MENU

マツダ、2027年以降日本国内のBEVにNACS採用へ!テスラスーパーチャージャー利用で変わる日本のEV充電とユーザー体験

本ページにはプロモーションや広告が含まれています。
Mazda 2027 onwards nacs for bev in Japan

マツダ株式会社は2025年5月9日、電気自動車(BEV)戦略における重要な一歩として、2027年以降に日本国内で販売するバッテリーEVの充電ポートに、テスラ社が開発した北米充電規格(NACS:North American Charging Standard)を採用することで同社と合意したと発表しました。この決定は、日本のEVユーザーにとって充電時の選択肢を大幅に増やし、利便性を格段に向上させることを目的としています。NACSの採用により、マツダのBEVオーナーは、テスラが国内で展開している急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」の利用が可能になるほか、将来的にはアダプターを介することでNACS以外の既存充電規格も利用できる見通しです。本記事では、このマツダのNACS採用が日本のEV市場、充電インフラ、そしてユーザー体験にどのような変革をもたらすのか、その背景や意義、今後の展望について深く掘り下げて解説します。

目次

マツダ、国内BEVへのNACS採用を正式発表 – 2027年以降の変革

今回の発表は、マツダが顧客の充電体験の向上を重視していることの表れと言えるでしょう。具体的には、2027年以降に日本国内市場へ投入される新型のバッテリーEVから、順次NACS対応の充電ポートが搭載されることになります。

参考:マツダニュースリリース

NACS採用の背景と目的:「ひと中心」の価値観に基づく利便性向上

テスラ社との合意は、単に充電規格を採用するという技術的な側面だけでなく、拡大するEV市場においてユーザーがいかにストレスなく充電インフラを利用できるかという、顧客中心の視点に基づいた戦略的な判断です。マツダは、「ひと中心」の価値観のもと、「走る歓び」を進化させ続けることを企業哲学の中核に据えており、今回のNACS採用も、顧客の日常における移動体験の感動を創造し、「生きる歓び」を届けるという目標に合致する取り組みと位置づけられています。充電インフラの利便性向上は、EV普及の鍵を握る要素であり、マツダのこの決断は、国内のEVシフトを後押しする可能性を秘めています。

あわせて読みたい
北米 マツダ EV充電 テスラ(NACS)規格を2025年から採用へ 北米 マツダは、テスラと、2025年からバッテリEV(BEV)に北米充電規格(NACS)を採用することで合意したと2024年1月17日発表した。今回の合意により、マツダのユーザー...

北米充電規格NACSとは?その特徴と普及の現状

NACS(North American Charging Standard)は、元々テスラが自社の電気自動車向けに独自に開発し、運用してきた充電規格です。

テスラが生んだNACS – コンパクトさと高出力を両立

その最大の特徴は、コンパクトで扱いやすいコネクタ形状にありながら、普通充電と急速充電を同じポートで対応できる点、そして高出力の急速充電が可能である点です。テスラは長年にわたり、このNACSに対応した独自の急速充電網「スーパーチャージャー」を北米を中心に世界各地へ積極的に展開し、自社ユーザーに対して快適な充電環境を提供してきました。

北米での急速な標準化と日本市場への影響

当初はテスラ専用の規格でしたが、2022年11月にテスラがその仕様を公開し、他社にも採用を呼びかけたことから状況は一変しました。フォード、GM、リビアン、ボルボ、メルセデス・ベンツ、日産、ホンダといった主要な自動車メーカーが続々と北米市場でのNACS採用を表明し、NACSは急速に北米における標準規格としての地位を確立しつつあります。この背景には、NACSコネクタの使いやすさ、スーパーチャージャーネットワークの信頼性と広がり、そして充電体験のスムーズさ(プラグアンドチャージ機能など)が高く評価されたことがあります。日本国内においては、これまでCHAdeMO(チャデモ)規格が急速充電の主流でしたが、NACSがマツダによって採用されることで、新たな選択肢が生まれることになります。

