2026年に発売が予定されているトヨタ ランドクルーザーFJと、2025年に登場したスズキ ジムニーノマド。どちらもコンパクトな本格オフローダーとして注目を集めていますが、価格帯や性能、コンセプトには大きな違いがあります。本記事では、両車の特徴を徹底比較し、あなたのニーズに最適な一台を見つけるお手伝いをします。
2台のコンパクトSUVの誕生 車両の基本コンセプト比較
トヨタ ランドクルーザーFJ:Freedom & Joyを体現する新世代クルーザー

ランドクルーザーFJは「Freedom & Joy(自由と喜び)」をコンセプトに掲げ、ランドクルーザーシリーズの中でも最もコンパクトかつエントリーモデルとして位置づけられています。1951年に誕生したBJシリーズから続くランドクルーザーのDNAを継承しながら、より多くの人にオフロードの楽しさを提供することを目的としています。

スズキ ジムニーノマド:5ドア化で実用性を大幅向上

ジムニーノマドは、従来の3ドアジムニーを5ドア化し、340mmのホイールベース延長によって居住性と積載性を大幅に向上させたモデルです。軽自動車規格を超える普通車登録となりますが、ジムニーの本格的なオフロード性能はそのままに、日常使いでの利便性を高めています。

主要スペック徹底比較
ボディサイズ比較
| 項目 | ランドクルーザーFJ | ジムニーノマド5ドア | 差異 |
|---|---|---|---|
| 全長 | 4,575mm | 3,965mm | FJが610mm長い |
| 全幅 | 1,855mm | 1,645mm | FJが210mm広い |
| 全高 | 1,960mm | 1,720mm | FJが240mm高い |
| ホイールベース | 2,580mm | 2,590mm | ノマドが10mm長い |
| 最小回転半径 | 5.5m | 5.7m | FJが0.2m小さい |
ポイント分析:
- FJは一回り大きいボディながら、最小回転半径はノマドより小さく、取り回しに優れています
- ノマドは全長4m以下のコンパクトさで、狭い道や駐車場でのメリットが大きい
- FJの全幅1,855mmは狭い林道では注意が必要、ノマドの1,645mmはより機動的
エンジン・パワートレイン比較
| 項目 | ランドクルーザーFJ | ジムニーノマド5ドア |
|---|---|---|
| エンジン | 2.7L 直列4気筒ガソリン | 1.5L 直列4気筒ガソリン |
| 最高出力 | 163PS(120kW) | 102PS(75kW) |
| 最大トルク | 246Nm | 130Nm(13.3kgf·m) |
| トランスミッション | 6速AT | 5速MT/4速AT |
| 駆動方式 | パートタイム4WD | パートタイム4WD |
| 燃費(WLTC) | 13.0km/L | 13.6km/L(4速AT) 14.9km/L(5速MT) |
パワー差の実用性:
- FJは約1.6倍のパワーとトルクで、高速走行や重量物積載時に余裕
- ノマドは軽量ボディ(約1,100kg)で、必要十分なパワーを発揮
- 燃費性能はノマドが優位、日常使いのランニングコストで有利
4WDシステム比較
ランドクルーザーFJ:
- H2(後輪駆動)、H4(4WD高速)、L4(4WD低速)の3モード切替
- トヨタ伝統の堅牢なパートタイム4WDシステム
- 本格的なオフロード走行に対応
ジムニーノマド:
- 2H(後輪駆動)、4H(4WD高速)、4L(4WD低速)の3モード切替
- 副変速機付きパートタイム4WD
- ラダーフレーム構造で高い耐久性
共通点と違い:
両車とも本格的なパートタイム4WDを採用しており、オフロード性能は折り紙付き。FJはより大型で重量があるため、トルクが大きく深い泥濘地や急勾配での走破性に優れます。ノマドは軽量コンパクトで、狭いトレイルや岩場での機動性が高いです。
価格帯と購入のしやすさ
ランドクルーザーFJ:380万円のエントリー価格
- 予想価格: 約380万円〜
- ポジショニング: ランドクルーザーシリーズ最安値
- 参考: 70シリーズ 480万円〜、250シリーズ 520〜735万円
購入検討の注意点:
- 250や300の待ち時間を考えると、FJは比較的短期間で納車される可能性
- 2025年10月時点で既に先行展示が開始されており、注目度が高い
- エントリーモデルながら、最新の安全装備(Toyota Safety Sense)は標準装備
ジムニーノマド:265〜275万円の手頃な価格
- 実売価格: FC 5MT 265.1万円 / FC 4AT 275万円
- 生産台数: 2025年7月から月産3,300台体制
- 納期: 2024年1月時点で約4ヶ月待ち(2025年には改善傾向)
コストパフォーマンス分析:
- FJより約100〜115万円安価で購入可能
- 月産3,300台体制により、納期は比較的短縮傾向
- 普通車登録で税金面での優遇は少ないが、初期投資は抑えられる
乗車定員と実用性比較
ランドクルーザーFJ:5名乗車+3列シート非対応

