スズキはジムニーの20年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型4代目を2018年7月5日に発売した。新型ジムニー シエラも同日発売された
発売から半年、スズキの予想を大きく上回る販売台数の受注を抱え、生産台数が追いつかない事態となっている(現状でも8〜9ヶ月待ち)、何故売れているのか?新旧比較をしながらまとめてみた。
スズキ ジムニーについて
1970年(昭和45年)から市販している軽自動車のオフロード四輪駆動車である。ジープ以来の伝統的な四輪駆動車の構成を固持する、小型で軽量のパートタイム4WD車である。
ジムニーという車名は四駆車の先駆けである「ジープ」と、小さいことを示す「ミニ」ちっぽけ・とても小さいという意味の「ティニー」を組み合わせて名付けられた。
今なお強度と耐久性を重視したはしご型フレーム(ラダーフレーム)を使い続け、サスペンションも前後とも固定軸を用いている。これは現代の自動車において乗用車のみならず、オフロード車であっても車台のモノコック化、サスペンションの独立懸架化が進んでいる。今日にあって独自かつ稀有な存在である。
そのため、本格オフロード車として日本のみに留まらず、世界中でも高い評価が得られている。40年以上の歴史で細かい改良は多いものの、モデルチェンジはわずか2回とモデルライフが長いことが特徴である。旧型モデルは3代目で1998年10月13日から発売を開始。軽自動車規格の改正に伴いフルモデルチェンジされた。
スズキ 新型 ジムニー ・ジムニーシエラ 特別仕様車「ランドベンチャー」2014年8月19日発売
4代目 新型ジムニーについて
エクステリア
キープコンセプトよりも原点回帰し角ばったボディデザインになり、新型ハスラーと同様の丸目のヘッドライトを採用。ボディカラーにはブラックの2トーンカラーをラインナップ。
オフロードタイプのモデルとなり、旧型同様に強度と耐久性を重視したはしご型フレーム(ラダーフレーム)、3リンクリジェッドサスペンション、副変速機(ローレンジ)付きパートタイム4WDを採用したモデル。更に予防安全装備「デュアルセンサーブレーキサポート」を採用しジムニーとして安全技術を初採用した。
走行中に2WDから4WD(4H、4WD高速)の切りかえがスイッチ式で快適に行なえるドライブアクション4×4を搭載する。
今や新型ハスラーともデザインは似ているがジムニーは初代モデルから一貫してラダーフレームを採用し続けており、現在ラダーフレームを採用している旧型モデルの軽自動車は、世界全体で見てもジムニー位しか存在してい。(軽トラックを除く)
新開発ラダーフレーム
本格4WDを象徴するラダーフレーム構造を採用。新開発ラダーフレームにXメンバーを採用、前後にクロスメンバーを採用することでねじり剛性を旧型比で約1.5倍に高めることに成功。ボディーマウントゴムを大型化しフレームから車体に伝わる振動を軽減した。
パートタイム4WD
副変速機(ローレンジ)付きパートタイム4WDを初代から新型に到るまで採用。
路面状況に合わせて2WD、4WDの切り替えを任意で行える。
3リンクリジェクドアクスル式サスペンション
左右の車輪をダイレクトにつなぐ「3リンクリジェクドアクスル式サスペンション」は凸凹路面に優れた操作性と大きな対地クリアランスを確保。最低地上高を205mmと十分に確保し「アプローチアングル」「ランプブレークオーバーアングル」「デバーチャーアングル」に対しバンパーやアンダーボディが障害物に接触しにくくしている。
インテリア
インパネ周りは現代風に一新、カーナビを中心とした作りとなりフルオートエアコンや立方体メータークラスター、大型マルチインフォメーションディスプレイをはじめ多数の変更が行われる。
シートアレンジも可能で旧型ではできなかったフルフラットにすることも可能だ。車内長は最大1795mm。
安全装備
デュアルセンサーブレーキサポートを搭載し、単眼カメラ+レーザーレーダーの強みを活かして自動ブレーキ機能などをはじめとする様々な機能で危険を回避する。ボディには軽量衝撃吸収ボディーTECT[テクト]を採用。