あわせて読みたい
北米トヨタ EV充電 テスラ(NACS)規格を2025年から採用へ トヨタの北米事業体「Toyota Motor North America, Inc.(以下、TMNA)」は、テスラと、2025年からバッテリEV(BEV)に北米充電規格(NACS)を採用することで合意したと...
あわせて読みたい
北米スバル EV充電 テスラ(NACS)規格を2025年から採用へ 北米 スバルは、テスラと、2025年からバッテリEV(BEV)に北米充電規格(NACS)を採用することで合意したと2023年11月1日発表した。今回の合意により、スバルのユーザー...
あわせて読みたい
ソニー・ホンダ 新型EV「アフィーラ」日本向け車両としては初 テスラ社の北米充電規格NACS初採用 ソニー・ホンダモビリティは、2025年発売予定の新型EV「AFEELA」に、テスラの充電規格「NACS」を採用することを2024年9月27日に発表しました。これにより、AFEELAはテス...
あわせて読みたい
ホンダ CES 2025で量産型EV「0シリーズ」プロトタイプを世界初公開!~未来への扉を開く革新的な技術と... 2025年1月7日、ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」において、ホンダは電動化戦略の新たな一歩を踏み出しました。昨年、コンセ...

マツダEVユーザーにもたらされるNACS採用の具体的なメリット

マツダがNACSを採用することで、将来のBEVオーナーにもたらされるメリットは多岐にわたります。

テスラスーパーチャージャー網へのアクセスと充電体験の向上

最大のメリットは、やはりテスラが国内で整備を進めている「スーパーチャージャー」ネットワークへのアクセスでしょう。2025年5月現在、テスラのスーパーチャージャーは都市部や幹線道路沿いを中心に設置数を増やしており、その多くが高出力で、短時間での充電を可能にしています。これにより、長距離移動時の充電不安が大幅に軽減されることが期待されます。従来の公共充電器では、充電器の故障や先客による待ち時間、あるいは充電出力が低いために想定以上に時間がかかるといった課題が指摘されてきましたが、テスラのスーパーチャージャーは比較的高い稼働率と安定した充電性能が評価されています。さらに、NACSコネクタはCHAdeMOコネクタと比較して小型軽量であるため、充電時の操作性向上も見込めます。力に自信のない方や高齢者にとっても、より扱いやすい充電体験が提供される可能性があります。

アダプター利用による既存充電規格との互換性確保

マツダは発表の中で、アダプターを使用することによりNACS以外の充電規格も利用できる見通しであると述べています。これは、既存のCHAdeMO規格の充電器や、普通充電で広く普及しているJ1772規格の充電器も引き続き利用できることを意味し、ユーザーにとっては充電場所の選択肢が狭まるのではなく、むしろ拡大することを意味します。過渡期においては特に、多様な充電インフラに対応できる柔軟性が重要となります。将来的には、充電スポットの検索から充電、支払いまでをシームレスに行えるような、より洗練されたユーザーインターフェースや連携アプリの開発も期待されるところです。

日本のEV充電インフラの現状とNACSが投じる一石

マツダのNACS採用は、日本のEV充電インフラにも大きな影響を与える可能性があります。

CHAdeMO規格中心の国内インフラとユーザーが抱える課題

日本の電気自動車用急速充電インフラは、これまで経済産業省のリーダーシップのもと、CHAdeMO協議会が推進するCHAdeMO規格を中心に整備が進められてきました。その結果、充電器の設置数自体は世界的に見ても多い部類に入ります。しかし、ユーザーの視点から見ると、いくつかの課題も浮き彫りになっています。例えば、充電器の設置場所が偏っている、一台あたりの充電出力が低いものが多く充電に時間がかかる、メンテナンスが行き届かず故障しているケースが散見される、充電カードの認証システムが煩雑である、などが挙げられます。特に高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにおける充電渋滞は、EVユーザーにとって悩みの種の一つです。

