近年、新車の装備として急速に普及しているのが「電動パーキングブレーキ(EPB:Electronic Parking Brake)」と「オートブレーキホールド」です。かつては高級車やドイツ車の装備というイメージでしたが、2026年現在では軽自動車やコンパクトカーにまで広がり、もはや「あって当たり前」の機能になりつつあります。
この記事では、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドの仕組みやメリット・デメリットを整理したうえで、2026年時点での国産メーカー別の搭載車一覧、さらに各モデルの最新価格情報をまとめてご紹介します。これから新車を検討している方は、ぜひグレード選びの参考にしてください。
そもそも「電動パーキングブレーキ」とは?
電動パーキングブレーキ(EPB)とは、従来の「手で引くサイドレバー」や「足で踏むフットペダル」に代わり、スイッチ(ボタン)ひとつでパーキングブレーキをかけたり解除したりできる仕組みのことです。運転席まわりに設置された「P」マークのスイッチを操作するだけで、電動モーターがブレーキを作動させます。


最大の特徴は「自動化」との相性の良さです。シフトレバーを「P」に入れると自動でブレーキがかかり、ブレーキを踏みながら「D」などに入れて発進すると自動で解除される、といった動作が可能になります。解除し忘れたまま走り出してしまう、といった従来のサイドブレーキで起こりがちなミスを防げるのが大きな利点です。
「オートブレーキホールド」とは?
オートブレーキホールドは、電動パーキングブレーキとセットで搭載されることが多い機能です。信号待ちや渋滞などで停車した際、ブレーキペダルから足を離しても車が停止状態をキープしてくれる仕組みで、アクセルを踏めば自動的にホールドが解除されて発進できます。
「AUTO HOLD」や「HOLD」といったスイッチをONにしておくと機能が有効になり、以降は停車のたびに自動で作動します。長い信号待ちや渋滞でブレーキを踏み続ける必要がなくなるため、足の疲労を大きく軽減してくれます。アダプティブクルーズコントロール(ACC)と組み合わせれば、停止保持から再発進まで含めた運転支援が可能になり、長距離ドライブや渋滞時の快適性が格段に向上します。
電動パーキングブレーキ&オートブレーキホールドのメリット
電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドには、主に次のようなメリットがあります。
操作が圧倒的にラク 指先でスイッチを押すだけでよく、力の弱い方や高齢の方でも確実にブレーキをかけられます。レバーを強く引いたり、ペダルを踏み込んだりする必要がありません。
解除し忘れ・かけ忘れの防止 自動作動・自動解除により、サイドブレーキの解除し忘れによる発進や、かけ忘れによる車の動き出しといったトラブルを減らせます。
渋滞・信号待ちの疲労軽減 オートブレーキホールドにより、停車中にブレーキを踏み続ける必要がなくなります。これは長時間運転するほど恩恵が大きい機能です。
坂道発進がラクになる 坂道でもしっかり停止状態を保持してくれるため、後退する不安が減り、「坂道発進」という概念そのものがほぼなくなったと感じるドライバーも多くいます。
運転支援との連携 ACCや渋滞支援機能と組み合わせることで、停止・再発進を含めた高度な運転支援が実現します。
車内空間の自由度アップ レバーやペダルが不要になるため、コンソールまわりをすっきり設計でき、収納スペースの拡大やウォークスルー化にも貢献します。
電動パーキングブレーキ&オートブレーキホールドのデメリット
一方で、注意しておきたいデメリットもあります。
故障時の修理・交換費用が高い 電動システムであるため、故障した際の修理費用が従来のワイヤー式より高くなる傾向があります。アクチュエーターやモーターの交換、専用の診断機(テスター)を使った作業が必要になるケースもあり、場合によっては数万円以上かかることもあります。
バッテリー上がりに弱い 電動で作動する以上、バッテリーが完全に上がってしまうと操作できなくなる可能性があります。多くの車種に手動解除の手段は用意されていますが、従来式より手間がかかります。
操作に慣れが必要 車種ごとに操作方法やオートホールドの設定方法が異なり、乗り換えた直後は戸惑うこともあります。特に、エンジン(電源)を切るたびにオートブレーキホールドの設定がリセットされ、毎回ONにし直す必要がある車種も多い点は覚えておきたいところです。
後付けができない 手動式の車にあとから装着することは基本的にできません。欲しい場合は、標準装備またはオプション設定のあるグレードを選ぶ必要があります。
