2025年のジャパンモビリティショーで衝撃的なデビューを果たした次期レクサスLS。従来のラグジュアリーセダンという概念を覆し、「ラグジュアリースペース」という新たな価値観を提案するこの6輪ミニバンは、レクサスの大黒柱が辿り着いた究極の答えと言えるでしょう。
本記事では、ジャパンモビリティショー2025で実際に展示された新型LSコンセプトの内外装を詳細に分析し、その魅力と課題を徹底解説します。

新型レクサスLS 6輪コンセプトの基本情報

開発コンセプト「ラグジュアリースペース」とは

レクサスの開発陣が明かしたところによると、次期LSは「セダン」という形式にこだわらず、「スペース」という新しい価値観を追求しています。豊田章男会長の「LSは別にセダンじゃなくてもいいんじゃないの?」という一言から始まったこのプロジェクトは、従来の固定概念を打ち破る挑戦的な試みです。
予想サイズとパッケージング
新型LSのボディサイズは以下の通り予想されています:
- 全長: 約5,300mm(レクサスLM500hの5,125mmより大型)
- 全幅: 約2,000mm(LM500hの1,890mmより拡大)
- 全高: 約1,900mm(LM500hの1,955mmよりやや低重心)
特筆すべきは、3列シートながら2+3+2の7人乗り構成を採用し、特に2列目のVIP空間に徹底的にこだわったパッケージングです。
外装デザインの魅力と特徴

6輪採用の必然性
新型LSの最大の特徴である6輪レイアウトは、単なる話題性のためではありません。開発陣の説明によると、以下の明確な理由があります:
1. 乗降性の向上
- スライドドア開口部を最大限に確保するため、タイヤを小型化
- 2列目シートへスムーズにアクセスできる広大なステップスペースを実現
- シートをスライドさせずに、体と足が自然に入り込める空間を確保
2. 走行性能の確保
- 小径タイヤ2本で荷重を分散し、乗り心地と強度を両立
- 従来の大径タイヤ1本では実現できなかったパッケージング効率
3. ラゲッジスペースの拡大
- 後輪を小型化することで、3列目後方の荷物スペースを大幅に確保
- キャリーバッグ3個を余裕で収納可能
フロントデザインの進化

新世代スピンドルグリル
- 従来のグリル部分のみのスピンドルから、デイタイムランニングライト(DRL)全体でスピンドル形状を表現
- よりワイドで迫力のある顔つきを実現
- LEDヘッドライトとLEDテールライトが一体感のあるデザインを構成

レクサスバッジの変更
- フロントとリアにLマークではなく「LEXUS」のロゴタイプ(バラ文字)を採用
- より視認性が高く、プレミアム感を強調
リアデザインの機能美

上下分割式テールゲート
- 都心部の地下駐車場など狭いスペースでも開閉可能
- 小荷物の出し入れは上部のみを開けることで、冷暖房の効率を保持
- 外部から車内が丸見えになることを防ぐプライバシー保護
リアウィンドウの概念変更
- デジタルインナーミラー採用により、後方視界はカメラで確保
- ラゲッジスペースを上限まで使用しても運転に支障なし
内装デザインの魅力と特徴
2列目VIP空間へのこだわり
新型LSの開発は「2列目中央席」を起点にスタートしています。これは従来の「前から順番に設計する」という常識を覆すアプローチです。
カウチソファー型シート

- 従来のキャプテンシート(1脚ずつ独立)ではなく、ソファー型のベンチシートを採用
- 家庭のリビングにいるようなくつろぎ感
- 複数の座席レイアウトが選択可能
前方視界の確保
- 2列目から前方が見渡せる適度な開放感
- 足を伸ばしても当たらない十分な空間
回転機能付きシート

- 2列目シートが回転し、対面ミーティングスペースに変身
- SP(セキュリティポリス)や秘書と同乗する際の利便性向上
- オットマン機能も選択可能
乗降演出の徹底

イルミネーション演出
- ドアを開けると足元に流れるようなイルミネーションが点灯
- 「レッドカーペットを歩くような」VIP感を演出
- 電動ステップが自動展開
プライバシーと開放感のバランス
サイドウィンドウの特殊ガラス
- 中からは外が見えるが、外からは見えにくい仕様
- 木目調の装飾パネルと組み合わせ、温かみのある空間を創出
- 顧客のオーダーに応じて、透過度の調整が可能
インテリアマテリアルへのこだわり