NACS導入が促す充電インフラの多様化と競争激化の可能性

このような状況下で、マツダがNACSの採用に踏み切ったことは、日本の充電インフラ環境に大きな影響を与える可能性があります。テスラのスーパーチャージャー網は、その使い勝手の良さや充電速度からすでに多くのEVユーザーに注目されています。マツダ車がこれにアクセスできるようになることで、スーパーチャージャーの利用者が増加し、テスラにとってもインフラ投資の回収やさらなる拡充へのインセンティブが働くかもしれません。また、他の国内自動車メーカーや充電インフラ事業者にとっても、NACSの動向は無視できないものとなるでしょう。CHAdeMO規格との共存、あるいは将来的な充電規格の標準化議論が活発化するきっかけとなることも考えられます。消費者の立場からは、充電規格の選択肢が増えることは基本的に歓迎すべきことですが、規格の乱立による混乱を避けるための協調や、相互運用性を高めるための取り組みも重要になってきます。

マツダの電動化戦略と「ひと中心」フィロソフィーの融合

今回のNACS採用は、マツダの電動化戦略と企業哲学が深く結びついた結果と言えます。

マルチソリューション戦略とBEVの位置づけ

マツダは、かねてより独自の「マルチソリューション戦略」を掲げ、地域ごとのエネルギー事情や顧客ニーズの多様性に対応すべく、BEV(バッテリーEV)だけでなく、PHEV(プラグインハイブリッド)、HEV(ハイブリッド)、そして高効率な内燃機関など、様々なパワートレインの可能性を追求してきました。その中で、BEVは重要な選択肢の一つとして位置づけられており、欧州で販売されているMX-30 EV MODELなどがその具体例です。今回のNACS採用は、このBEV戦略を日本国内で本格的に加速させる上での布石と見ることができます。市場では、今後登場が期待される「MAZDA6e」や、海外で発表された「EZ-60」、「CX-6e」といった新型EVの日本市場への導入、そしてそれらがNACSを採用する可能性についても憶測が飛び交っており、今回の発表はそうした期待感をさらに高めるものと言えるでしょう。

あわせて読みたい
マツダ 新型 EV SUV「EZ-60/CX-6e」電動化戦略、新たな局面へ 2025年4月10日発表 自動車業界が100年に一度の大変革期を迎える中、各メーカーは電動化へのシフトを加速させています。その潮流の中で、独自の存在感を放ってきたマツダもまた、電動化戦略...
あわせて読みたい
マツダ、新型EV「MAZDA6e」を欧州市場に投入! - 洗練されたデザインと最新技術で電動化を加速 マツダが欧州市場に投入する新型バッテリーEV「MAZDA6e」の詳細をご紹介します。2025年1月10日、マツダの欧州事業を統括するマツダ・モーター・ヨーロッパは、ブリュッ...

NACS採用と「走る歓び」「生きる歓び」の実現

マツダが企業活動の根幹に据える「ひと中心」の価値観は、単に運転の楽しさ「走る歓び」の追求に留まりません。それは、クルマを通じて人々の生活を豊かにし、移動体験に感動をもたらし、ひいては「生きる歓び」を提供することを目指すという、より包括的な思想です。EVにおける充電体験は、まさにこの「ひと中心」の思想が試される領域と言えるでしょう。充電が面倒で時間がかかり、ストレスの多いものであれば、いくら走行性能が優れていてもEVの魅力は半減してしまいます。NACSの採用によって、よりスムーズで信頼性の高い充電環境へのアクセスを提供することは、まさにユーザーの日常的な利便性を高め、EVライフの質を向上させることに直結します。これは、マツダが目指す「お客さまの日常に移動体験の感動を創造し、『生きる歓び』をお届けしていく」というビジョンを具現化する上での、重要な一歩と言えるでしょう。今後のマツダのBEVラインナップ拡充と合わせて、この「ひと中心」の充電体験がどのように進化していくのか、大いに注目されます。

世界の充電規格の潮流とNACSの台頭 – 日本市場への示唆

世界の充電規格動向も、マツダの今回の決定に影響を与えたと考えられます。

グローバルな充電規格の現状と標準化への動き

世界の電気自動車充電規格は、主にいくつかの主要な規格が地域ごとに勢力を持っています。北米ではテスラのNACSが急速に標準化の動きを見せている一方で、それ以前はCCS1(Combined Charging System Type 1)も広く採用されていました。欧州ではCCS2が主流であり、中国では独自のGB/T規格が採用されています。そして日本ではCHAdeMO規格が先行してきました。このように充電規格が地域やメーカーによって異なる状況は、EVのグローバルな展開やユーザーの利便性において課題とされてきました。特に海外旅行や車両の輸出入において、充電インフラとの互換性問題は無視できません。