過信は禁物 あくまで運転支援機能であり、完全停止を保証するものではありません。急な坂や滑りやすい路面では過信せず、ドライバー自身の安全確認が欠かせません。
2026年 国産メーカー別 搭載車一覧
ここからは、2026年時点での主な搭載車を国産メーカー別にまとめます。装備状況はグレードや年式によって異なる場合があるため、購入時は必ず最新のカタログやディーラーでご確認ください。表内の「○」は標準またはオプション設定あり、「-」は未設定(2026年時点)を表します。
トヨタ/レクサス
2025年8月の一部改良で、人気コンパクトミニバンのシエンタにも電動パーキングブレーキとブレーキホールド機能が全グレードに採用され、話題となりました。これによりトヨタの実用車クラスでも搭載が一層進んでいます。
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| プリウス/プリウスPHEV | ○ | ○ | 約275万円〜 |
| クラウン(各モデル) | ○ | ○ | 約435万円〜 |
| カローラ/カローラツーリング | ○ | ○ | 約218万円〜 |
| カムリ | ○ | ○ | 約430万円〜 |
| シエンタ(2025年8月改良〜) | ○ | ○ | 約207万円〜 |
| ノア/ヴォクシー | ○ | ○ | 約275万円〜 |
| アルファード/ヴェルファイア | ○ | ○ | 約540万円〜 |
| ハリアー | ○ | ○ | 約312万円〜 |
| RAV4/RAV4 PHV | ○ | ○ | 約294万円〜 |
| ヤリス(HV・一部改良〜) | ○ | ○ | 約201万円〜 |
| ヤリスクロス | ○ | ○ | 約189万円〜 |
| ランドクルーザー250/300 | ○ | ○ | 約545万円〜 |
| レクサス各車(LX・RX・NX・LS など) | ○ | ○ | 約450万円〜 |
※ヤリスはハイブリッド車への採用拡大が進んでおり、改良により「弱点が解消された」と評価されています。
ホンダ
軽自動車のトップセラーN-BOXも電子制御パーキングブレーキ+オートブレーキホールドを搭載し、軽自動車クラスでの普及をけん引しています。
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| ヴェゼル | ○ | ○ | 約240万円〜 |
| CR-V | ○ | ○ | 約390万円〜 |
| ZR-V | ○ | ○ | 約290万円〜 |
| シビック | ○ | ○ | 約410万円〜 |
| アコード | ○ | ○ | 約545万円〜 |
| ステップワゴン | ○ | ○ | 約310万円〜 |
| フリード(2024年改良〜) | ○ | ○ | 約250万円〜 |
| N-BOX | ○ | ○ | 約165万円〜 |
| N-ONE | ○ | ○ | 約170万円〜 |
| N-WGN | ○ | ○ | 約135万円〜 |
日産
2026年7月に16年ぶりのフルモデルチェンジを果たした新型エルグランドが登場。最新の電動パーキングブレーキ&オートブレーキホールドを搭載し、価格は689万7000円(X e-4ORCE)からとなっています。
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| エクストレイル | ○ | ○ | 約350万円〜 |
| キックス | ○ | ○ | 約290万円〜 |
| ノート/ノート オーラ | ○ | ○ | 約230万円〜 |
| セレナ | ○ | ○ | 約280万円〜 |
| エルグランド(2026年7月新型〜) | ○ | ○ | 約689万円〜 |
| サクラ | ○ | ○ | 約255万円〜 |
| スカイライン | ○ | ○ | 約440万円〜 |
マツダ
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| CX-3 | ○ | ○ | 約230万円〜 |
| CX-30 | ○ | ○ | 約250万円〜 |
| CX-5 | ○ | ○ | 約290万円〜 |
| CX-60 | ○ | ○ | 約330万円〜 |
| CX-80 | ○ | ○ | 約395万円〜 |
| MAZDA3 | ○ | ○ | 約240万円〜 |
| MX-30 | ○ | ○ | 約240万円〜 |
スバル
スバルは安全装備「アイサイト」との組み合わせで、早くから電動パーキングブレーキを普及させてきたメーカーのひとつです。