- 乗車定員:5名
- 後席は大人2名が快適に座れる空間
- 3列目シートの設定なし(250/300は7人乗りオプションあり)
- ラゲッジスペースはコンパクトながら必要十分
日常使いでの評価:
- ファミリー層には5人乗りで十分
- 大人数での移動や3世代での使用には不向き
- 荷室は週末のキャンプやアウトドアギアを積載可能

ジムニーノマド:5名乗車+大幅に向上した積載性

- 乗車定員:5名
- 後席は大人2名+子供1名が現実的
- 2列目シート背面から荷室まで415mm(3ドア比+340mm延長)
- 4名乗車時のVDA方式:152L、2名乗車時:大容量
実用性の真実:
- 5名乗車は可能だが、長距離では後席中央は厳しい
- ホイールベース延長により、後席の足元空間が大幅改善
- 荷室は日常の買い物から週末レジャーまで対応可能

装備と快適性比較
ランドクルーザーFJ:必要十分なシンプル装備

標準装備:
- 12.3インチディスプレイオーディオ
- Toyota Safety Sense(第3世代)
- スマートキー&プッシュスタート
- オートエアコン
- USB Type-C/A充電ポート
- 専用デザインのLEDヘッドライト
FJの装備の特徴:
- シンプルで堅牢性を重視した設計
- SNSで話題のEPB(電動パーキングブレーキ)非搭載=機械式
- 悪路走破性を重視し、余計な電子制御は最小限
ジムニーノマド:充実の安全装備と快適装備