NACSの国際的影響力と日本への波及効果

NACSが北米で急速に支持を広げた背景には、前述の通りコネクタの設計の優秀さやスーパーチャージャーネットワークの充実度に加え、テスラが規格をオープン化した戦略の巧みさがあります。これにより、多くのメーカーがNACSエコシステムに参加しやすくなり、スケールメリットが生まれつつあります。この動きは、他の地域にも影響を与え始めており、充電規格の将来的な集約や標準化に向けた議論を加速させる可能性があります。 マツダが日本国内でNACSを採用するという決定は、この世界的な潮流と無縁ではありません。日本市場はこれまでCHAdeMOが牙城を築いてきましたが、グローバルでビジネスを展開する自動車メーカーにとって、世界標準となり得る規格への対応は、開発コストの効率化や部品共通化の観点からもメリットがあります。また、海外からの観光客が日本でEVを運転する際や、日本在住の外国人が自国で慣れた充電方式を求めるケースなども考慮すると、NACSのような国際的に認知度の高い規格が国内で利用できることの意義は大きいと言えます。今回のマツダの決断が、他の国内メーカーの戦略にどのような影響を与え、日本の充電規格の未来図をどう塗り替えていくのか、非常に興味深い局面を迎えています。長期的には、ユーザーが国内外を問わず、よりシームレスに充電できる環境が整備されることが理想であり、そのためには規格間の互換性を高める技術開発や国際的な協調が一層求められるでしょう。

NACS採用に伴う課題とマツダに期待される今後の取り組み

多くのメリットが期待されるNACS採用ですが、いくつかの課題も存在します。

車両開発・アダプター供給・運用ルールの整備

まず、2027年という導入時期までに、マツダはNACSに対応した車両側の設計・開発を完了させる必要があります。これには、充電ポートの物理的な搭載だけでなく、車両と充電器間の通信プロトコルや安全性の確保など、技術的な側面が多数含まれます。 また、アダプターを介して既存のCHAdeMO規格など他の充電規格も利用可能とする方針ですが、このアダプターの仕様、価格、提供方法(標準装備かオプションかなど)もユーザーの利便性に直結する重要なポイントです。アダプターが大型であったり、高価であったり、あるいは入手しにくいものであれば、そのメリットは薄れてしまいます。使い勝手が良く、信頼性の高いアダプターの開発と供給体制の構築が求められます。 さらに、テスラのスーパーチャージャーネットワークは、基本的にはテスラ車オーナーのために整備されてきた経緯があります。今後、マツダ車をはじめとする他社NACS採用車がこのネットワークを利用するにあたり、充電料金体系、予約システムの有無、混雑時の優先順位などがどのようになるのか、明確な情報開示が待たれます。テスラとマツダ、そして将来的には他のNACS採用メーカーとの間で、円滑な運用ルールを策定し、全てのユーザーが公平かつ快適に利用できる環境を整備することが不可欠です。

充電インフラ事業者との連携と国内NACS環境構築への期待

加えて、NACS対応の公共充電インフラが、テスラのスーパーチャージャー以外にも拡充していくかどうかも注目点です。他の充電サービス事業者がNACS対応の充電器を設置するインセンティブが働くか、あるいは既存のCHAdeMO充電器との置き換えや併設が進むのか、今後のインフラ整備の動向がNACSの普及度を左右します。マツダには、車両を提供するだけでなく、充電インフラ事業者や関連省庁とも連携し、NACSが日本国内で円滑に利用できる環境づくりを積極的に働きかけていく役割も期待されます。