- 竹素材(バンブー)の採用: 自然素材を使用した居心地の良い空間
- 木目調パネル: 高級感と温かみを両立
- 間接照明: 落ち着いた雰囲気を演出
1列目ドライバースペース

運転席の最適配置
- タイヤのホイールハウス内部まで人の足が入り込むレイアウト
- ドライバーを極限まで前方に配置することで、2列目空間を最大化
- 同時に視認性と運転のしやすさも向上
優れている点(メリット)の徹底解説
1. 圧倒的な2列目空間

空間設計の革新性
- セダンやSUVでは実現不可能な広さと開放感
- ベルファイアやアルファードを超える後席の快適性
- ビジネスシーンだけでなく、家族旅行でも活躍
実用性の高さ
- フットスペースが広大で、長時間移動でも疲れにくい
- クーラーボックスやドリンクホルダーなど、実用的な装備を配置可能
- 荷物置きスペースも十分に確保
2. スマートな乗降システム

3列目アクセスの革新
- シートをスライドさせることなく、2列目と3列目の間を通過可能
- VIPと秘書、SPが同時にスムーズに乗車できる
- 美しく、時間を無駄にしない乗降動線
3. 実用的なラゲッジスペース
ビジネスユースを想定
- キャリーバッグ3個を横置き可能
- スーツをハンガーに掛けたまま収納
- ゴルフバッグも余裕で積載可能
4. 先進技術の積極採用
電動化技術
- EV(電気自動車)パワートレインの採用が濃厚
- 静粛性と環境性能を両立
デジタル技術
- デジタルインナーミラー
- 各種センサーとカメラによる安全運転支援
5. 唯一無二の存在感
競合不在の独自性
- BMWやメルセデス・ベンツに6輪ラグジュアリーミニバンは存在しない
- 価格帯は2,500万円〜3,500万円と予想され、センチュリーとの差別化も明確
6. レクサスブランドの新境地
チャレンジングな姿勢
- センチュリーブランドの独立により、レクサスがより革新的な提案が可能に
- 「誰の真似でもない」オリジナリティの追求
残念な点(デメリット)と課題
1. 駐車場問題
サイズの大型化
- 全幅2,000mm超は日本の駐車場事情に厳しい
- 立体駐車場の多くは利用不可
- 都心部での取り回しに不安
6輪による最小回転半径の懸念
- 通常の4輪車より小回りが効かない可能性
- 狭い路地での取り回しが課題
2. 価格の高額化
予想価格帯
- 2,500万円〜3,500万円という超高額ゾーン
- 現行LSの2倍以上の価格設定
- ターゲット顧客が極めて限定的
3. メンテナンスコストの不透明性
6輪特有の課題
- タイヤ交換が6本必要(通常の1.5倍)
- ブレーキパッド、サスペンションなど消耗品も増加
- 専用部品の価格と入手性が不明
EV化に伴う懸念
- バッテリー交換コストの高額化
- 充電インフラの整備状況
- 航続距離の実用性
4. プライバシーガラスの視認性
外部視認性の低下
- サイドウィンドウの大部分が装飾パネルで覆われている
- 開放感を求める顧客には不向き
- カスタマイズで対応可能だが、標準仕様への不満も予想
5. デザインの賛否両論
好みが分かれる外観
- 6輪という特異なスタイルは人を選ぶ
- ミニバンライクな外観がLSのイメージと合わないという声も
- セダンの伝統を重んじる層からの反発
6. 発売時期の不透明さ
市販化のタイムライン
- 開発陣は「本気で開発している」と明言
- しかし具体的な発売時期は非公表
- 2027〜2028年頃と予想されるが、さらに遅れる可能性も
7. 日本市場向けサイズではない
グローバル仕様優先
- 全幅2,000mmは北米や中東市場を意識
- 日本の道路事情には明らかにオーバーサイズ
- 日本市場での販売台数は限定的と予想
LSシリーズ展開 - 3つのコンセプト
ジャパンモビリティショー2025では、LSの名を冠した3つのコンセプトカーが同時展示されました。
1. LS コンセプト(6輪ミニバン)
本記事で詳述したラグジュアリースペースを追求したフラッグシップモデル。
2. LS クーペ コンセプト
コンセプト
- 「道を選ばずにどこでもスポーティーな走りを体験できる」
- リフトアップされたクーペスタイルSUV
- 自分でドライビングを楽しみつつ、後席でもくつろげる「二律双生」
デザイン特徴
- 大径タイヤとリフトアップで悪路走破性を確保
- LCを彷彿とさせるクーペライクなシルエット
- フロントフェンダー後方の大型エアインテーク
- リンプルパターン(ゴルフボールの凹凸)を施したエアロパーツ
インテリア特徴
- ドライバー席はコックピットスタイル
- 助手席側はベンチシート風のリビングスタイル
- フロアマテリアルを運転席と助手席で変更(黒と白)
- 後席のシートバックに縦型ディスプレイを装備
- ドライバーの顔を映し出し、対話できる機能
3. LS マイクロ コンセプト
コンセプト
- ラストワンマイルに対応したラグジュアリー完全自動運転マイクロモビリティ
- ホテルから最終目的地までの都市内移動を担当
- LSコンセプトから乗り換えて利用
デザイン特徴
- 「インダストリアルジュエリー」をテーマにした宝石のようなデザイン
- ハンドルレスの完全自動運転仕様
- スピンドル形状のジョイスティックで手動操作も可能
インテリア特徴
- LSコンセプトと同じ内装素材を採用
- アロマディフューザー装備
- ドリンクホルダーとガラスコップ
- 折りたたみ傘を収納
- シートを取り外してレクサス専用車椅子での乗車も可能
競合車種との比較
トヨタ センチュリー