標準装備(FCグレード):
- スズキセーフティサポート
- デュアルセンサーブレーキサポート
- 誤発進抑制機能
- LEDヘッドライト(一部グレード)
- マニュアルエアコン
- 電動格納式リモコンドアミラー
ノマドの注意点:
- ACCは4ATのみで40km/h以上から作動(MT非対応)
- 装備は実用本位でシンプル
- カスタマイズパーツの豊富さがジムニーの魅力
オフロード性能比較
ランドクルーザーFJ:トヨタの伝統を受け継ぐ走破性
オフロード性能のポイント:
- IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)プラットフォーム採用
- 地上高210mm程度(推定)
- アプローチアングル、デパーチャーアングルともに優秀
- 2.7Lエンジンの余裕あるトルクで悪路を突破
- ラダーフレーム構造による高い剛性
向いているシーン:
- 深い泥濘地、川渡り
- 長距離のオフロードツーリング
- 重量物を積載したオーバーランド
- 本格的なクロスカントリー走行
ジムニーノマド:伝説の走破性を継承
オフロード性能のポイント:
- ラダーフレーム+リジッドアクスルサスペンション
- 地上高210mm(5ドア)
- アプローチアングル36°、ランプブレイクオーバーアングル28°
- デパーチャーアングル47°
- 軽量コンパクトボディで岩場や狭路に強い
向いているシーン:
- 狭い林道、トレイル走行
- 岩場、急斜面
- 技術を要する難易度の高いコース
- ソロやデュオでの機動的なオフロード走行
維持費とランニングコスト比較
年間維持費シミュレーション(年間1万km走行想定)
ランドクルーザーFJ:
- 自動車税:36,000円(年間/総排気量1.5L超〜2.0L以下想定)
- 燃料費:約115,000円(13.0km/L、ガソリン150円/L)
- 車検費用:約80,000〜100,000円(基本料金)
- 任意保険:約80,000〜120,000円(年齢・等級による)
- 年間合計:約31万〜35万円
ジムニーノマド:
- 自動車税:34,500円(年間/総排気量1.5L以下)
- 燃料費:約94,000円(16.0km/L想定、ガソリン150円/L)
- 車検費用:約60,000〜80,000円(基本料金)
- 任意保険:約70,000〜100,000円(年齢・等級による)
- 年間合計:約26万〜29万円
維持費の差額:
ノマドの方が年間約5〜6万円安価。5年間で25〜30万円の差が生まれます。
どちらを選ぶべきか?購入判断のポイント
ランドクルーザーFJがおすすめの人
- 本格的なオフロード走行を楽しみたい
- 長距離のオーバーランドツーリング
- 重量物を積載したキャンプ
- 悪路での余裕ある走破性を求める
- ランドクルーザーブランドに憧れがある
- 70年以上の歴史と信頼性
- 世界中で認められるリセールバリュー
- トヨタの堅牢性と耐久性
- 家族や友人と快適に移動したい
- 5名が余裕を持って乗車できる空間
- 高速道路での安定性と快適性
- 長距離ドライブでの疲労軽減
- 予算に余裕がある
- 380万円〜の初期投資が可能
- 多少の維持費増加は許容範囲
ジムニーノマドがおすすめの人
- コストパフォーマンスを重視
- 初期費用を抑えたい(265〜275万円)
- 維持費も含めたトータルコストを削減
- 月産3,300台で納期が比較的短い
- 狭い道や駐車場での取り回しを重視
- 全長4m以下のコンパクトさ
- 狭い林道や山道での機動性
- 都市部での日常使いにも便利
- 技術志向のオフローダー
- 軽量ボディを活かした繊細な走破
- 難易度の高いトレイルに挑戦
- MTでの運転を楽しみたい
- カスタマイズを楽しみたい
- 豊富なアフターパーツ
- ジムニーコミュニティの充実
- 自分だけの一台を作り上げる喜び
両車の弱点・注意点
ランドクルーザーFJの7つの弱点
- 3列シート非対応 - 大家族には不向き
- EPB非搭載 - 機械式パーキングブレーキ
- 380万円という価格 - エントリーとはいえ高額
- 先行モデル(250/300)の影に隠れがち - ブランド内競合
- 納期の不透明さ - 人気次第で長期化の可能性
- 装備のシンプルさ - 快適装備は最小限
- デザインの好み - FJ40風のレトロデザインは好みが分かれる
ジムニーノマドの注意点
- 後席中央の狭さ - 5名乗車は短距離限定
- エンジンパワーの限界 - 高速での追い越しや登坂は厳しい
- 5ドアでも荷室は限定的 - 大型の荷物は積載困難
- ACC非搭載(MT) - MTはACCが使えない(AT も40km/h以上)
- 高速走行時の騒音 - エンジン音やロードノイズが大きい
- 乗り心地の硬さ - ラダーフレームゆえの硬質な乗り心地
- 装備の簡素さ - 快適装備は必要最小限
- リセールバリューの不確定性 - 5ドアは歴史が浅く、将来価値が未知数
まとめ:あなたに最適な一台は?
トヨタ ランドクルーザーFJとスズキ ジムニーノマドは、どちらも本格的なオフロード性能を持つコンパクトSUVですが、コンセプトと価格帯が大きく異なります。
ランドクルーザーFJは、ランドクルーザーブランドの信頼性と余裕あるパワー、快適性を求める方に最適。380万円からという価格は決して安くありませんが、長距離ツーリングや家族での使用、本格的なオフロード走行を楽しみたい方には納得の価値があります。
ジムニーノマドは、コストパフォーマンスと機動性を重視し、ジムニーの伝説的な走破性を手軽に楽しみたい方にぴったり。265万円からという手頃な価格と、カスタマイズの自由度、コンパクトさは大きな魅力です。
どちらを選ぶかは、あなたの使用目的、予算、そして何よりも「どんなカーライフを楽しみたいか」という価値観次第です。可能であれば、両車の試乗や展示車の確認をして、実際のフィーリングを体感してから決断することをおすすめします。
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