マツダの「走る歓び」と電動化時代の充電体験の融合

マツダのコアバリューである「走る歓び」は、電動化時代においても充電体験と不可分です。

充電ストレス軽減がもたらすEVでの移動の質の向上

マツダが一貫して追求してきた「走る歓び」は、エンジン車であれ電気自動車であれ、その根幹は変わりません。ドライバーとクルマが一体となるような操作感、意のままに操れるダイナミック性能、そして長距離を快適に移動できる信頼性。これらは電動化時代においてもマツダが守り続けるべき価値です。そして、この「走る歓び」をEVで実現するためには、充電体験の質が極めて重要になります。どれほど素晴らしい走行性能を持つEVであっても、充電に手間取り、時間に追われ、不安を感じるようでは、真の「走る歓び」は得られません。 NACS採用は、この充電体験を向上させるための具体的な手段の一つです。テスラのスーパーチャージャーネットワークは、その利便性と信頼性において一定の評価を得ており、マツダユーザーがこれを利用できるようになることは、長距離ドライブの計画を立てやすくし、充電ストレスを軽減することに繋がります。これは、結果としてEVでの移動そのものをより楽しいものにし、マツダが提供したい「走る歓び」の体験価値を高めることに貢献するでしょう。

人間中心設計によるマツダならではの充電体験への期待

さらに、NACSコネクタのコンパクトさや、将来的にはよりシームレスな「プラグアンドチャージ」(充電器に接続するだけで認証と充電開始が自動で行われる機能)のような技術が普及すれば、充電という行為自体がよりスマートでストレスフリーなものへと進化する可能性があります。マツダがこれまで培ってきた人間中心の設計思想を、充電ポートの配置や操作性、車内インフォテインメントシステムとの連携など、充電に関わるあらゆる側面に活かすことで、他社とは一線を画す、マツダならではの快適な充電体験を創造してくれることを期待します。それは、単に技術的な優位性を示すだけでなく、ユーザーの感情に寄り添い、EVライフを心から楽しんでもらうための「おもてなし」の精神とも言えるでしょう。

日本の自動車メーカーの電動化戦略における充電規格の位置づけ

マツダの決断は、他の国内メーカーにも影響を及ぼす可能性があります。

CHAdeMOとの共存か、NACSへの追随か – 岐路に立つ国内メーカー

今回のマツダのNACS採用は、他の日本の自動車メーカーの電動化戦略、特に充電規格に対するスタンスにも影響を与える可能性があります。これまで日本の自動車メーカーは、CHAdeMO規格を推進し、国内の充電インフラ整備にも深く関わってきました。しかし、北米市場では日産やホンダなどがNACS採用へと舵を切っており、グローバルな視点で見れば充電規格の選択はより複雑な様相を呈しています。 日本国内市場に限定すれば、CHAdeMOは依然として主要な規格であり、既存のEVユーザーや充電インフラ資産を考慮すれば、急な転換は難しい側面もあります。しかし、マツダのような国内メーカーがNACS採用に踏み切ったことで、将来的には国内でも複数の充電規格が共存、あるいは競争する時代が到来するかもしれません。

充電規格戦略の多角的な検討の必要性

これは、ユーザーにとっては選択肢が増えるメリットがある一方で、充電場所を探す際の煩雑さや、規格間の互換性問題といったデメリットも生じさせないよう、業界全体での協調が求められます。 各自動車メーカーは、自社のグローバル戦略、ターゲット顧客層、そして技術開発の方向性などを総合的に勘案し、最適な充電規格戦略を策定していく必要があります。その際には、単にハードウェアとしての充電ポートの選択に留まらず、充電体験全体の質を高めるためのソフトウェア開発、充電サービス事業者との連携、さらにはエネルギーマネジメントシステムとの統合といった、より広範な視点からのアプローチが重要になるでしょう。マツダの決断は、そうした議論を国内で活発化させる起爆剤となるかもしれません。