- 価格: 約2,500万円
- 特徴: V8ハイブリッド、ショーファー専用設計
- 差別化: より保守的で伝統的な日本のおもてなし
レクサス LM500h

- 価格: 約1,800万円〜2,000万円
- 特徴: アルファードベースの4座ラグジュアリーミニバン
- 差別化: 新型LSはLMを大幅に超える空間と先進性
メルセデス・マイバッハ Sクラス
- 価格: 約2,500万円〜3,000万円
- 特徴: 超ラグジュアリーセダンの王道
- 差別化: 新型LSはセダンの限界を超えた空間性能
発売時期と価格予想
発売時期
開発陣の発言から、以下のタイムラインが予想されます:
- 最短: 2027年
- 現実的: 2028年
- 遅延の場合: 2029年以降
「コンセプトカーではなく、量産を前提とした開発を本気で進めている」との発言があり、10年先の未来カーではないことは確実です。
価格予想
- ベースグレード: 2,500万円
- 上級グレード: 3,000万円
- フルカスタマイズ: 3,500万円以上
センチュリーの価格帯と重なりますが、センチュリーが「和」の伝統を重視するのに対し、LSは「革新」を追求する差別化戦略と考えられます。
ターゲット顧客層
1. 経営者・富裕層
ニーズ
- ビジネスシーンでの移動時間を有効活用
- VIPとしての存在感と独自性
- 唯一無二のステータスシンボル
2. 芸能人・著名人
ニーズ
- プライバシーの確保
- 目立つが品のあるデザイン
- 移動中の仕事スペース
3. 外交官・政府関係者
ニーズ
- セキュリティと快適性の両立
- 公式行事での威厳
- 日本を代表するラグジュアリーカー
4. 車愛好家・コレクター
ニーズ
- 歴史的な転換点となる1台
- 希少性と投資価値
- 技術革新への興味
まとめ - 新型LSが切り拓く未来
レクサス新型LS 6輪コンセプトは、単なる話題作りではなく、「ラグジュアリーとは何か」を根本から問い直す真摯な挑戦です。
優れている点
- 圧倒的な2列目VIP空間
- 革新的な乗降システム
- 実用的なラゲッジスペース
- 唯一無二の存在感
残念な点
- 日本の駐車場事情に厳しいサイズ
- 超高額な価格設定
- メンテナンスコストの不透明性
- 賛否が分かれるデザイン
しかし、これらの課題を差し引いても、新型LSが自動車史に残る革命的な1台になることは間違いありません。センチュリーブランドの独立により、レクサスは「伝統」ではなく「革新」を追求できる立場になりました。その象徴が、この6輪のラグジュアリースペースなのです。
「いつかはクラウン」から「いつかはLS」へ。新型LSは、日本の自動車文化における新たな憧れの象徴となるでしょう。
発売が待ち遠しいこの革命的フラッグシップ。2027〜2028年の登場を期待して、続報を待ちたいと思います。
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