した上位車種と比較すると、アコードの位置づけがより明確になります。現時点でのNASVA評価スコアランキングでは、1位がスバル インプレッサ/クロストレック(2023年評価・193.53/197点)、2位がトヨタ クラウン(2023年評価・188.39/197点)、4位がマツダ CX-60(186.77/197点)などとなっており、上位車種は概ね185点以上の高得点を獲得しています。ホンダ車ではZR-Vが2023年評価で185.41/197点(7位)、シビックが2024年評価で182.44/193.8点(17位)、N-BOXが2023年評価で181.20/197点(20位)といった実績があります。新型アコードは今回4つ星評価にとどまったため、これらのスコアランキングには載らない形となりますが、予防安全性能における満点評価の多さは他車種と比べても遜色ない水準です。
新型アコード e:HEVのスペックと価格:
参考として、今回評価を受けたアコードの基本スペックと価格を確認しておきましょう。ボディサイズは全長4,975mm・全幅1,860mm・全高1,450mm・ホイールベース2,830mmと、余裕あるセダンのプロポーションを持ちます。パワートレインはe:HEV(ハイブリッド)専用で、2.0L直列4気筒エンジンと2つのモーターを組み合わせたシステムを採用し、WLTC燃費は23.8km/Lという優れた燃費性能を実現しています。価格はACCORD e:HEV(Honda SENSING 360搭載)が税込5,999,400円、ACCORD e:HEV Honda SENSING 360+搭載グレードが税込6,000,000円(※2025年3月20日改良後の価格)となっています。なお、2026年7月30日に予定されている次回改良時にはさらに価格改定(値上げ)が実施される予定であるため、購入を検討している方は早めの判断が得策といえるでしょう。
アコードの購入を検討している方へ:評価結果をどう見るか:
今回の評価結果を踏まえてアコードの購入を検討する際に押さえておきたいのは、4つ星評価だからといって安全性が低いわけでは決してないという点です。予防安全性能では最高のAランクを獲得しており、事故そのものを未然に防ぐ能力は非常に高い水準にあります。衝突安全性能でBランクとなった主な要因は後面衝突時の頸部保護性能であり、前面・側面方向の衝突安全性については軒並みレベル5の高評価を得ています。日常的な使用シーンにおいて、予防安全技術の高さはドライバーと乗員を事故から守る第一の防衛線として機能します。一方で、万が一の追突事故に備えるという観点では、今後のモデル改良に期待する部分もあるといえます。高い予防安全性能と上質なセダンボディを求めるユーザーにとって、新型アコードは依然として魅力的な選択肢であることは間違いありません。
まとめ:
2025年度JNCAPにおける新型ホンダ アコード(ACCORD e:HEV)の評価結果は、予防安全性能Aランク・衝突安全性能Bランク・総合評価★★★★☆(4つ星)でした。Honda SENSING 360/360+による予防安全性能の高さは国内トップクラスであるものの、後面衝突頸部保護性能がネックとなりファイブスター賞の獲得には至りませんでした。600万円前後という価格帯のフラッグシップセダンとして、次回改良での衝突安全性能の向上が期待されます。ファイブスター大賞の詳細な点数や最終受賞車種については、2025年5月頃に開催予定の表彰式にて発表される予定です。新車購入の際は最新のJNCAP評価結果を参考に、自分のライフスタイルと優先する安全性能を照らし合わせながら選択することをおすすめします。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000560.html