持続可能なモビリティ社会に向けた充電インフラの未来像

充電インフラは、持続可能なモビリティ社会の実現に不可欠な要素です。

再生可能エネルギー活用とV2Gなど先進技術との連携

電気自動車の普及は、カーボンニュートラル実現に向けた重要な柱の一つであり、その成否は充電インフラの整備状況に大きく左右されます。マツダのNACS採用は、充電インフラの選択肢を広げる動きとして注目されますが、より大局的な視点で見れば、持続可能なモビリティ社会を実現するためには、充電インフラ自体も進化していく必要があります。 将来的には、再生可能エネルギーを最大限に活用した充電システム、V2G(Vehicle to Grid)技術によるEVバッテリーの電力系統への活用、スマート充電による電力需要の平準化などが、より一層重要になってくるでしょう。充電規格の選択も、こうした未来のエネルギーシステムとの整合性を考慮した上で行われるべきです。NACS、CHAdeMO、CCSといった各規格が、こうした先進的なエネルギーマネジメント機能にどのように対応していくのかも、今後の注目点です。

質・量ともに充実したユニバーサルな充電環境の実現へ

また、充電インフラの整備においては、単に数を増やすだけでなく、設置場所の最適化、高出力化、信頼性の向上、そして誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの導入などが求められます。都市部だけでなく、地方や過疎地域においても安心してEVを利用できる環境を整備することが、真のEV普及には不可欠です。マツダを含む自動車メーカー、充電インフラ事業者、そして政府や自治体が連携し、長期的な視点に立った充電インフラ戦略を推進していくことが、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた鍵となるでしょう。マツダのNACS採用が、こうした広範な議論を深め、より良い未来の充電インフラ構築に向けた一助となることを期待します。

編集部から一言

マツダのNACS採用は、日本のEV市場に大きな影響を与える重要な決定です。マツダが2027年以降に国内で販売するBEVにNACS充電規格を採用するという決定は、単なる技術仕様の変更に留まらず、日本の電気自動車市場とユーザー体験に大きな変革をもたらす可能性を秘めた戦略的な一手です。この決断の核心にあるのは、マツダが一貫して掲げてきた「ひと中心」の価値観であり、顧客の利便性を最優先し、EVにおける充電体験をより快適でストレスのないものにしたいという強い意志の表れと言えるでしょう。 テスラ社のスーパーチャージャーネットワークという、すでに実績のある急速充電インフラへのアクセスが可能になることは、マツダのBEVを選ぶユーザーにとって明確なメリットとなります。これにより、長距離移動の際の充電不安が軽減され、EVの活動範囲が大きく広がることが期待されます。また、アダプターを介して既存の充電規格にも対応する柔軟性は、過渡期におけるユーザーの不安を和らげ、充電インフラの選択肢をむしろ拡大させるものです。

「ひと中心」の価値観が導く未来のモビリティライフ

このNACS採用は、日本の充電インフラ整備のあり方や、他の自動車メーカーの戦略にも影響を与え、国内のEVシフトをさらに加速させる触媒となる可能性があります。もちろん、新しい規格の導入には、車両開発、アダプターの提供、充電ネットワークの運用ルールの整備など、解決すべき課題も伴います。しかし、マツダがこれらの課題に真摯に取り組み、「走る歓び」と「生きる歓び」を電動化時代においても追求し続けるならば、ユーザーはより豊かなEVライフを享受できるようになるはずです。 今回の発表は、マツダがBEV市場への本格的なコミットメントを改めて表明したものであり、その動向は今後も目が離せません。2027年という具体的な導入時期を見据え、マツダがどのような「ひと中心」の充電ソリューションを提案し、そして噂される「MAZDA6e」、「EZ-60」、「CX-6e」といった魅力的な新型EV群とともに、日本のEVユーザーに新たな移動体験の感動を創造してくれるのか、その進化に大いに期待したいと思います。これは、マツダから未来のEVユーザーへの、より便利で楽しいモビリティライフへの約束と言えるでしょう。

マツダ

https://www.mazda.co.jp

Mazda 2027 onwards nacs for bev in Japan

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

執筆者

KAZUのアバター KAZU 編集長

サイト運営12年目となりました。車(クルマ)に関する記事は6000本以上書いてきました。新車・中古車、各メーカー、日本車から外車まで幅広い情報を紹介致します。多くの新型車種の予想も当ててきています。フォローお願い致します。

目次