スズキ 新型 ジムニー フルモデルチェンジ 4代目 20年ぶり デュアルセンサーブレーキサポートを搭載 2018年7月5日発売
新型ジムニーと先代ジムニー エクステリア比較
エクステリアのデザインは3代目に比べ角ばったデザインとなり、メルセデスベンツのGクラスを思わせるデザインへと進化を遂げた。
新型ジムニーと先代ジムニー インテリア比較
インパネ周りは現代風に一新、カーナビを中心とした作りとなりフルオートエアコンや立方体メータークラスター、大型マルチインフォメーションディスプレイをはじめ多数の変更が行われる。
シートアレンジも可能で旧型ではできなかったフルフラットにすることも可能だ。車内長は最大1795mm。
新型ジムニーと先代ジムニー スペック比較
スペック | 4代目 新型ジムニー | 3代目 ジムニー |
---|---|---|
全長 | 3,395mm | 3,395mm |
全幅 | 1,475mm | 1,475mm |
全高 | 1,715mm | 1,680mm |
ホイールベース | 2,250mm | 2,250mm |
最低地上高 | 205mm | 200mm |
最小回転半径 | 4.8mm | 4.9mm |
エンジン | R06A型 658cc 直3 DOHC インタークーラー ターボ |
K6A型 658cc 直3 DOHC インタークーラー ターボ |
最高出力 | 47kW(64ps)/ 6,000rpm |
47kW(64ps)/ 6,500rpm |
最大トルク | 96Nm(9.8kgm)/ 3,500rpm |
103Nm(10.5kgm)/ 3,500rpm |
駆動方式 | 4WD(パートタイム4WD搭載) | |
トランスミッション | 4AT/5MT | |
車両重量 | 1,040kg(4AT) 1,030kg(5MT) |
990kg〜1,000kg(4AT) 980〜990kg(5MT) |
WLTCモード燃費 | 13.2 km/L (4AT) 16.2km/L (5MT) |
JC08モード燃費 13.6km/L (4AT) 14.8km/L(5MT) |
価格 | 1,458,000円~ 1,841,400円 |
1,296,000円〜 1,625,400円 |
ジムニーの人気について
ジムニーは1970年4月に発売されて以降、2018年3月末までに世界累計で285万台を販売。趣味でジムニーに乗る人の割合も多く、日本国内に多くの愛好家がいる。理由はオフロードレースやダートレースなどが行える。
また、ジムニーは災害時に最強の車としても有名であり様々な動画が上がっており様々な場面で活用が可能な上記の通り強度と耐久性を重視したはしご型フレーム(ラダーフレーム)を使い続け、サスペンションも前後とも固定軸(リジッド式)ローレンジ付きパートタイム4WDを用いていることが最大の要因である。
最後に一言
新型ジムニーは20年ぶりとあって話題となっているが、ジムニスト(ジムニー愛好家)にとっては首を長くして待っていたモデルとなるだろう。見た目は旧型に比べ、高級感と重厚感を持たせエクステリアは現代風の美しい曲線美ではなく角ばったデザインを採用し70年〜80年代のジムニーに原点回帰したと言ってもいいだろう。インテリアは逆に現代風デザインを多く取り入れインパネやカーナビを中心とした作りとしている。更に、現在発売される車には無くてはならない安全装備「デュアルセンサーブレーキサポート」を搭載したことで全ての条件を満たしている。
「ジムニー好きだけどインテリア古臭いし、安全装備も乏しいし、それなら違う車に乗るかなー」と言った人たちからも新型になることで販売力は格段に上がったことだろう。
更に、普通車モデルの新型ジムニーシエラは、旧型に比べ全幅(+45mm)、全高(+25mm)大きくすることで室内空間や重厚感をアップ、新型エンジンを搭載し最高出力を旧型に比べ(+14ps)とさせており日本市場のみならず、海外市場を視野にいれたモデルとしている。
スズキ ジムニー