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| アウトバック | ○ | ○ | 約420万円〜 (日本未発売) |
| フォレスター | ○ | ○ | 約310万円〜 |
| クロストレック | ○ | ○ | 約280万円〜 |
| インプレッサ | ○ | ○ | 約240万円〜 |
| レヴォーグ | ○ | ○ | 約310万円〜 |
スズキ
スズキでは2023年11月フルモデルチェンジの新型スペーシアで電動パーキングブレーキが初採用され、以降、普通車を中心に搭載が広がっています。
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| フロンクス | ○ | ○ | 約255万円〜 |
| スペーシア/スペーシアカスタム(2023年11月〜) | ○ | ○ | 約165万円〜 |
| ワゴンRスマイル(2024年改良〜) | ○ | ○ | 約155万円〜 |
| スイフト | ○ | ○ | 約175万円〜 |
| ソリオ | ○ | ○ | 約175万円〜 |
ダイハツ
軽自動車メーカーのダイハツでも、タントやロッキーなどで電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールドの採用が進んでいます。
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| タント/タントカスタム | ○ | ○ | 約145万円〜 |
| ロッキー | ○ | ○ | 約180万円〜 |
| トール | ○ | ○ | 約170万円〜 |
| ムーヴ キャンバス | ○ | ○ | 約150万円〜 |
| タフト | ○ | ○ | 約145万円〜 |
三菱
| 車種 | 電動パーキングブレーキ | オートブレーキホールド | 参考価格(新車・税込) |
|---|---|---|---|
| アウトランダー | ○ | ○ | 約460万円〜 |
| エクリプス クロス | ○ | ○ | 約290万円〜 |
| デリカD:5 | ○ | ○ | 約400万円〜 |
| eKワゴン/eKクロス | ○ | ○ | 約145万円〜 |
| eKクロス EV | ○ | ○ | 約255万円〜 |
※上記の参考価格はグレードやモデル年式によって変動します。最新の正確な価格は各メーカー公式サイトやディーラーでご確認ください。

2025〜2026年の最新トピック
2025年から2026年にかけての大きな動きとして、トヨタ シエンタが2025年8月の一部改良で電動パーキングブレーキを全グレードに採用した点が挙げられます。実用性の高いコンパクトミニバンへの搭載は、幅広いユーザー層にとって大きなメリットとなりました。シエンタは人気も高く、2026年に入っても受注好調が続いています。

また、日産 新型エルグランドが2026年7月に16年ぶりのフルモデルチェンジを受けて発売され、最新の電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドを搭載。価格は689万7000円からと高価格帯ながら、高級ミニバンとしての存在感を取り戻しています。

このように、2026年現在では軽自動車からフラッグシップまで電動パーキングブレーキの採用が標準化しつつあり、「搭載されているか」ではなく「どのように使いやすく進化しているか」が選ぶ際のポイントになってきています。
まとめ|もはや標準装備。選ぶ際のポイントは「使い勝手」へ
電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドは、2026年現在、軽自動車からコンパクトカー、ミニバン、SUV、高級車まで幅広く普及し、新車選びにおいて「あって当たり前」の装備になりました。操作のしやすさ、解除し忘れの防止、渋滞時の疲労軽減、坂道発進のラクさなど、日常の運転を大きく快適にしてくれる便利な機能です。
一方で、故障時の修理費用が高めになること、エンジンを切るたびにオートホールド設定がリセットされる車種があること、バッテリー上がり時の対応など、知っておくべき注意点もあります。
これから新車を検討する方は、「電動パーキングブレーキが付いているか」だけでなく、オートブレーキホールドの設定の記憶機能やACCとの連携など、使い勝手の面までチェックして選ぶのがおすすめです。本記事の搭載車一覧を、ぜひあなたの一台選びにお役立てください。
